次世代環境素材「ボタニカルコンクリート」とは?製造方法やメリットを解説
ESGやSDGsなどが提唱され、エシカルな社会づくりが重要視される昨今。 建築分野では、次世代環境素材「ボタニカルコンクリート」が大きな注目を集めています。 今回は、ボタニカルコンクリートとは何かや、そのメリットについてを詳しく解説していきます。
気候変動や海洋汚染問題などを解決しようと、あらゆる分野で持続可能な社会を作るための取り組みが行われています。
そんな中、建築分野では、次世代環境素材「ボタニカルコンクリート」が大きな注目を集めています。
ボタニカルコンクリートは、これまで廃棄対象であったコンクリートがれきや廃木材を使って作られるエシカルな建材です。
今回は、ボタニカルコンクリートとは何かや、そのメリットについてを詳しく解説していきます。
ボタニカルコンクリートは、がれきと廃木材で作られる
ボタニカルコンクリートは、東京大学と株式会社「バイオアパタイト」が共同で開発したリサイクルコンクリートです。
ボタニカル(=植物の)とつくように、ボタニカルコンクリートは廃がれきと「植物(廃木材)」によって製造されます。
「コンクリートがれき」「廃木材」という、今までは限定利用・廃棄対象とされていた資源を再利用することで、サーキュラーエコノミーへの転換に期待されています。
素材を循環させるサーキュラーエコノミーへ
従来よりコンクリートは砕いてセメントを混ぜることで再利用されてはいましたが、道路の舗装などの用途しかなく、利用はかなり限定的でした。
その理由は主に「加工のしにくさ」「デザイン性の狭さ」にありましたが、ボタニカルコンクリートでは木材を混ぜることによってその欠点を改善することに成功しています。
植物を混ぜることによって柔軟性が増して加工しやすくなり、混ぜる植物の種類を変えることで様々なデザインのコンクリートを製造できるようになります。
さらに、セメントを使わずに接着するためCO2の排出が少なくなるなど、環境にやさしいというメリットもあるのです。
従来のコンクリートが、汎用性が高くエコなボタニカルコンクリートに置き換わっていくことは、持続可能な社会のために重要なことだと言えるでしょう。
ボタニカルコンクリートはどのように製造される?
ボタニカルコンクリートは、コンクリートがれきと廃木材を粉砕し混ぜ合わせ、水を加えながら圧縮加熱して作られます。
木材には「リグニン」という成分が含まれますが、東大とバイオアパタイトにより、リグニンは温めると接着剤として作用することが判りました。
この技術により、新たな素材を必要とせず、廃棄素材のみでコンクリートが作れるようになったとのことです。
なお、リグニンは材木のみならず、野菜くずや落ち葉にも含まれるあらゆる植物に存在する成分。
製造に特別な材料を必要とするわけではないため、ボタニカルコンクリートは非常に利用しやすい技術です。
また、植物を分解する菌を用いることによってボタニカルコンクリートは簡単に破壊可能。そこからまたボタニカルコンクリートを製造できるので、再利用できるというのもエシカルな利点です。