【アメリカ】カリフォルニア州で植物由来の学校給食支援に7億ドルを出資
植物由来の学校給食を支援する初の州として、カリフォルニアでは7億ドルの歴史的な出資が実施されます。その概要をご紹介します。
同州では、植物由来の学校給食を支援する初の州として、7億ドルの歴史的な出資が実施されます。
カリフォルニア州のギャビン・ニューソン知事は、3080億ドルの州予算を承認しましたが、この予算には、州内の学校における植物由来の食事の普及を支援するための巨額の出資が含まれています。
まず、この予算の一部である1億ドルが、植物由来の食品、持続可能な方法で生産された食品、地元カリフォルニア産の食品、そして生徒の食事のニーズに対応した食品を調達する学校を支援するために使用される予定です。
さらに6億ドルは、学校の厨房のインフラ整備と、新しい植物性食品の調理や、野菜や果物など材料の栽培から調理までの工程をすべて行なう「スクラッチクッキング」の増加に従事する給食従事者の訓練と報酬に投資されます。
「今回の予算に植物性食品を使った学校給食が含まれていることを大変うれしく思います。既存の肉や乳製品のメニューに加え、このようなオプションがあれば、生徒の包括的な選択が可能になります。
また、州内の多くの学区では、植物性食品や制限食を必要とする生徒が相当数おり、価格が高くなることもあるため、そのような生徒には手が届きません。今年の予算は、学校が生徒のニーズに応えられるようにするための大きな一歩であると考えています。」
と、このプログラムでは、植物由来の食品・飲料の提供を拡大するための予算の拡大に大きく貢献した1人である、今回のアドリン・ナザリアン(民主党)カリフォルニア州議会議員は述べています。
プラントベース学校給食のメリット
連邦政府の補助金によって、動物性の食事が安くなることがよくありますが、今回の資金援助はその逆を行くことになります。
この新しい資金により、学校は生徒の倫理的な選択、より気候にやさしい方法で食べたいという願望に沿った食品を提供し、人生の早い段階でより健康的な食習慣を身につけることができるようになります。
責任ある医療のための医師委員会会長であるニール・バーナード氏は
「学校に植物ベースの食事をもたらすことは、学生が一生続く健康的な食習慣を確立するのに役立つだけではなく、これらの食品は、生徒が教室で集中力や活力を維持し、心臓病、2型糖尿病、肥満、その他の慢性疾患の長期的なリスクも軽減します。」
と評価しています。
アメリカの公立学校でプラントベースへの移行が進む
生徒により健康的で気候変動に配慮した選択肢を提供するため、他の地域でも学校での植物由来の食事の普及が進んでいます。
2022年5月、イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は、希望するすべての生徒に栄養価の高い植物性食品を提供することを学校の義務にする法案に署名しました。
この法律は2023年8月に施行され、イリノイ州の学区で学ぶ約200万人の生徒が植物性食品を使った食事を利用できるようになります。
また、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、長年にわたり植物性食品を推奨しており、市長に就任する以前から学校給食の改善に取り組んできました。
ブルックリン区長時代には、ニューヨークの公立学校で「ミートレス・マンデー」の導入を支援し、現在は「プラント・パワード・フライデー」を提唱しています。
以前は「ヴィーガン・フライデー」と呼ばれていたこの取り組みにより、生徒たちは学校生活の中でより多くの植物由来の食事にアクセスできるようになりました。
連邦レベルでは、植物由来の学校給食への助成プログラムの設立を目指されるなど、アメリカではプラントベースの食事を公的な教育機関に取り入れる取り組みが行政も主体になって着実に進んでいます。
日本においても、SDGsをはじめとする気候変動や健康に対する危機感や意識の高まりから、ここ数年でヴィーガンやプラントベースフードへの関心が急激に高まりました。
日本の学校給食はこれからどのように変化していくのかも、注目していきたいポイントです。
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