日本人の食卓を彩るのに欠かせない、昆布、わかめ、海苔などの「海藻類」。
食材として、何千年もの歴史をもつ海藻類は、日本だけでなく、韓国、中国などのアジア圏でも重宝されています。
そんな日本人にとってお馴染みの「海藻」ですが、食材以外にも活躍できる可能性を秘めており、近年ではサステナブルなアイテムとして、注目を集めています。
本記事では、「サステナブルな世界を支える海藻の魅力」についてご紹介いたします。
海藻が、なぜサステナブル?
海藻がサステナブルな理由は二点あります。
- 成長過程
- 用途のバラエティー
気になるその理由の詳細を見ていきます。
1.成長過程
通常、作物は育つまでに、大量の水、肥料等が使用されます。
食肉生産の過程においては、飼料、水が必要になるばかりではなく、家畜のおならやゲップによる、メタンガス・二酸化炭素の排出量が非常に多く、地球温暖化問題の要因と言われれいます。
一方で、海藻は水の中で育つ為、肥料や余剰の淡水を必要とせずに栽培が出来ます。
また光合成で成長する海藻は、二酸化炭素(CO2)の吸収源としても活躍しています。
海藻は成長が早く、短い間にたくさんのCO2を取り込むことが出来るのです。
以下の表は、一年間に吸収するCO2の量を、面積1ヘクタールで比較したものです。
昆布場 | 杉林 | |
CO2吸収量 | 16t | 3.5t |
昆布が生息する地の方が、杉林よりも約4.5倍の量のCO2を吸収していることが分かります。
2.用途のバラエティー
日本でも古くから、健康食材として愛されている海藻。
海外では、紅藻を使用した「植物由来のベーコン」の開発を始め、昆布とその他のスーパーフードから成る「植物由来のハンバーガー」が販売されたりと、海藻は「海の野菜」として新しく食の幅を広げています。
更に海藻の注目したい点は、食材以外としての用途の拡大です。
多くのサステナブルを取り入れる企業が、将来性のあるアイテムとして海藻に目を向けています。
その用途としては
- バイオ燃料
- プラスチック代替え
- 建築材料
- 衣服の素材
- 電力エネルギー
などです。
次の章では、これらの用途について詳しく見ていきます。
海藻が世界を救う?!驚きの用途5選
1. バイオ燃料

藻に含まれる油を圧縮すると液体燃料になり、この液体燃料が石油に代わる「バイオ燃料」として注目を集めています。
従来のガソリンよりも、温室効果ガスの排出が抑えられます。
また、有限である石油と反対に、繁殖し続けることの出来る海藻。
次世代の燃料として使用することは、持続可能な世界を創り上げていくのに順応していると言えます。
【参考】自動車業界の動向についてはこちらの記事をご覧ください。
エシカル、2030年ガソリン車新規販売禁止!自動車業界の動向は?
2. プラスチックの代替え

海藻は、プラスチックの代替品としても使用可能です。
イギリスの企業であるNotpla(ノップラ)は、海藻を使用したプラスチックの開発を進め、分解可能なペットボトルの容器を生み出しました。
また、新企業であるLoliware(ロリウェア)は、海藻を使用したストローを製造しており、プラスチックに似た感触ながら、簡単に分解出来ることで注目を集めています。
紙や、トウモロコシから作られたストローよりも耐久性があることから、今後普及が期待されるサステナブルアイテムと言えるでしょう。
出典:海藻から作った代替プラで環境派投資家から6.5億円を調達したLoliware
3. 建築材料

海藻は、丈夫で耐久性があり、カビや虫にも強く、不燃性であるため、建築材料としても優れています。
中国にあるバンガローの屋根は、昆布から作られたことで有名です。
またデンマークのレス島でも、島に木材がなくなってしまった事をきっかけに、海藻の種類アマモを使用した屋根葺きが行われていました。
古代から、植物は、屋根の材料として利用されてきましたが、海藻もまた建築材料として今後普及していくかもしれません。
出典:デンマーク・レス島に伝わる「海藻葺き」の屋根とは?デザイン学校の学生が再現に挑戦
4. 衣服
アパレルのブランドでは、海藻を衣類の素材として使用しています。
イスラエルのサステナブルブランドである、Algaeing(アルジーイング)も海藻を衣類に用いています。
PANGAIA (パンゲア)の手掛けるTシャツは、海藻と、GOTS認証のオーガニックコットンを組み合わせて出来ており、サステナブルなポイント満載です。
ヴィーガンファッションの観点から見ても、海藻でできた洋服は、今後更に取り入れていくべき要素になるでしょう。
【参考】ヴィーガンファッションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
5. 電力エネルギー

2013年にドイツで、世界で初めてとなる藻類を動力源にする建物ができました。
藻類の光合成を利用し、太陽エネルギーを得て、それを電力源にしています。
藻類の光合成からなるバイオマス燃料が今後、新たな自然エネルギーとして普及されるかもしれません。
まとめ
海藻の持つ驚くべき用途。いかがでしたでしょうか。
次世代のサステナブルアイテムとしての「海藻」は、無限の可能性を秘めていることが分かりました。
有限である資源から、循環できる資源を見つけていくことは、持続可能な世界を創りあげる上で欠かせないものになります。
今後、私たちの生活に、「海藻」がどう関わってくるか目が離せません。