食で気候変動に挑む、デンマークの「クローネ計画」とは?
デンマークの「クローネ計画」は、政府が日本円で約218億円を投じて研究開発を行う、プラントベースの食料計画です。気候変動問題の原因となる温室効果ガスの抑制を目標にしています。クローネ計画とは何か、気候変動との関連、背景にある肉食からプラントベースへの食習慣の転換など、クローネ計画とデンマークの今について解説します。
パリ協定は、世界の平均気温を2℃より十分に低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目標に掲げています。
気温の上昇を抑えるには、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減が求められ、各国は自主的に目標を作成し、取り組を始めています。
その参加国の一つ、デンマークが発表した「クローネ計画」は、この気候変動問題を解決するための国の政策です。
この記事では、クローネ計画とは何か、プラントベースと気候変動との関係、そして、クローネ計画の背景など、デンマークの「クローネ計画」について解説します。
参考:外務省ホームページ
デンマークの「クローネ計画」とは?
デンマーク政府は、気候変動対策として、プラントベースのたんぱく質の生産を大幅に増やすための研究開発を行う、大規模な計画を発表しました。
投資額は、これまでEU(欧州連合)で行われたプラントベースの研究開発の中でも、最も大きな12億5000万デンマーク・クローネ以上(日本円で約218億円)。(デンマーク・クローネは、デンマークの通貨単位です。)
「クローネ計画」とは、「12億5000万デンマーク・クローネ計画」という、食料計画です。
投資額の内訳は、製品の開発と販促費用に、9年間で6億7500万デンマーク・クローネ。そして、プラントベースの作物を栽培する農家に5億8000万デンマーク・クローネが支援される予定です。
これまでにないスケールのプラントベースの計画は、ヴィーガンだけでなく、世界から注目を集めています。
デンマークの「クローネ計画」が気候変動対策になる理由
この食料計画は、気候変動とどう関わっているのでしょうか。
デンマーク気候・エネルギー・建物省は、国家気候法を可決し、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比70%排出削減し、2050年までに実質ゼロとすることを目指すと発表しました。
参考:環境展望台ホームページ
その目標を達成するための一つの手段として、肉よりも植物を多く生産・消費して、温室効果ガスの削減に貢献するのがクローネ計画です。
なぜ肉が温室効果ガスを増やす原因になるのでしょうか。
肉を生産するには、飼料の栽培に使う重機や輸送の燃料などから二酸化炭素を排出します。また、家畜の排せつ物を処理する際の、窒素を取り除く過程で、温室効果ガスの亜酸化窒素が出る可能性があることや、堆肥にしても、温室効果ガスのメタンが排出されるのです。
一方、植物生産の場合、栽培時の二酸化炭素に限られ、肉と比べて温室効果ガスの量は少なく、気候変動に効果的であると考えられています。
食料を、肉からプラントベースへと移行することで、温室効果ガスが削減できるのです。