SDGsとヴィーガンの関係とは?環境問題の観点から、わかりやすく解説
私たち人類が地球を守りながら、豊かに暮らし続けていくために掲げられたSDGs。実はヴィーガンはSDGs達成に貢献することができます。今回は特にヴィーガンと関わりの深い環境問題の観点から、SDGsとヴィーガンの関係について解説していきます。
環境問題から見るヴィーガンとSDGsの関係性
SDGsにおける環境問題改善の重要性について明らかにしたところで、SDGsとヴィーガンの関係性を環境問題の観点から見ていきましょう。
以下、SDGsの環境に関する4つの目標ごとにヴィーガンとの関係について解説していきます。
目標6. 「安全な水とトイレを世界中に」
2020年時点で20億人=世界人口の4人に一人が安全に管理された飲料水を得ることができていません。
このうち1億2,200万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用しています。
さらに36億人が、安全に管理された衛生施設を使用できず、うち4億9,400万人以上は家や近所に利用できるトイレがなく、屋外排泄を行っています。
そして23億人が、石けんや水が備わった基本的な手洗い設備が自宅にない環境で暮らしています。
参考: 日本ユニセフ協会『水と衛生 | ユニセフの主な活動分野 』
依然として安全に管理された水へのアクセスがない人が大勢いる中、人々の健康や生態系に影響を及ぼす水質汚濁・水質汚染も問題となっています。
すべての人が平等に安全な水や衛生施設へアクセスできることを目指すこの目標とヴィーガンにどのような関係があるのでしょうか。
ヴィーガンの食事に比べると、肉を食べる食事には約3倍の水が使用されます。畜産業では大量の水が必要とされます。
例えば、牛肉を1kg生産するには15,500リットルの水が使用されます。一方、トマト1kgの場合は180リットル、ジャガイモ1kgの場合は250リットルです。
また、家畜の排泄物による水質汚染も深刻な問題です。肥料や排泄物には高レベルの窒素とリンが含まれています。これらが地下水や川に流出すれば、人間やその他の生態系に悪影響を及ぼします。
参考:The Vegan Society “Why Go Vegan | Veganism and the Environment | Water”
水は限りのある資源です。ヴィーガンの食事を選択すること、植物性食品の需要拡大は水の使用量や水質汚染を抑える一つの手段です。
目標13.「気候変動に具体的な対策を」
気候変動の主な理由は、二酸化炭素・メタンガス・亜酸化窒素といった温室効果ガスです。
人間の活動により生成される温室効果ガス総排出量のうち、14.5%が畜産業に起因されています。
中でも牛(牛肉と牛乳)は畜産業における温室効果ガス総排出量の約65%を占めます。
特に問題視されているのが、牛や羊といった反芻動物のゲップに含まれるメタンガスです。
メタンガスは二酸化炭素よりも寿命こそ短いですが、温暖化にもたらす効果は二酸化炭素の25倍以上と言われています。
参考:FAO “News Article: Major cuts of greenhouse gas emissions from livestock within reach”
参考:US EPA “Importance of Methane”
このように畜産業が気候変動に及ぼす影響は大きく、すなわち私たち人間が生活の中で食肉を消費するという行為も環境に影響を及ぼしているのです。
リーズ大学の研究では、肉を食べる人は菜食主義者よりも約60%多く温室効果ガスを排出しているということが明らかになりました。
参考:VegNews “Meat-Eaters Produce Nearly 60 Percent More Greenhouse Gases than Vegetarians, Study Finds”
逆に、動物性食品を口にしないヴィーガンというライフスタイルを選択することは、肉を食べる生活よりも温室効果ガスの排出を抑えることにつながります。