ヴィーガンミートの最先端科学、魔法の成分「ヘム」とは?
ヴィーガンの食事がもっとおいしく、楽しくなる!科学技術が生み出した他とは違う100%のヴィーガンミートをご紹介します。
開発・製造しているのは、ヴィーガンの方向けのバーガー「インポッシブル・バーガー」を販売する、インポッシブル・フーズ(Impossible Foods:本社はアメリカ・カリフォルニア州2011年設立)。
動物を使用する代わりに、プラントベースの素材から肉や乳製品、魚をつくり、持続可能な食料システムを実現することを目指している企業です。
同社が技術を駆使して手掛ける「ヘム」を使った植物性の肉とはどのようなものなのでしょうか。気になる安全性や栄養成分について解説します。
「ヘム」とは
「ヘム」とは、鉄を含む分子で、人間や動物の血液中に存在するほか、植物にも低濃度で見られます。血液や肉が赤いのは、このヘムの色素によるものです。
また、鉄を含んでいるため、肉や血液を口に含むとわずかに金属の味がします。
インポッシブル・フーズは、肉を肉らしく食べられる成分がこのヘムであることに注目。
ヘムを含む大豆の根の「大豆レグヘモグロビン」というたんぱく質を利用して、100%ヴィーガンミートを製造しました。
それでは、ヘムを利用したインポッシブル・バーガーはどのように作られるのでしょうか。次に見ていきましょう。
「ヘム」は発酵の力でつくられる
インポッシブル・バーガーは、大豆の根にある大豆レグヘモグロビンを取り出してつくられます。
まず、大豆からDNAを取り出して、遺伝子の組み換えられた酵母を添加。すると発酵・増殖してたくさんのヘム成分を生成します。そこから大豆レグヘモグロビンを分離してパテの原材料に加えて完成です。
多くのヘム成分をつくり出すことにより、牛肉と同等、もしくはそれを超える風味や食感、栄養を実現できると言います。
遺伝子組み換えと聞くと、農作物が害虫に対して強い耐性を持たせることが思い浮かぶかもしれません。
このバーガーの場合は、ヘムを大量に生成して肉の味を再現するために遺伝子組み換えが行われます。
それでは、安全性や栄養面の問題はないのでしょうか。次に確認していきましょう。