「人獣共通感染症」とは?ヴィーガニズムは対応策になるのか徹底解説
新型コロナウイルス感染症やサル痘の感染が広がる中、ヴィーガニズムや人と動物、環境との関りから、感染症の原因や解決策を考えます。
そして先日、世界保健機関(WHO)は欧米を中心に感染者が増えている「サル痘」について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と最高度の警戒を宣言。
これらの感染症は、野生コウモリ(新型コロナウイルス感染症)やサル、リス、ネズミ(サル痘)など、いずれも動物が関わっています。
このように感染症が人と動物との間を行き来する状況の中で、私たちはどのように対応したら良いのでしょうか。
世界や日本の動き、そしてヴィーガニズムが対応策になるのかについて考えます。
人獣共通感染症(ズーノーシス)とは
人獣共通感染症(ズーノーシス)とは、「ヒトと脊椎動物の双方がかかる病気や感染症」を言います。また、「人畜共通感染症」や「動物由来感染症」と呼ばれることもあります。
その多くは、人ではなく動物に由来し、イヌやネコから感染する狂犬病や、鳥の排せつ物からうつるオウム病も人獣共通感染症です。
そして感染症の中でも、人獣共通感染症はすべての感染症のうち約半数を占めています。
その症状は、人も動物も重症になる場合と、動物は無症状で人のみ重症になる、あるいは人は軽症でも動物は重症になるなど、病原体の種類により異なります。
人獣共通感染症は、紀元前から公衆衛生の問題として考えられていたともいわれています。それでは現在、どのような対策が行われているのでしょうか。次に見ていきましょう。
人獣共通感染症が広がる原因とは
国際連合環境計画(UNEP)は、「次のパンデミックを避けるために~人獣共通感染症と感染の連鎖を断ち切る方法~」と題して、人獣共通感染症の原因や実用的な対応策をまとめています。
その中の、人獣共通感染症が発生する主な原因について、一部を要約したものを見てみましょう。
- 動物性タンパク質の需要が増えている
動物由来の食品を消費する量は、高所得国については40年の間ほとんど変化はありませんが、東南アジアでは1960年以降2倍に増加しています。
- 持続可能でない農業が増えている
動物由来の食品の需要が高まるのに合わせて、動物の生産が産業化されるようになりました。その結果、遺伝子の似た、感染症に弱い動物が生まれています。
- 輸送が簡単に行われるようになった
人の移動量や動物・動物製品の貿易が多くなると、それと一緒に病気も往来します。
- 気候変動
人獣共通感染症は気候変動に弱いという特徴があります。
将来的に気候が温かく、湿度が高い環境になれば、人獣共通感染症がより広がりやすくなります。
これらのことから、人獣共通感染症は気候変動のほか、肉を生産する際に動物と接触する機会が増えること、そしてそれを流通させることが原因だと分かります。