廃水を菌糸体タンパク質にアップサイクル、Hyfé Foodsのビジネスモデルをご紹介
200万ドルもの投資を勝ち取った、フードテック企業、Hyfé Foods。なぜこの企業が、大きな資金調達を実現できたか?そこには、私たちの未来の食糧危機を救うカギがありました。
なかでも、最先端のテクノロジーを駆使した、新しい代替食品の分野での勢いは、すさまじいものがあります。
また、食品以外でも、ヴィーガンであり、サステナブルな、アップサイクル技術の成長も、著しいですね。
「こんなものも?」
というような、廃棄されていたものを、アップサイクルした、ヴィーガンレザーなどが、いい例です。
今回は、テクノロジーを用いて、食品工場から出た排水をアップサイクルし、アレルゲンフリーで高タンパク質の、小麦代替食品を開発した、Hyfé Foods(ハイフェフーズ)を、ご紹介します。
目次
Hyfé Foodsとは、どんな会社?
Hyfé Foods(ハイフェフーズ)は、アメリカ・イリノイ州で、2001年に設立された、フードテック企業です。
CEOであるミシェル・ルイスと、CTOのアンドレア・ショーンの、ふたりの共同設立による企業です。
主要なスタッフは、全員、高い能力を持った、女性エンジニアばかりです。
若いエンジニアが共同設立
ミシェル氏は、カーネギーメロンの化学エンジニアであり、エクソンモービルにおいて10年以上の製造経験があります。
さらに、そこでの経験から、廃水処理のバイオエンジニアリングの専門知識を持っています。
アンドレア氏は、ウィスコンシン大学ノースウェスタン大学でのバイオエンジニアという経歴があります。
そして、世界初の、商業規模の、ガス発酵プラントの立ち上げを支援した、登録特許代理人という経歴の持ち主です。
その、は、食品や、ビール製造などの飲料メーカーから、廃水とされてきた、糖を含む水を原料として、小麦粉の代替となる、さまざまな食品用の菌糸粉を製造しています。
さまざまな投資企業からの資金を獲得
この、若いエンジニアたちの試みが評価され、投資企業であるTHE ENGINEが主導するベンチャーから、200万ドル(約2億6000万円)の資金調達を達成しました。
ほかにも、アルゴンヌ国立研究所の、連鎖反応イノベーション(CRI)アクセラレーターを通じて、エネルギー省(DOE)の助成金を授与することにも成功しています。
Hyfé Foodsの菌糸体タンパク質
Hyfé Foodsの菌糸体タンパク質粉を作るプロセスは、小麦の代替品となります。
高タンパク、低炭水化物の、菌糸体タンパク質です。
今までの、菌糸体タンパク質の開発利用は、主に、肉の代替品へと注がれていました。
しかし、Hyfé Foodsは、工場のプロセスと発酵技術を組み合わせ、主食としても応用のきく、代替小麦の生産を成し遂げました。
出典:シェアシマinfo
Hyfé Foodsのアップサイクル
菌糸体を培養し、タンパク質製品を生産する企業は、多く存在します。
それらは、コーヒーの搾りかすや、おがくずなどの、食品残渣となるものを、使用しています。
使用後は、やはり、処分するためのコスト、CO2などが、発生してしまいます。
しかし、Hyfé Foodsでは、食品製造工場で、廃水として扱われる水を利用しています。
その水は、使用後、またきれいな水にして、工場に戻っていきます。
廃水処理にかかるコストや、ガスの発生を、抑えることができ、水の使用量そのものも、抑えることができます。