対象は健康被害から環境破壊へ、今も続く現代日本の公害事情をわかりやすく解説

対象は健康被害から環境破壊へ、今も続く現代日本の公害事情をわかりやすく解説

高度経済成長期に日本国内で大きな社会問題となった「公害」。人間や動物の健康と生活環境、そして環境破壊に悪質影響を及ぼす公害は、実は今現在も発生しているんです。この記事では、今も続く現代日本の公害事情について解説して行きます。

ハッピーキヌア編集部
2022年12月29日
対象は健康被害から環境破壊へ、今も続く現代日本の公害事情をわかりやすく解説

日本では経済の急成長に伴い、人命に関わる重大な健康被害を引き起こす「公害」が大きな社会問題となりました。

 

地球環境や人や動物の命と暮らしに影響を及ぼす公害は、かつてと種類は異なりますが、現在でも発生し続けています。

今回は、今も続く現代日本の公害事情をわかりやすく解説していきます。

 

公害とは

公害とは、事業活動など人間の活動によって人の健康と生活環境、動植物とその生育環境へ被害が生じることを指します。

 

環境基本法第2条第3項では、

『「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。』

と定義されています。

(出典:環境基本法 | e-Gov法令検索

 

上記にも記されているように、

 

  1. 大気の汚染
  2. 水質汚染
  3. 土壌の汚染
  4. 騒音
  5. 振動
  6. 地盤の沈下
  7. 悪臭

 

この7つが「典型7公害」と呼ばれています。

 

日本で発生した代表的な公害

日本は戦後から1970年代前半にかけて高度経済成長期を迎えました。

しかし、重化学工業の発展に伴い産業公害が拡大し、人命に関わる重大な健康被害が発生。

 

以下、代表的な公害について説明します。

 

  • 水俣病

1956年に熊本県水俣湾で公式に発生が確認された公害病。メチル水銀を含む排水がアセトアルデヒド生産工場から海に流され、汚染された魚介類を介して発症。

手足の感覚障害・麻痺・視野狭窄・聴力障害などさまざまな症状を引き起こします。

 

  • 新潟水俣病

1965年に公式確認された第二の水俣病。上記の水俣病と同じく、アセトアルデヒド生産工場からの排水によるメチル水銀汚染が原因。症状も同様です。

 

  • イタイイタイ病

三井金属鉱業の鉱山や製錬工場から排出されたカドミウムが川に流され、富山県神通川流域で発生した公害病。

水や農作物から人体に取り込まれ、腎臓障害から骨軟化症を引き起こし、病名の通り全身に激しい痛みを伴います。1968年に公害病に認定されました。

 

  • 四日市ぜんそく

59年に操業を開始した、三重県四日市の石油コンビナートから排出された大気汚染による公害病。

喘息をはじめとする呼吸器疾患を引き起こします。

 

これら高度経済成長期にかけて発生した4つの公害病は「四大公害病」と呼ばれ、大きな社会問題となりました。

死亡者が出るほどの病でありながら公害病の原因となった企業、そして政府までもが企業利益を優先し、原因究明や対策を先延ばしにしたことで被害は拡大。

 

弁護士や学者、医師などの支援者が被害者と立ち上がり、賠償を求める裁判を起こし始め、1973年に公害病の被害者に対して補償を行う「公害健康被害補償」が制定されました。

(参考:四大公害病:高度経済成長期の負の遺産 | nippon.com

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