「ブルーエコノミー」とは?海と社会のサステナブルな発展に貢献
私たちに恵みをもたらしてくれる海は今、さまざまな危機に面しています。今後、海の環境と資源を守ってくためにはどうしたら良いのかを考えます。
目次
ブルーエコノミーの考え方はSDGsにも
ブルーエコノミーの考え方は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさも守ろう」に該当します。
SDGs(エスディージーズ)とは、2015年に国連サミットで採択された、17の目標と169のターゲットから成る国際目標です。“Sustainable Development Goals” の略で、「持続可能な開発目標」という意味です。
SDGsでは、「持続可能な開発のために、海洋や海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」とあります。その中のターゲットの一部をご紹介しましょう。
- 海洋の資源を守る
- 海洋汚染を減らす
- 過剰・違法な漁業をやめる
- 漁業や水産養殖、観光業を通じて、後発開発途上国などの経済的な利益を増やす
- 海の生物多様性を守ることで、後発開発途上国の開発に貢献する
海洋資源は限られています。特に、小さな島々の後発開発途上国などの影響を考えて、世界全体が海洋資源を適切に利用していくことが大切です。
ブルーエコノミーの取り組み事例
世界的にブルーエコノミーの考え方が広がっていますが、日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。2つの海洋産業界の事例をご紹介します。
「アマモ場再生計画」(漁師や中学生の取り組み)
岡山県備前市日生町では、漁師や地元の小学生が、赤潮を防いで水を浄化する「アマモ」という海藻の再生に取り組んでいます。
日本が高度経済成長期にあったころ、日生町の海の底はヘドロだらけで、魚は姿を消していました。そこで、漁師たちはアマモの種をまいて海を再生させる取り組みを始めます。
すると、1980年に12ヘクタールにまで減っていたアマモ場は、2015年には250ヘクタールにまで回復。魚も戻ってきたそうです。
今では地元の中学生がアマモ再生事業を授業の一環として取り組んでいます。
<参考>日生町漁業協同組合「アマモ場再生計画」
「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」(スズキ株式会社)
四輪車・二輪車・船外機・電動車いすのメーカーであるスズキ株式会社は、海洋プラスチックごみ問題への新たな取り組み「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を行っています。
その一環として2020年、船外に取り付けるマイクロプラスチック回収装置を開発しました。マイクロプラスチックとは、微細なプラスチックごみのことで、海洋環境や生態系を壊す原因物質の一つです。
この装置を船に装備して走行するだけで、水面付近のマイクロプラスチックを回収することができるとのこと。同社では、環境に配慮した船外機の開発を通じて「世界中の海をきれいにしていく」ことを目指しています。
<参考>スズキ「スズキ、世界初の船外機用マイクロプラスチック回収装置を開発」