豆を使わない細胞培養コーヒーとは?危機に瀕するコーヒー2050年問題
世界における需要はどんどん伸びている一方で、コーヒーの木は地球温暖化の煽りを受けています。2050年にはおいしいコーヒーを飲むのが難しくなるのではとも言われていて、サステナブルなコーヒーへの転換が求められています。この記事では、そんなコーヒーの存続の危機に対して挑戦する、フランスの企業STEM(ステム)社の挑戦についてご紹介してます。
目次
気になるコーヒーの2050年問題とは
2050年にはおいしいコーヒーを飲むのが難しくなるのではないかという、ショッキングなデータがあります。
「コーヒーの2050年問題」とはどのようなものなのでしょうか。
世界のコーヒー需要が増えている現在
世界において飲まれているもののダントツ1位は水ですが、そのあとは、紅茶、コーヒーと続きます。
そんな世界3位を誇るコーヒーですが、年々需要が右肩あがりに増えています。
世界コーヒー機関によると、1990年には約550万トンだった世界における消費量は、2019年には1056万トンと約30年の間に倍増しています。
主に伸びている地域としてはアジア諸国があげられます。確かに、ここ数十年の間で私たちの暮らしている日本でも、コーヒーは当たり前のものになっています。
ちなみに、コーヒーは単純においしい&シャキッとできるだけではありません。健康に良いというデータも出ている点を、こちらの記事でご紹介しています。併せてごらんください。
コーヒー生産に襲い掛かる苦難
世界においてコーヒーが楽しまれ、そして当たり前のものに格上げされていっている一方で、コーヒー生産国では苦しい状況が続いています。
一番大きな要因は地球温暖化
大きな問題としては、地球温暖化があげられます。人気のアラビカ種コーヒーを育てている地域は、ただでさえ定期的なコーヒーの木の不作や病気に苦戦しています。
それに加えて、加速する温暖化によって、木を育てることが着々と難しくなってきていると警鐘をならしています。
このまま温度が上がり続けると、数十年後にはアラビカ種の存続も危ぶまれるかもしれません。
次に搾取される小規模農家の現状
コーヒーを生産している中南米やアフリカ地域。そこには大きな企業による巨大コーヒー畑が広がっているというよりは、小さな家族経営レベルのコーヒー農園がたくさん集まっているという形です。
そんな小さな農園だからこそ、乱降下するコーヒー価格の変動に耐えられなく、ビジネスを諦めるケースも目立ちます。
さらには企業による作物の買いたたきも発生していて、手間暇かけて作られたコーヒー豆が目も当てられないような値段で取引されることも。
サプライチェーンの見直しや、フェアトレードなどの透明化が急速に求められている現状です。
最近よく耳にする「透明性」「トランスパレンシー」については、こちらの記事でじっくりとご紹介しています。
2050年には栽培地が50%になる!?
全世界を襲っている地球温暖化は、残念ですが歯止めが利かなくなっています。
このまま気温上昇が続いていくと、人気のコーヒー種であるアラビカ種は、需要に反して、生産量が落ちていくといわれています。
木が温度に適応できないという点に加えて、不作となる地域が増えることで、2050年にはアラビカ種が育てられるエリアは半減するのではとさえ言われています
まとめ:バイオテクノロジーを使ったコーヒーは注目の的
朝ごはんには必ずコーヒーを飲む。オフィスでは気分転換のためにコーヒーを飲む。午後のおやつの時間にカフェラテを飲む。
そんなコーヒーを飲むシーンは、私たち日本人の暮らしの中でも当たり前の景色になりました。
私たちの生活を彩るコーヒーが、実は苦しい状況に陥ってることをご存じでしょうか。
とまらない地球温暖化によって、コーヒーの生産量はガタッと落ちると想定されています。その一方で、世界でのコーヒー消費量は右肩上がりに増えています。
そんなギャップに立ち向かおうとしているのが、フランス発のスタートアップ企業であるステム社。
バイオテクノロジーである細胞培養方法を使い、コーヒーの葉っぱをベースに、培養コーヒーを作ろうとしています。
しかも、地域ごとの味わいや香りの特性まで再現しようとしているのだから、これから先の商品化に期待できそうです。