BioBetterが1000万ドルの支援を調達、「タバコ」で培養肉生産コストを大幅に削減
タバコを培養肉産業に取り組むという新たな革命を起こそうとしているスタートアップ企業BioBetterを紹介します。
タバコは百害あって一利なしと言われ、健康を健康を蝕む原因の一つといっても過言ではないでしょう。
しかし、タバコ植物は、新しい食肉分野を発展させる鍵を握っているのかもしれません。
イスラエルに本拠を置くBioBetter(バイオベター)社は、培養肉を作るのに必要なタンパク質を生産することのできる遺伝子組み換えタバコ植物を作り出しました。
タバコのイメージが変わる?
イスラエルのスタートアップ会社バイオベターのおかげで、タバコのイメージが変わるかもしれません。
同社は、植物の自然の力をバイオリアクターとして利用して、植物由来の成長因子を作成し、培養肉のコストを削減している会社です。
培養肉は通常、FBS(ウシ胎児血清)やその他の動物由来の成長因子から得られた、細胞サンプル用いて培養されます。
細胞サンプルを得る場合には動物を屠殺する必要はありませんが、細胞農業業界の多くの企業は、コスト削減、そして不必要な動物虐待を排除する目的で、FBSに代わる動物を使用しない代替品を開発しており、ある程度の成功を収めています。
バイオベター社1,000万ドルを確保
バイオベター社は、資金調達ラウンドで1,000万ドル(約14億円)を確保しました。
これは、畑で育ったタバコ植物を使用して、培養肉のコストを下げるというプロジェクトに対するサポートのための資金です。
※「投資ラウンド」・・・投資家が企業に対し、投資をする段階のこと
このラウンドは、Jerusalem Venture Partners (JVPーエルサレム・ベンチャー・パートナーズ)が主導している投資ラウンド。
JVPは、エルサレムに拠点を置き、インスピレーションを与え、グローバルなビジョンを達成するという目的を持った創業者を支援する国際ベンチャーキャピタル企業です。
培養肉革命におけるタバコの役割
培養肉は、従来の畜産に取って代わる解決策の1つであり、消費者が同じ肉を食べながら、環境へのダメージが少ない方法で作られる解決策です。
細胞農業産業は、2013年に世界初の培養牛肉ハンバーガーを導入したオランダの食品テクノロジー企業Mosa Meat(モサミート)から始まりました。
この培養牛肉ハンバーガーの生産には32万5千ドル(約4,646万円)かかったそうです。
バイオベター社によって開発されたような進歩により、培養肉を生産するコストは大幅に低下しています。
動物由来のFGF2(成長因子)は、1グラムあたり 5万~ 50万ドルかかります。
バイオベター社の技術で作られたタバコ植物由来成長因子は、1グラムあたり約1ドルで提供できる可能性を秘めているのです。
バイオベター社による地元に与える付加価値
エルサレム地元のタバコ農家にとっても、重要な新しい収入源を生み出します。
バイオベター社は細胞農業が拡大するにつれて、地元ガリラヤのタバコ農園に約500エーカーを提供する予定。
過去10年間の喫煙の減少により、多くのタバコ畑が放置され、タバコ農家が経済的損失を被りました。
ですが、急成長している代替タンパク質の生産の需要により、タバコ農園を復活させ、生産者が新たな目的、そして収入を見つけられるという付加価値も得られます。
培養肉の市場投入
バイオベター社に加えて、25か国の100を超える企業が、マグロ、鶏肉やラム肉などの培養肉の開発に取り組んでいます。
アメリカの非営利団体Good Food Institute(グッドフードインスティテュートーGFI)によると、2021年に、細胞農業業界は、動物、人間の健康、および環境のために畜産業を廃止するという、目標を推進するために、総額13億8000万ドル(約2,267億円)の投資を確保しました。
まとめ
現在、レストランのメニューで培養肉を利用できるのはシンガポールだけです。
しかし、多くの企業は、規制当局の承認を見越して、研究開発から商業化に焦点を移し、実証プラントを設置しています。
米国では、米国農務省と食品医薬品局の両方が、細胞農業産業の前進に向けて協力しています。
私たちの食卓に培養肉が登場するのも、もう直ぐかもしれません。
*9/19換算レートで計算
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