CO2削減と資源確保を同時に解決するイノベーション「カーボンリサイクル」とは?深刻な地球温暖化の突破口となるのか
大気中へ排出される二酸化炭素を回収して再利用するカーボンリサイクル。世界中の企業が温室効果ガスを有用な製品に変えようと試みています。カーボンリサイクルによって気候変動は減速できるのでしょうか?
気候変動の主な原因となっている、大気中の二酸化炭素を再利用し、地球温暖化を減速させ、さらに資源確保を同時に解決することができる、新たな技術革新カーボンリサイクルが、世界中で注目を浴びています。
新たな技術、「カーボンリサイクル」を解説していきます。
カーボンリサイクルとは
カーボンリサイクルとは、二酸化炭素を化学品、燃料、各種素材、熱エネルギーなどに有効活用する技術のことを言います。
二酸化炭素排出量を大幅に削減し、気候変動に対処する取り組みが強化されていますが、実際は、航空燃料やコンクリートなど、現在製造に炭素集約型であるものの代替手段が限られている、特定の製品に世界が依存し続けると予測されています。
そのため、二酸化炭素を貴重な化学物質、燃料、材料にリサイクルすることにより、これらの製品の排出量を削減できるのではと、世界で注目を浴びているのです。
さらに、カーボンリサイクルは、ネットゼロの未来をサポートできる循環炭素経済の基礎となる可能性があります。
生命体はすべて炭素ベースで構成
私たち人間を含め全ての地球の生命体は、すべて炭素ベースで構成されています。
地球は炭素を放出し、貯蔵し、大気、海、土、岩、そして生物の間を循環し、循環の過程に応じ、炭素は有機物や化石燃料などに形を変えながらも、バランスを保ちながら循環してきました。
35億年前は、大気中の二酸化炭素はかなり高く、 その後、古代の海洋生物が海水に溶けた二酸化炭素を利用して光合成を行い始め、約4億年前に今現在の大気濃度になったと言われています。
数百万年後、植物は進化し、炭素バランスを劇的に変えました。 彼らは、大量の大気中の炭素を、炭水化物やセルロースのような有機炭素に変換し始めました。
有機炭素の一部は大気または土壌に戻ります。
一部は埋もれて堆積層の一部となり、十分な圧力と時間をかけて加熱すると炭化水素、化石燃料に変化します。
今日、化石燃料の燃焼により、地球に蓄えられていた太古の炭素が、一気に大気中に排出されているのです。
カーボンリサイクルは排出量を削減
コロンビア大学グローバル政策センターの炭素管理研究イニシアチブの一環である報告書は、カーボンリサイクル製品が市場に参入し、世界規模に達する機会と技術的および経済的限界を理解するための調査を実地。
研究では、再生可能電力を消費し、再生可能エネルギーを動力源とする電気化学経路から得られる化学原料を使用します。
報告書では、現在の代表的な生産コスト、コスト要因に対する感応度、炭素削減の可能性、重要なインフラと原料のニーズ、補助金の効果を高く評価しました。
この分析に基づいて、この文書は、カーボンリサイクルの革新と展開を支援するための、的を絞った政策提言で締めくくられています。
分析の主な結果は?
カーボンリサイクルは、大幅な排出削減を実現できる可能性があります。
同報告書では、低炭素電力と化学原料によって供給される場合、カーボンリサイクルは、従来の生産方法を置き換えた場合、合計で年間 6.8ギガトンの炭素を削減できる可能性があると述べています。
しかし、リサイクルプロセスは依然としてコストが高く、導入が困難なままであり、カーボンリサイクルの現状と、将来の課題の分析に基づいた支援政策の必要性が強調されています。
カーボンリサイクル実用品
カーボンリサイクルを語るときに外せないのがカーボンニュートラル。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロにする取り組みです。
カーボンニュートラルを実現するためにも、カーボンリサイクルは欠かせない技術とみなされているのです。
カーボンリサイクルの技術は新しく、まだ研究途中ですが、すでにカーボンリサイクルにより得られたカーボンを使い、二酸化炭素を吸収するコンクリート、パソコンの外装、プラスティック容器など、私たちの生活に必要な製品が開発され始めています。
まとめ
カーボンリサイクルは、地球温暖化の要因である大気中の温暖化ガス二酸化炭素を資源として用いることにより、大気中の二酸化炭素を削減するという画期的な技術です。
125カ国が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明している現在、新技術革命カーボンリサイクルは世界中で注目を浴びています。
カーボンリサイクルにより開発された商品が1日も早く私たち消費者の手元に届くことを期待したいですね。
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