ヴィーガンの方がたくさん取り入れているという噂の大豆発酵食品。いったいどのような食材をイメージしますか?
植物性タンパク質が豊富で積極的に取り入れたい大豆食品と、最近では「菌活」という単語も出てきているくらいブームとなっている発酵食品。
これらが組み合わさった最強の食品である大豆発酵食品についてご紹介していきます。
Dr. Amanoが皆さんの疑問にお答えします!
健康のこと、食材のこと、栄養のこと。 ヴィーガン生活を送る上で気になる疑問に、医師であるDr. Amanoがお答えします。
天野 方一
医師/公衆衛生学修士(MPH)/博士(公衆衛生学)/ 2018年よりハーバード大学院に留学。専門は内科、腎臓、抗加齢医学など。
この医師監修シリーズは、以前にハピキヌの公式インスタのストーリーで募集しました、フォロワーの皆さんの健康に関する疑問への回答となります。
今後も隔週で記事を更新して参りますので、お楽しみに!
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「大豆」と聞くと、煮豆のようなものをイメージして、どうも口に合わないな…と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
大豆から出来ている食材は色々あるので、食べやすい方法で、毎日の食生活に取り込んでいきましょう!
大豆発酵食品が健康に良いと言われる訳
ヴィーガン食生活を取り入れている方にはおなじみの大豆ですが、単純に植物性タンパク質が豊富なだけでなく、とても栄養価が高い食材です。
そのまま食べても体に良い食材ですが、それをさらに発酵することで、さらに栄養価UPしたのが大豆発酵食品です。どのように体に効果があるのかを具体的に見ていきましょう。
そもそも大豆は栄養価がたっぷり詰まった食材
大豆は「畑の肉」ともいわれるくらい、植物性タンパク質が豊富な食材のため、ヴィーガンやベジタリアンな食生活をしている人は積極的に取り入れています。
たんぱく質以外にも豊富なビタミンB・ビタミンK・葉酸・カルシウムやマグネシウムなどのミネラル・鉄・亜鉛など、多くの栄養素を含んでいます。
小さな豆に見えますが、水につけておくと、数日で芽が出てくるほどの生命力の塊です。
加えて、大豆に含まれているイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをしてくれます。
アンチエイジングや美肌効果、更年期障害の緩和や骨粗しょう病予防にも効果があると言われています。
大豆は発酵することでさらに栄養価がUP
植物性タンパク質や多くの栄養素を含んでいる大豆ですが、発酵させると更に栄養価がUPします。
例えば、大豆発酵食品の代表格である納豆は、大豆を納豆菌で発酵させたものですが、ビタミンBやビタミンKの量が、大豆のままと比較して各段に上がります。
納豆菌が腸内環境を整える役割を果たしてくれるのに加えて、大豆そのものの食物繊維も腸内の善玉菌と相性が良いので、積極的に納豆を食べることは腸内の善玉菌を増やすことに繋がります。
発酵するときに発生する複数の酵素は、たんぱく質やビタミンなどの栄養素を分解するのを助けてくれます。
大豆発酵食品を食べる方が、そのまま食べるよりも、大豆の持つたくさんの栄養素を、体が吸収しやすいというメリットがあります。
体調不良などで胃腸の調子が悪い方、消化力が弱っている方には、特におすすめしたい発酵食品です。
大豆発酵食品で死亡率が低下という報告も
栄養価の高い大豆発酵食品ですが、実際の2020年に実施された調査では「大豆発酵食品を食べている人は、死亡率が低い」というデータが取れています。
- 日本各地の住民約10万人の生活習慣から大豆摂取量と死亡率に与える影響を調べた調査
- 大豆発酵食品の摂取量が多い人の死亡率が低下した
- 非発酵の大豆食品では、死亡率の低下は見られなかった
参考源:the BMJホームページ|Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study
納豆や味噌などの大豆発酵食品を積極的に食べている人の方が、食べていない人と比べて長生きしているということになります。
日本人の食生活に馴染みのある大豆発酵食品ですが、最近食べていないな…という方はいらっしゃいませんか?これを機に、積極的に食卓に取り入れていきましょう。
健康的な食生活に取り入れたい大豆発酵食品
リサーチでも紹介されているほど、体に良いことが分かっている大豆発酵食品ですが、まずは何から取り入れたらいいのでしょうか。
誰でも手軽に始められるように、いくつかの食材をご紹介していきます。
日本を代表する大豆発酵食品:納豆
発酵した豆といえば、間違いなく1番最初にイメージするのが日本の納豆でしょう。
本来の作り方では、大豆・水・納豆菌の3つしか使わずに作られています。安いものには添加物などが加えられている恐れがあるので、成分表をしっかりと確認してから買うようにしましょう。
納豆といえば、ネバネバと糸を引くのが特徴ですが、あのネバネバにはナットウキナーゼという酵素が発酵により生まれています。
血管にできる血栓を溶かす働きをするので、血液をサラサラにしてくれる効果があります。
インドネシアを代表する大豆発酵食品:テンペ
「体に良いとはわかるけれど納豆は臭いが苦手…」という方にお勧めしたいのは、インドネシアの大豆発酵食品のテンペです。
ヴィーガン・ベジタリアンの食生活が浸透するにつれて、少しずつ日本でも販売先が増えてきています。
大豆をテンペ菌で発酵したものですが、納豆のような独特な香りやクセがないことで有名です。
高野豆腐のような姿形なのと、硬さのため、薄くスライスして炒め物にいれたり、揚げ物にしたりと調理方法がいろいろと楽しめるのもテンペのいいところです!
噛み応えもあるので、料理をヘルシーにボリュームアップさせたいという方にもおすすめです。
まだ「スーパーで手軽に買える」というほどメジャーではないテンペですが、通販などでお取り寄せ可能なので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
大豆発酵食品である調味料:醤油・味噌・コチュジャン
毎日の食事に少しずつ大豆発酵食品を取り入れてみたいという方にお勧めなのは、調味料を見直すことです。「毎日納豆生活」はハードルが高くても、調味料なら手軽に始められる気がしませんか。
実はこれらの調味料は大豆発酵食品です。
- 醤油:大豆+麹菌 から出来ています
- 味噌:大豆や米、麦+麹菌 から出来ています
- コチュジャン:韓国料理の定番調味料も、大豆麹で出来ています
調味料は、安いものだと添加物が入っていたり、本来の麹菌を使った作り方でない場合もあります。
健康の為にも、買う前に成分表を確認したうえで、出来るだけ原料がシンプルなものを選びましょう。
まとめ:大豆発酵食品は毎日とりたい!健康的な食生活に向けた第一歩
いかがでしたでしょうか。植物性たんぱく質が多いため、ヴィーがんやベジタリアンな食生活をしている人は積極的に取り入れていきたい大豆です。
その中でも、大豆発酵食品は発酵菌のおかげで、さらに栄養価がパワーアップしたスーパーフードなので、毎日の食事に意識していきたい食材です。
納豆やテンペなどの発酵食品を積極的に食卓に並べることを意識しつつ、調味料を見直すことでも毎日の食卓に大豆発酵食品を増やすことができます。
食生活改善に無理は禁物です。頑張りすぎて短期間で飽きてしまうよりも、できる範囲で少しずつ摂取量を増やしていくことが、健康への第一歩です。