【イギリス】テスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示する理由「シェラック」「蜜蝋」とは?

【イギリス】テスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示する理由「シェラック」「蜜蝋」とは?

イギリスの大手スーパー「テスコ」が植物性食品であるはずの果物に「ヴィーガン向きではない」と表示。その理由である「シェラック」と「蜜蝋」について解説していきます。

ハッピーキヌア編集部
2022年10月01日
【イギリス】テスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示する理由「シェラック」「蜜蝋」とは?
ヴィーガン発祥の国でもあるイギリスでは、近年ヴィーガンフードの需要が非常に伸びています。

その需要に応えるべくヴィーガン向けの食品を多く販売しているのが、イギリスの大手スーパーマーケット「テスコ」です。

 

しかし、そんなテスコで販売しているオレンジやレモンといった果物の一部には「ヴィーガン向けではない」と表示されています。

ここまで読んで、「果物は植物性食品だからヴィーガンなんじゃないの?」と思った人もいるのではないでしょうか。

 

実は、果物全てがヴィーガン向けというわけではないんです。

その理由は果物の表面に利用されている「シェラック」や「蜜蝋」にあります。

 

この記事では、

  • なぜテスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示するのか
  • 「シェラック」「蜜蝋」とはなんなのか
  • 日本で販売している果物はヴィーガンなのか

について詳しく解説していきます。

 

テスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示する理由

テスコが「果物はヴィーガン向けじゃない」と表示する理由は、果物に使われているワックス剤がヴィーガンではないからです。

同社が販売している一部の果物にはワックスとしてシェラックと蜜蝋を使用しています。

 

しかし、ワックスに使われているシェラックと蜜蝋はどちらも昆虫の犠牲を強いるものなので、これらの果物をヴィーガン向けではないと表示をしているのです。

テスコではヴィーガンに移行する人、ヴィーガン食を取り入れる人の増加に伴い、近年プラントベースの食品の販売を増やしています。

 

この件で話題になった果物についても、シェラックや蜜蝋から動物を含まない保護コーティングに切り替える方法を検討しているといいます。

 

出典:Why Is Tesco Labeling Fruit As Unsuitable For Vegans?

出典: 「当社のオレンジはヴィーガン向けではない」英スーパーが認めた理由 – NewSphere | NewSphere

 

「シェラック」「蜜蝋」とは?なぜ果物にワックスが使われるのか

そもそもなぜワックスを使うのか

なぜ果物にワックスを使用するかというと、いくつかメリットがあるからです。

 

  • 水分の蒸発、湿気を防いで品質を保つ
  • 表面に光沢を出して見栄えをよくする
  • 水をはじく性質のあるワックスを使うことで、水に溶けやすい肥料や農薬でも効率的に使える

 

上記のように、品質をキープしたり、効率よく栽培するために使われます。

 

「シェラック」「蜜蝋」とは?

テスコの果物に使われている「シェラック」と「蜜蝋」は、オレンジやレモンといった柑橘系の果物をコーティングするワックスとして一般的に使用されています。

 

シェラックは、インドやタイに生息するラックカイガラムシという昆虫が樹液を吸ってた以外に分泌する樹脂状物質です。

少量のシェラックを作り出すだけでも、数十万匹ものラックカイガラムシを殺す必要があります。

 

また、インドではシェラック製造は児童労働が禁止されているにもかかわらず、未成年を低賃金で働かせたことが問題になったことも。

 

そもそも倫理的な労働環境で製造されているかどうかも懸念があります。

蜜蝋(ミツロウ)は、簡単に言うと「ミツバチの巣」です。

 

蜜蝋はミツバチの腹部からから分泌される天然の蝋(ロウ)で、ミツバチはこれを捏ねて六角形の部屋を作り出します。

ミツバチの巣を加熱圧縮後、ろ過して精製したものが蜜蝋になります。

 

ヴィーガンが蜂蜜を食べないように、蜂が働いて作りだされた蜜蝋をヴィーガンの人は避ける傾向にあります。

(ヴィーガンがハチミツを食べない理由はこちらの記事で解説しています。)

 

出典:果物のワックスが気になる?安全に落として栄養を丸ごといただこう! – 【navis-healthcare】

 

日本で売られている果物はヴィーガン向けなのか

では、日本のスーパーで売られている果物はヴィーガン向けなのでしょうか?

 

結論から言うと、日本で売られている果物にもシェラックや蜜蝋が使用されています。

つまり、ヴィーガンではない可能性が高いです。

 

日本産の果物でも、シェラックや蜜蝋はワックスとして使用されています

輸入品も、ほぼワックスが塗られているといってもいいでしょう。

 

輸入品は輸送途中で果物の水分が蒸発したり、空気や湿気で品質が落ちるのを防ぐためにワックスが使用されることが多いからです。

ワックスは日本では食品添加物として光沢剤に分類されており、表示義務があるものの一括名での表示が認められています。

 

そのため、「光沢剤」としてワックスが使われていることが表示されていても、何がワックスに使われているのかわからないことも。

ヴィーガンの方は果物を選ぶ際には、有機栽培の果物を選ぶのがいいでしょう。

(出典:物質名が表示されない食品添加物がある?(身近な消費者トラブルQ&A)_国民生活センター

 

まとめ

今回は、テスコの事例をもとに果物全てがヴィーガンではないことや、ヴィーガン向きではない果物に使用されているワックスについて解説してきました。

テスコが自社の果物に「ヴィーガン向けではない」と示したことは海外で大きな話題を呼びましたが、非ヴィーガンであることを表示してくれるのはヴィーガンの方にとっては重要なことです。

 

日本では、まだまだヴィーガン・非ヴィーガン表示が明確に行われていません。

果物=全てヴィーガンだと思い込みがちだからこそ、日本でも「ヴィーガン向けではない」と表示する必要があるのではないでしょうか。

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