世界のサステナブルな建築7選(アメリカ、シンガポール、イタリアetc…)
設計から運用まで環境と人に配慮したサステナブルな建築が注目を集めています。今回は世界のサステナブルな建築7選をピックアップしてご紹介。
生活のあらゆる部分で環境への配慮を行うことが必要とされている昨今。
建築の分野でも、設計から施工、運用まで環境に配慮したサステナブルな建築が求められています。
建築というと自然を破壊する、といった印象があるかもしれません。
ですが、世界にはすでに画期的な技術や工夫が凝らされたサステナブルな建築がいくつもあります。
そこで今回は、世界のサステナブルな建築を7つ厳選してをご紹介していきます。
目次
1. Bullitt Center(ブリットセンター) / シアトル
まず最初にご紹介するのは、世界で最も環境に優しい自給自足型の商業ビル「ブリットセンター」です。
建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)で、世界で最もエネルギー効率の高い商業ビルのひとつと言われています。
全館分の電力を発電する太陽光パネルや飲料水として処理できる雨水貯水タンク、水を使用しないバイオトイレなど、ありとあらゆるサステナブルな機能が組み込まれています。
建設に関わる二酸化炭素の排出や、材料に含まれる体積炭素も考慮しており、地元の自然素材やリサイクル材を使用。
労働者や近隣住民の健康にも配慮した上でデザインされています。
出典:「世界で最もエネルギー効率の高いビル」 シアトル・ブリットセンターが進めた建築の民主化 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan
2. CopenHill(コペンヒル)/ デンマーク
デンマークの首都コペンハーゲンにある「コペンヒル」は、ゴミをエネルギーに変える廃棄物発電所に屋上スキー場を組み合わせた施設です。
廃棄物発電所としてはゴミ焼却時に発生したクリーンな電力と地域暖房を150,000世帯にを供給。
10,000㎡の緑豊かな屋上はレクリエーション施設となっており、山がないデンマークでもスキーが楽しめるんです。
他にもハイキングやボルダリングといったアクティヴィティがあり、子供から大人まで楽しめる施設となっています。
木や草花が植えられており、鳥や昆虫の生息地としても機能。
インフラだけではなくレクリエーション施設を兼ね備えたCopenHillは、快楽主義的なサステナビリティを体現したランドマークとなっています。
出典:Featured Project: CopenHill, Denmark – Greenroofs.com
3.TECLA(テクラ)/ イタリア
イタリア・ラヴェンナにある「テクラ」は、世界初で初めて3Dプリンターと土で作られた低炭素の大型クレイハウスです。
建築家Mario Cucinellaと3DプリントのスペシャリストWASPとのコラボレーションによって始まったこのプロジェクト。
自然災害や緊急事態の際に避難したコミュニティやホームレスが住めるよう、素早く低価格で提供できることを想定して作られました。
泥で巣を作るドロバチからインスピレーションを得たこの建設物は、地元の土を使用しているのでコストも環境への負荷もかかりません。
どこにでもある土を使用するので、ほぼどこにでも建設できます。
建設時間とエネルギー消費を削減することで、さまざまな気候に適応できるサステナブル家を手頃な価格で作成可能となっています。
出典:In Italy, 3D Printers Are Making Eco-Friendly Emergency Housing – Mario Cucinella Architects
出典:TECLA House, Massa Lombarda – Mario Cucinella Architects | Arquitectura Viva
4. シンガポール国立大学SDE4 / シンガポール
次にご紹介するのは、シンガポール国立大学のデザイン環境学部「SDE4((School of Design and Environment 4)」です。
こちらのキャンパスは、シンガピール初のネット・ゼロ・エネルギー・ビルとなっています。
シンガポール政府所有の都市開発コンサルタント会社Surbana Jurongと建築設計事務所Serie Architects、Multiply Architectsによって設計。
6階建てで、屋根には1,200以上のソーラーパネルが設置されています。
自然に囲まれた開放的な作りになっており、自然換気を促進。
さらに、天井に取り付けられたファンと冷たい空気を室内へ送り込むハイブリッド・クーリング・システムを組み合わせて暑さ対策を行っています。自然との調和を考えて設計された建設物です。
出典:ネット・ゼロ・エネルギーの大学キャンパスとは?シンガポール国立大学のグリーンな再開発 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
5. The Museum of Tomorrow(ミュージアムオブトゥモロー)/ ブラジル
ブラジル、リオデジャネイロの「ミュージアムオブトゥモロー」。
海辺にあるこの博物館は、自然のエネルギーを取り入れるサステナブルな設計となっています。
太陽の光に応じて移動し、エネルギー吸収を最大化するソーラーパネル、グアナバラ湾から水を引いて使用する空調システムなどがあります。
グアナバラ湾から引いた水は建物を囲む反射プールにも水を供給。水はろ過されて小さな滝を通って湾に戻されます。
特に持続可能な水の利用はこの博物館の大きな特徴です。
洗面台や流し台、シャワーの水は1日あたり最大 4,000リットルの水に達する空気の除湿に使用される水とともに処理され、再利用されます。
毎年1,200 世帯以上を維持するのに十分な量の水と電力の節約を実現しています。
6. Vancouver Convention Centre(バンクーバーコンベンションセンター)/ カナダ
カナダのバンクーバーに位置する「バンクーバーコンベンションセンター」西棟は、グリーンビルディングの認証プログラムであるLEED認証をダブル取得している施設です。
24,000m2の緑化された屋上が特徴で、400,000を超える草花が植えられ、セイヨウミツバチなどの昆虫が生息しています。
また、海の生物にも配慮して埋め立てをせずに海洋生物の生息地を組み込んで設計。
海水を利用する海水冷暖房システムで冷房・暖房を行い、エネルギーを削減しています。
建築物としてサステナブルなのはもちろん、施設全体でリサイクルプロジェクトを実行したり、地元の季節の食材を使用したキッチンを運営したりと日々サステナブルな実践を行っている施設です。
出典:Sustainability – Vancouver Convention Centre
7. Urban Forest(アーバンフォレスト) / オーストラリア
最後にご紹介するのは、オーストラリアの「アーバンフォレスト」。現在進行形のプロジェクトで、2024年に完成予定です。
オーストラリアを拠点とする建築家・高田浩一氏が手掛けています。
アーバンフォレストは30階建ての高層マンションで、392戸の住宅と2階建ての屋上庭園、地上の公共公園が含まれます。
250種以上の植物が植えられ、ファサードを1,000本の木と20,000の植物で覆う予定です。
また、多くのコンクリートには製造時に二酸化炭素を排出するポルトランドセメントが使われます。
ですが、アーバンフォレストでは、従来のコンクリートよりもポルトランドセメントが40%少ない低炭素のものを使用。
建築の環境性能評価システムに相当するグリーンスター評価を取得し、「世界で最も環境に優しい住宅ビル」になることを目指しています。
まとめ
建築は住宅や施設など、人間が生きていくのに必要なものです。だからこそ、サステナビリティが求められています。
サステナブルな建築は環境だけではなく、地域に住む人やその建物を利用する人へも配慮を行っています。
自然環境、そして社会と調和するサステナブルな建築は今後ますます必要とされるでしょう。
あわせて読みたい