次世代環境素材「ボタニカルコンクリート」とは?製造方法やメリットを解説
ESGやSDGsなどが提唱され、エシカルな社会づくりが重要視される昨今。 建築分野では、次世代環境素材「ボタニカルコンクリート」が大きな注目を集めています。 今回は、ボタニカルコンクリートとは何かや、そのメリットについてを詳しく解説していきます。
ボタニカルコンクリートのメリットは?
ボタニカルコンクリートには以下の4つのメリットが存在します。
- 曲げに強く、加工しやすい
- CO2の発生を抑えることができる
- 材料費が必要ない
- デザインが豊富
詳しく解説していきます。
曲げに強く、加工しやすい
ボタニカルコンクリートは従来のコンクリートよりも曲げに強く、加工しやすいという特徴を持ちます。
加工の範囲が広がることで、これまでの舗装道路だけでなく、様々な用途での使用が可能です。
例えば水路などで使うコンクリートパネル。
コンクリートパネルは、耐震や衝撃に強くある必要があり、これまでの再利用コンクリートでは作ることができませんでした。
しかし、強度と柔軟性のあるボタニカルコンクリートであれば、コンクリートパネルとしての利用も可能になると見られています。
今後研究によってさらに強度が上がっていけば、住宅などの建築素材にも使われる可能性もあるとのことです。
CO2の発生を抑えることができる
ボタニカルコンクリートは製造時に大量のエネルギーを必要とするセメントを使いません。
そのため、製造時に必要なエネルギが一般的なコンクリートの半分以下になり、排出するCO2も削減されます。
CO2の増加で上昇する気温による悪影響は、異常気象や海面上昇、食糧生産問題など枚挙にいとまがありません。
あらゆる産業で利用されるコンクリートが、一部でもボタニカルコンクリートに置き換わればかなりの環境保護になることは間違いないでしょう。
加えて、ボタニカルコンクリート専用の装置を作れば必要なエネルギー量はさらに減少し1/10~1/20になる見通しで、今後さらなるCO2の削減に期待できます。
材料費が必要ない
ボタニカルコンクリートは、基本的にコンクリートがれきと廃木材で作られるので、新たに材料費を必要としません。
従来のコンクリートのようにセメントを使用せず、コンクリートがれきと廃木材に含まれるリグニンのみで接着するためです。
前述の通り、ボタニカルコンクリートの接着剤「リグニン」は、様々な植物に含まれる成分なので、どんな廃木材でも利用できます。
そのため、ありとあらゆる場所で製造できるということも大きなメリットです。
100%資源のみで新たな価値を生み出す、サーキュラーエコノミーの理想的な形と言えますね。
デザインが豊富
ボタニカルコンクリートは、混ぜる植物の種類や混合比率を変えることで、様々なデザインに作ることが可能です。
がれきに植物の色素が混ざることで、材料の特徴を持った見た目のコンクリートに変化します。
例えば、茶葉を混ぜれば水にぬれたコンクリートのような黒っぽい仕上がりになり、イチョウと混ぜれば今度は砂壁のような色のコンクリートになります。
さらに、植物には匂いもありますから、例えばヒノキと混ぜ合わせれば、ふんわりとヒノキの香りがするコンクリートを作ることも可能です。
まとめ
ボタニカルコンクリートは、建築分野でのサーキュラーエコノミーに期待されている技術です。
廃棄対象だったコンクリートがれきや廃木材を組み合わせることで付加価値を生み出すことが可能であり、コンクリートの製造や廃材木を減らすことはCO2の削減に役立ちます。
ボタニカルコンクリートは2020年に開発されたまだ新しい技術であり、研究によって今後さらなる性能の向上や用途の拡大が見込めることでしょう。
未来の住宅はボタニカルコンクリートで作られているかもしれません。