環境に優しいエプソンの新技術、水を使わない「ドライファイバーテクノロジー」とは?
セイコーエプソン株式会社(以下エプソン)が面白い素材を作る技術開発したとのニュースが舞い込んできました。「ドライファイバーテクノロジー」という技術が話題になっています。本来であればゴミになっていた廃棄物を原料として、新しい素材を作ってしまうというのです。
目次
エプソンの「ドライファイバーテクノロジー」がサステナブル技術の理由とは?
このドライファイバーテクノロジーが注目されているのは、単純に「新しい技術だから」という理由だけではありません。
SDGs目標の達成に向けて、全世界が一致団結している昨今。このエプソンの新しい技術は、サステナブルな取り組みだと話題になっています。
古い素材を再利用できる
ドライファイバーテクノロジーで新素材を作る際、従来の素材を作るような羊毛や木材も原料となります。
でも注目されているのは再利用素材の方。すでに加工されている素材を、もう一度リサイクルすることができるのです。
例えば、新聞やオフィスペーパーなどの古紙、服として売られている化学繊維やコットン、ウールなど。
この技術によって、素材作りのために、新しい木を切り倒す必要はなくなります。
ゴミを減らすことに繋がる
従来リサイクルすることが難しいとされていた素材や、新しい素材を作るときにどうしても出てしまう「素材の切れ端」のようなものは、今まで産業廃棄物として処理されていました。
しかし、ドライファイバーテクノロジーを使うことで、そのようなゴミを別のものによみがえらせることができます。
これによって、モノづくりにおけるゴミの排出量を抑えられます。
繊維化するのに水を使わない
従来の素材を作る方法や、古紙をリサイクルする方法では、とにかく沢山の水を使うのが主流です。
「リサイクル」というエコなことをしているはずなのに、大量の水を使っていてはサステナブルではありません。
そこに目を付けたドライファイバーテクノロジーは、限りなく少ない水分量で、新素材に切り替えることに成功しました。
産業廃棄物だけでなく、地球上の水の保全にも繋がっています。
「ドライファイバーテクノロジー」は何に使えるの?
サステナブルな技術として注目されるドライファイバーテクノロジーは具体的に、どのようなものに使われるのでしょうか。
現時点で発表されているものを、ご紹介していきます。
アパレル業界のパッキング材
そもそも布を作るだけでも環境負荷が高い上、服の生産過程ではたくさんの繊維の端切れやくずが発生するため、アパレル業界はサステナブルとは程遠い業界と言われてきました。
そんなコットンの端切れをかき集めて、ドライファイバーテクノロジーを使い梱包材・包装材を作る取り組みが進んでいます。
実際に新素材で作られた梱包材は、2022年からエプソンが発売する一部の商品で使われるようになっています。
紙を再利用してマスクを生産
2020年、新型コロナウィルスのパンデミックの真っただ中で、さっそくこのドライファイバーテクノロジーを使ったニュースが話題になりました。
使用済の紙をリサイクルし、別の素材にすることができるこのエプソンの最新技術。
まさにその技術を使い、フェイスシールドやマスクなどの生産するとエプソンは発表し、話題を集めました。
産業廃棄物を再利用して作られたフェイスシールド5600枚、医療量マスク10万枚は、長野県へ無償提供に繋がったそうです。
エコな取り組みをしながら、前線でパンデミック対応に追われる人たちをサポートした事例として、注目を集めています。
エプソン社による公式発表はこちらをご覧ください。
オフィスペーパーの再利用
オフィスで使われた紙を集めて、リサイクルに回すことは当たり前の光景になりました。
でも、その古紙がどこに行って何になっているのかはよく分からないというのが正直なところではないでしょうか。
そんな古紙リサイクルですが、使用済の紙を使って新たな紙を生み出す機械が開発されています。
これによって、自社で出る紙ごみを、同じオフィスペーパーにリサイクルしたり、名刺用の紙にしたりと、自社内でリユースすることが可能になります。
いわゆる「紙の自給自足」というイメージでしょうか。さらに、企業内の機密文書の破棄も自社で行なえるようになるので、注目を集めています。
この機械については、これから自治体などでの導入が期待されています。
まとめ:サステナブルな世界に向けて注目されるエプソンのドライファイバーテクノロジー
本来であればゴミとして処理されていたような、紙や木材、繊維素材を、もう一度リサイクルして別の素材によみがえらせる。
しかも、その加工過程は過去のリサイクル技術とは異なり、ほとんど水を使わない。
そんな環境に優しい技術である「ドライファイバーテクノロジー」をエプソン社は開発しました。
「たくさん作って、たくさん売る」ことが良しとされる時代は終わりました。
これからは、「どれだけ環境への負荷をかけているか」「どれだけ環境に配慮しているか」が重要視される時代です。
ドライファイバーテクノロジーは、素材のゴミを減らしつつ、より良い素材へとアップサイクルしてくれる、貴重な技術として注目されています。
他にも、よりサステナブルな経営に乗り出している企業は沢山あります。
こちらでは各コンビニの対応についてまとめました。合わせてご覧ください。