【フランス】動物虐待・遺棄を厳罰化、先駆的な動物愛護新法の詳細を解説

【フランス】動物虐待・遺棄を厳罰化、先駆的な動物愛護新法の詳細を解説

2021年11月に可決されたフランスの動物愛護新法では、新たに飼い主となる人の責任理解を徹底する証明書の義務化や、遺棄や残虐行為の厳罰化、動物関連ビジネスの縮小・廃止などが決定されました。世界的にも先駆的なフランスの動物愛護新法についてわかりやすく解説します。

ハッピーキヌア編集部
2023年06月04日
【フランス】動物虐待・遺棄を厳罰化、先駆的な動物愛護新法の詳細を解説
2021年11月18日、フランスの上院では、賛成332票、反対1票、棄権10票のほぼ満場一致で、動物愛護新法が可決されました。

新たにペットを飼う人の責任理解を徹底する証明書の義務化や、遺棄や残虐行為の厳罰化など、犬・猫の生体販売の禁止に留まらず多くの内容が含まれています。

 

世界に先駆けて、動物福祉に向けた国を挙げた動きが、着実に進められているフランス。

今回の記事では、フランスの動物愛護新法についてわかりやすく解説していきます。

 

動物愛護新法の背景

フランスでは、1100万匹の猫、900万匹の犬、100万頭の馬など、半数の人が少なくとも1匹のペットを飼っているという数字が出ています。

多くの人がペットを家族として愛していますが、それでも毎年10万匹以上の動物が捨てられていると言います。

 

しかし近年、若い世代を中心とするヴィーガニズムやアニマルウェルフェアへの関心の高まりも受け、この数字は以前より、より深刻に受け止められています。

 

フランスのニュースを発信するメディアThe Connexionによると、ジュリアン・ドゥノルマンディ(Julien Denormandie)農務大臣は、ペットについて「おもちゃでも消耗品でもない」と動物の権利について述べたと言われています。

そしてこのことが、フランスで動物愛護新法への機運が高まるきっかけとなったと言われています。

参考:France’s new animal welfare law passes: What will it change for pets?

 

日本における犬・猫の殺処分数

ところで、日本での状況はどうでしょうか。

環境庁の統計では、犬・猫だけでも、2004年度で418,413匹が引き取られ、その内の飼い主への返還・里親への譲渡に結ばれなかった394,799匹以上が殺処分されたというデータが公開されています。

 

その後、次第に引き取り数並びに殺処分数は減少し、2021年度の統計では、約58,907匹の引き取り、14,457匹の殺処分にまで大きく減少しました。

しかし、未だに多くの命が失われていることには変わりありません。

 

また、日本の環境庁の統計では犬・猫のみを対象にしているため、馬やウサギなど、他の動物も含めたらフランスよりも大きい数字になるかもしれません。

 

動物愛護新法の内容

同法案では、ペットショップでの犬・猫の販売禁止のほか、多くの内容が盛り込まれています。

サーカスやイルカ園での動物の使用を段階的に禁止するほか、広告サイトやペットショップでの犬猫の販売も禁止される予定です。

今後、ペットを購入しようとする人に適用されるルールも含めた、新法の詳細を紹介します。

ペットショップでの犬・猫の販売禁止

犬や猫のペットショップでの販売は、2024年1月1日から禁止。

犬や猫を家族として迎え入れる場合は、保護団体や個人間での譲渡を利用することになります。

また、衝動買いを抑制するための措置も盛り込まれています。

ペットの購入者には、飼育の責任に関する誓約書類の提出を義務付け、署名してから7日間の待機期間を設定し、18歳未満の未成年者の購入には、親の同意が必要となります。

 

ペットのオンライン販売も、本物のブリーダーを除いて禁止されます。

事前チェックシステムを導入していないプラットフォームは、7,500ユーロ以下の罰金に処されるリスクがある他、脊椎動物の生体を郵送することも禁止されます。

 

さらに、ウサギ、魚などはペットショップで販売を継続して行えるものの、動物をショーウィンドウに陳列して展示することは禁止されています。

展示されることにより晒される動物へのストレスの軽減が期待されています。

 

動物虐待の厳罰化

また、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、動物虐待や遺棄を厳罰化。

法律に違反しペットを虐待死させた場合は、最大で禁錮5年、罰金75,000ユーロ(約970万円)が科せられます。

現在の法律の罰則は、最大で禁錮2年、罰金30,000ユーロ(約390万円)なので、動物愛護新法によってかなり厳しくなることがわかります。

イルカ・シャチなどのショーの禁止

多くの水族館で、集客力の要となる大きな名物でもある、イルカ・シャチなどのショーも禁止されます。

施行までは5年間の移行期間が設けられ、2026年より完全に禁止されます。

飼育については、ショーの禁止施行後も一部の施設において許可を得たうえで、動物の飼育の継続が認められることとされています。

移動型サーカスでの野生動物の使用禁止

移動型サーカスでの、野生動物の使用が2028年から禁止され、パフォーマンスの強要や動物の輸送も禁じられます。

イタリア、ベルギー、イギリスなどの近隣諸国では、すでに移動型サーカスでの野生動物の使用を禁止する法律を制定しています。

長く世界中で娯楽として大衆に親しまれてきたサーカスですが、今後、従来のサーカスは変化せざるを得なくなるでしょう。

地球にも動物にもやさしい、新しいサーカスが誕生するのかもしれませんし、サーカスは間もなく過去のものとして歴史の一部になるのかもしれません。

ミンクの養殖禁止

毛皮を製造するためのミンクの養殖も禁止されます。

これにより、フランスで唯一残っていたミンクの毛皮製造施設の閉鎖が決定しました。

まとめ:世界で広がる動物愛護の動き

フランスでは国民の約半数が犬や猫などと暮らしており、毎年約10万頭の動物が捨てられているといいます。

そのような背景から、今回の法案では、責任を持って彼らと暮らすための施策が盛り込まれました。

動物保護団体のPETA(People for the Ethical Treatment of Animals)は、動物愛護の活動を数十年前から起こしており、今回の法案成立を高く評価しています。

しかしこの法案では、ガチョウやアヒルの肝臓を肥大させてフォアグラを生産することや、闘牛、狩猟などについては取り上げられていませんでした。

 

そのため、一部の動物愛護活動家からは、不十分であると指摘する声も上がっていました。

しかし、フランスが動物愛護に向けた動きを示したことは、世界に大きな影響を及ぼすとみられています。

 

ペットショップでの犬・猫販売や、イルカ・シャチのショーを禁止する動きは、国や地域のみならず、企業レベルでも見られるようになっていきています。

今後は、企業レベルでの取り組みがさらに大きな動きとなっていくことへの期待が高まるでしょう。

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