世界からも注目を集める日本の「イルカ追い込み漁」の歴史と現状を徹底解説

「イルカショー」のイルカはどこからやってくる?世界や日本、さまざまな立場の人が関わるイルカの追い込み漁について考えてみませんか。

子どもも大人も一緒に楽しめる点も魅力の一つかもしれません。
そんなイルカショーのイルカはどこから来たのか、考えたことはありますか?
この記事では、水族館のイルカのほか、食用、研究用のイルカを捕獲する追い込み漁について、歴史や現状を解説します。
イルカ追い込み漁とは
イルカの追い込み漁とは、船と漁網などでイルカを入り江に追い込んで捕獲することを言います。
イルカ漁にはほかに、銛(もり)と呼ばれる先の鋭い漁具を使う突棒(つきんぼう)漁と呼ばれる方法があり、漁を行う場合はいずれも関係道県知事の許可が必要です。
捕獲されたイルカは、食用や水族館での展示用、研究用として売却されます。
水産庁が公開している「捕鯨をめぐる情勢」(令和4年9月)によると、イルカ漁業全体で漁の許可が下りているのは、北海道、岩手、宮城、和歌山、沖縄、静岡の6県で、対象となる鯨種は、ゴビレゴンドウなどの大型のクジラ属を含めたイルカ10種です。
また、許可を受けた6県のうち、追い込み網漁業(追い込み漁)の水揚げ地は、和歌山県太地町と静岡県伊東市の2カ所となっています。
次に、2020年のイルカの追い込み漁における捕獲実績を見てみましょう。和歌山県では1,870頭の捕獲枠のうち748頭、静岡県伊東市では57頭のうち0頭となっています。
捕獲枠より実績が少ないのは、漁に出ても大きな群れが見つからないなどの理由によるものです。
また、全体の実績のうち、追い込み漁によるイルカの捕獲は半数を超えており、日本のイルカ漁としては主要な手法と言えるでしょう。
【補足】イルカとクジラの違い
イルカ漁業の対象となる10種のうち、大型のゴビレゴンドウやオキゴンドウは、イルカではなくクジラと呼ばれています。
では、イルカとクジラの違いは何なのでしょうか。
クジラは、クジラ目ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目という類に大別されます。
一方、イルカも同じクジラ目ハクジラ亜目です。2種ともクジラ目ハクジラ亜目類ではありますが、一般的に体長4メートルを超える大型の体であればクジラ、4メートル以下の小型であればイルカと呼び分けています。
イルカ追い込み漁の歴史
イルカの漁獲量の半数以上を占める追い込み漁には、どのような歴史があるのでしょうか。
時代をさかのぼると、真脇遺跡(石川県鳳珠郡)では、縄文時代の地層から大量のイルカの骨が発見されているほか、入江貝塚(北海道虻田郡)や稲荷山貝塚(神奈川県横浜市)、井戸川遺跡(静岡県伊東市)などからも出土されています。
しかし、これらのイルカ漁が追い込みによって行われたかは、はっきり分かっていません。歴史上に記録が登場するのは、中世からです。
中世
1377年(永和3年)、肥前国松浦郡青方(現長崎県南松浦郡上五島町)を本拠とした豪族青方重(あおかた・しげし)が残した置文があります。
そこには、海豚(イルカ)を狙った網について書かれており、当時追い込み漁をしていたと推測されています。
近世以降
1675年(延宝3年)、現宮城県気仙沼市の唐桑にでは、建切網を張ってイルカの群れを追い込んでいた記録が残っています。
さらに、19世紀の幕末に書かれた「伊東誌」によると、追い込み漁が行われているのは湯川村と松原村(現伊東市)、稲取村(現東伊豆町)のみでした。
その後、1934年に発行された「静岡県史」(静岡県史編集所)には、妻良と子浦(現南伊豆町)、安良里(現西伊豆町)、御前崎も加わっています。
明治以降
明治になると、静岡の湯川と松原で追い込み漁は廃止されたほか、現宮城県気仙沼市唐桑や岩手県山田町でも、イルカの群れが寄り付かなくなったという理由から行われなくなりました。
一方、静岡県の川奈や富戸(現伊東市)、田子(現西伊豆町)などは、この時期に新たに実施されています。
昭和以降
静岡県の安良里で2万頭の漁獲があったのが1942年で、1960年代には年平均1万1千頭にまで増え、ピークを迎えたことが分かっています。
その後、1980年代初期には年1千頭程度にまで減っています。
また、長崎県の壱岐島では、小型鯨類により魚群が消失するという被害が発生したため、駆除目的で大規模な追い込み漁が行われた時期もありました。
当時はすでに突棒漁もあり、イルカの肉は食用、脂肪は油採取、皮は革製品(特に靴)に用いられていたようです。
その他にも、追い込み漁の行われていた各地域にはそれぞれの歴史があり、現在に至っています。

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