実はカメラや楽器にも?ゼラチンの原料と用途、ヴィーガン生活との関連を解説
ゼリーやグミなど、凝固剤として使われているゼラチンですが、実は動物由来の成分からできていることを、みなさんはご存じでしょうか?ゼラチンの用途や成分について、詳細を解説します。
ゼラチンは、私たちが常日頃使っている日用品にも多く含まれており、カメラや楽器、接着剤、人工皮革、シャンプーなどにも、工業用のゼラチンが含まれています。
そもそも、ゼラチンとは、一体どのような原料から出来ているのでしょうか?
また、完全菜食主義のヴィーガンの方の生活に、ゼラチンはどのような影響を与えているのでしょうか、その詳細を解説させていただきます。
ゼラチンの原料と歴史
ゼラチンの主原料になっているのは、牛や豚の骨や皮、腱(けん)などから抽出されたコラーゲンで、動物性のタンパク質です。
コラーゲンに含まれているタンパク質分子を加熱し、精製した成分の中でも、タンパク質の純度の高いものが、ゼラチンとして分類されます。
また、ゼラチンの歴史は古く、はるか5000年以上も前、古代エジプト時代には、ゼラチンの前身となる膠(ニカワ)が、当時から、装飾品や家具などの接着剤としてすでに利用されていました。
工芸品や建築材料の接着剤として普及してきたゼラチンですが、食用としてゼラチンが使われるようになったのは、19世紀に入ってからです。
食用というイメージが強いゼラチンですが、実は、医療現場のレントゲン写真フィルム、人口レザーなど、私たちの身近にある物にも、たくさん利用されているのです。
ゼラチンの用途は主に4通り
ゼラチンは、用途や製造方法によって、主に以下の4種類に分類されています。
1. 食用ゼラチン
グミやゼリー、マシュマロなどの菓子類に使われているほか、ソーセージやハムなどの加工食品など、多岐にわたる食材に、食用ゼラチンが含まれています。
また、ゼラチンは口溶けが良く、食べやすいため、介護食などにも利用されています。
2. 工業用ゼラチン
接着剤や人工皮革、生コンクリート、家屋のフローリングの固定には、工業用のゼラチンが使用されています。
また、工業用ゼラチンは、木材の接着に優れているため、とくにバイオリンなどの弦楽器の組み立てや修理には欠かすことのできない接着剤として、昔から現代まで、長い間使用されています。
さらに、天然素材の接着剤である膠(ニカワ)は、工業用のゼラチンの一種で、歴史ある文化財の修復にも使われるほど、優秀な接着剤です。
3. 医療用ゼラチン
ゼラチンは、医療現場でもよく使われています。
一例として、医薬品のカプセルや錠剤のほか、湿布剤、トローチ、座薬、手術用のスポンジなど、あらゆる医療用品に、ゼラチンの成分が含まれています。
4. 写真用ゼラチン
レントゲン写真や、写真フィルムの用紙にも、ゼラチンは含まれています。
写真用のゼラチンは、不純物が少ないのが特徴で、写真フィルムや印画紙などの写真乳剤などに使用されています。