自然栽培は最もサステナブルな農業?オーガニック栽培との違いをわかりやすく解説

自然栽培は最もサステナブルな農業?オーガニック栽培との違いをわかりやすく解説

農薬や化学肥料を使用しない自然栽培やオーガニック栽培は、環境負荷の低いサステナブルな農法です。自然栽培とオーガニック栽培の違いについて、解説させていただきます。

ハッピーキヌア編集部
2023年02月08日
自然栽培は最もサステナブルな農業?オーガニック栽培との違いをわかりやすく解説
近頃、スーパーやマルシェでよく見かける「農薬不使用」や「オーガニック」と表示された野菜の数々。

無農薬野菜は「自然栽培」や「オーガニック栽培」などの有機農法で育てられています。

 

この、自然栽培とオーガニック栽培の違いとは何なのか、皆さんはご存じでしょうか。

 

今回は、意外と知られていない「自然栽培とオーガニック栽培の違い」について、解説します。

 

無農薬栽培の種類

農薬を使わずに穀物や野菜などを育てる栽培方法を、無農薬栽培といいます。

無農薬栽培は、大きく分けて「有機農法」「自然農法」の、2つの農法に分けられます。

それぞれの特徴は、以下の通りです。

 

1. 有機(オーガニック)農法

化学肥料や農薬を使用せず、野菜などの作物を栽培する方法を「有機(オーガニック)農法」といいます。

 

「有機」は、生きている、生命を持つという意味合いを持つ言葉です。

農林水産省では「農業生産による環境負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業であること」が、有機農法の定義としています。

 

有機農法でつくられた「オーガニック野菜」は、公的機関から認められた栽培方法で作られています。

 

2. 自然農法

肥料や農薬を使用しないことはもちろん、畑の除草や手入れもせず、大自然の力を活かして作物を栽培する方法を「自然農法」といいます。

 

80年以上前からある農法ですが、自然農法で収穫できる野菜は数が少なく、独自ルートで販売されることも多いため、なかなか市場にまで出回らないのが現状です。

 

また、自然農法には、いくつかの種類があり、それぞれの生産者や提唱者によって栽培方法に違いがあるのも特徴です。

自然農法のひとつである「自然栽培」は、今、世界各国で注目されている環境に優しい栽培方法なのです。

 

無農薬栽培の歴史

戦前の日本では、無農薬栽培が主流でした。

 

しかし、戦後の食糧難を解消するため、1950年代からは広く農薬が使用されるようになり、米や野菜の大量生産に力が注がれました。

結果として食料不足は解消されましたが、1980年代後半になると、農薬や除草剤、化成肥料などからの「残留農薬」が、環境や人体に有害であることが判明し、問題になったのです。

 

近年、環境意識や健康志向の高まりから、農薬を使わずに作物を育てる無農薬栽培に再び注目が集まっています。

 

2021年の5月には、農林水産省によって、2050年までに有機農業用の農地を全体の25%に引き上げるという「みどりの食料システム戦略」が、掲げられました。

 

オーガニック栽培とは

オーガニック栽培では、化学肥料や農薬を使用しない代わりに、牛や鶏などの糞を発酵させた有機肥料を使用します。

有機肥料を土の中の微生物が分解し、蓄えるといったはたらきこそが、オーガニック栽培での重要なポイントになるのです。

 

農薬を使って行われる慣行栽培よりも収穫量は劣りますが、オーガニック栽培で作られた野菜は、味が濃くてしっかりしているのが特徴です。

 

なお、有機農産物に「オーガニック」と表示するためには、化学肥料や農薬が2年以上使用されていない土壌であることなどの条件や、公的機関の認証、さらに毎年1回以上の検査が必要になります。

 

自然栽培とは

自然栽培においては、農薬や化学肥料はもちろん、動物や植物性を問わず肥料さえも使用しません。

肥料や農薬に頼ることをせず、太陽や大地、水という自然本来の力を利用して作物を育てていくのが、自然栽培の特徴なのです。

 

また、自然栽培においては、土壌に「いかに余計なものを入れず、清潔に保つことができるか」が、重要なポイントになります。

植物の根張りを良くするために、やわらかく、水持ち・水はけの良い土壌になるよう、長い歳月をかけて、ゆっくりと行われる土づくり。

 

オーガニック栽培に比べ、作物の生育期間は長く、収穫量も少ないため、市場に出回ることも少ないのですが、作物本来の味わいがありますし、自然環境への負荷もありません。

 

自然本来の持つ力を引き出し、無農薬・無肥料で作物を育てていく栽培方法が「自然栽培」なのです。

 

自然栽培とオーガニック栽培の大きな違いとは

農薬 有機肥料 耕す
自然栽培 × ×
オーガニック栽培 ×

 

自然栽培とオーガニック栽培の大きな違いは「肥料を使うかどうか」にあります。

オーガニック栽培では、動物の糞などから作られた、有機物肥料を使用します。

 

もちろん、肥料を入れた方が作物はよく育ち、収穫量も増えますが、自然栽培では、あえて肥料を使いません。

その代わり、畑に生えた雑草の根を残し、堆積されて微生物に分解されたものを堆肥としています。

 

また、自然栽培では、人も自然の一部と考えられているため、雑草を抜いたり畑を耕すことも、原則として人の手によって行われています。

 

自然栽培は、最もサステナブルな農法

自然栽培においては、提唱者もいませんし、詳細な定義などもありません。

 

自然本来の持つ力を利用して、農薬や肥料なしで作物を育てるため、効率などとは無縁といっても良いほど、手間のかかる作業が必要になりますし、他の栽培方法に比べて収穫量も少なくなります。

 

しかし、農薬や化学肥料を使用すれば、温室効果ガスを発生させる原因や、水質汚染にもにもつながりますし、何より健康への被害も懸念されます。

 

農薬を使わない土壌で育った作物には、強い生命力が宿り、虫に負けない野菜が育つとされ、栄養価も高くなるといわれています。

 

自然環境にも身体にもやさしい自然栽培は、無農薬栽培の中で最もサスティナブルな農法であるといえるのではないでしょうか。

 

まとめ

自然栽培とオーガニック栽培は、いずれも無農薬農法です。

この2つの大きな違いは「有機肥料を入れるかどうか」にあります。

 

農薬や肥料に頼らず、生えてきた雑草さえも土壌の養分として蓄えるなど、手間暇かけて作られた自然栽培で作られた野菜や米は、栄養価が高く、身体にも優しいのが特徴です。

 

土壌を汚さず、環境にもやさしい自然栽培は、究極にサスティナブルな農業であると言えるのではないでしょうか。

 

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