【BMW】2023年からヴィーガンオプションが登場、カーボンニュートラルを進める自動車メーカーの取り組みとは?
ヨーロッパの高級自動車メーカーで進む「脱・本革」。その中でも、BMWグループが2023年にヴィーガンオプションを発売すると発表した背景とは。
ドイツの自動車メーカーBMWグループもそのうちの一つです。同社は内装にヴィーガンレザーを選択できる車種を2023年に発売すると発表。今、注目を集めています。
その理由や背景には何があるのか、同社のサステナブルな取り組みと共にご紹介します。
BMWとMINIは2023年にヴィーガンオプションを発売
この投稿をInstagramで見る
BMWグループは、2023年にBMWとMINI※の両モデルで、ヴィーガンのインテリアを採用した初の車両を発売すると発表しました。
同社は、動物性の素材を使用しないアニマルフリーの内装を試験的に設計。サボテンと、プラスチックを含まない生分解可能な素材をそれぞれ座席に使用してテストを行い、十分な耐久性があることを確認できたとしています。これらの素材は、シート、アームレスト、ハンドル、ギアの部分に使われています。
今後アメリカや中国、ヨーロッパにおいて、動物性の素材を使用しないヴィーガン仕様の需要は伸びると見ている同社。今回の発表は、その需要に応える形になりました。
※MINIとは
MINIは、1959 年にイギリスで誕生したコンパクトカーです。1994年には、MINIを製造するローバー社がBMWの傘下に。その後の2001年には、BMW MINIが発表されました。このMINIは、日本でも根強い人気を誇っています。
自動車にヴィーガンレザーを使用している事例などは、こちらの記事もご覧ください。
「自動車にもヴィーガンレザーが使われる?原料や事例をご紹介」
BMWグループは2050 年までにカーボンニュートラルを目指す
BMWグループは、2050年までにカーボンニュートラルを目指し、生産するすべての車両の二酸化炭素排出量削減に取り組んでいます。実際にヴィーガン素材を使用した場合、製品の製造や販売などすべてに関わる事業において、二酸化炭素の排出量をおよそ85%に削減できるとしています。
ヴィーガンレザーは、ココナッツから作られたバイオベースの素材「MIRUM®」やサボテン繊維とポリウレタンを混合した「DESERTTEX®」を使用。MIRUM®へは投資も行い、実験も重ねてきました。このレザーを使うことで、従来の石油由来の素材よりも二酸化炭素の排出量を45%抑えられるとのことです。
「高品質のヴィーガン素材で作られたハンドルは、見た目や肌触り、機能性に妥協することなく、お客様のニーズに応えています」と同社はコメントしています。
動物皮革が環境に及ぼす影響
BMWグループがヴィーガンレザーを採用した理由の一つが、環境問題です。動物皮革は、食肉にする家畜の皮を使用して作られるので、副産物と捉えられる場合があります。ただ、家畜から生産されるため、畜産業が及ぼす環境への影響は無視できません。
畜産から排出される温室効果ガスは、全体の約14%を占めており※1、人為的に発生するメタンガスの約3分の1は牛から排出されています。※2
さらに、家畜の飼育に必要な大量の水や、皮を加工する際に使う化学薬品も、環境に負担をかける原因です。そのため、動物性の皮革をヴィーガンレザーに置き換えることで、これらの環境負担を減らすことができると考えられます。
※1Food and Agriculture Organization of the United Nations “Key facts and findings”
※2The Guardian “What’s the beef with cows and the climate crisis?”