大豆が健康に良いって効くけど、本当??
本日はよくあるこの疑問に回答していきます!
Dr. Amanoが皆さんの疑問にお答えします!
健康のこと、食材のこと、栄養のこと。 ヴィーガン生活を送る上で気になる疑問に、医師であるDr. Amanoがお答えします。
天野 方一
医師/公衆衛生学修士(MPH)/博士(公衆衛生学)/ 2018年よりハーバード大学院に留学。専門は内科、腎臓、抗加齢医学など。
この医師監修シリーズは、以前にハピキヌの公式インスタのストーリーで募集しました、フォロワーの皆さんの健康に関する疑問への回答となります。
今後も隔週で記事を更新して参りますので、お楽しみに!
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大豆は日本人の食生活においてもベースとなる食材ですが、残念ながら近年では食べる人が減ってきている食材です。
そんな中でも、ヴィーガン・ベジタリアン食の普及に伴い、大豆の栄養価は海外・日本共に改めて見直されています。
更には、近年の調査結果では心血管疾患のリスク減少にも効果があると発表され、ますます注目されている大豆食品です。
なんとなく健康に良いイメージの強い大豆加工食品ですが、実際どのような栄養素を持っているのでしょうか。加えて、実際に毎日の食事に取り入れていきたい大豆食品もチェックしていきます。
大豆の力を借りて、少しでも健康的な食生活ができるよう意識していきましょう。
豆腐を始めとする大豆加工食品が健康に良い理由とは?
大豆とは小さな乾燥した豆に見えますが「畑の肉」と呼ばれるほどのスーパーフードということをご存じでしょうか。
その優れた栄養素に関しては、常に国内・国外でも研究が進められていて、最近でも「心血管疾患へのリスク減」という研究結果発表がされました。
日本人の食生活にとって、身近な食材である大豆ですが、その栄養素を紐解いていきましょう。
圧倒的な植物性たんぱく質
大豆の持つ栄養素の中でも、最も注目されているのは「たんぱく質」です。
筋肉や内臓を作っている成分であるたんぱく質が、100g中30g以上入っており、他の作物と比較しても圧倒的な量を誇ります。それもあって「畑のお肉」と呼ばれることも多い大豆。
近年のヴィーガン・ベジタリアン食の普及に伴って「大豆ミート」や「ソイミート」という単語が急激にメディアでも話題になるようになりました。
お肉と比べて脂質が少ないこともあり、食生活の好みに関わらず、日本だけでなく海外でも重要なたんぱく質源として注目されています。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは数年前の豆乳ブームの時に話題になったので、聞いたことがある方も多いかもしれません。
女性ホルモン(エストロゲン)ににた作用があると言われており、女性に嬉しい効果が期待できます。
- 美肌・美髪:エストロゲンはコラーゲンの生成を促すため、潤い感のある肌・髪に繋がります
- 更年期障害の予防と緩和:年齢によって減少したエストロゲンの働きを補うことで、ホルモンバランスの乱れを整えます
- 骨を強化:エストロゲンには骨からカルシウムが流がれ出すのを防ぐ働きがあるため、年齢が高くなるにつれて気になる骨密度を維持することができます。
大豆レシチン
大豆の中に含まれている脂質である大豆レシチンは、健康維持や脳の活性化に効果があるとされています。
レシチンは、血中コレストロール量の調整をし、不要な分を外に排出する働きをするので、血液がさらさらになり動脈硬化や生活習慣病の予防に繋がるとされています。
さらに、レシチンは脳にもいい影響をもたらします。レシチンを摂取すると、脳内の神経細胞物質であるアセチルコリンが形成され、記憶力の維持が期待できます。
これらはアルツハイマーや認知症の予防にも効果があるとされ、最近期待されている成分です。
大豆オリゴ糖
大豆にはオリゴ糖も含まれていますが、この糖は腸内の善玉菌にとってエサとなります。積極的にオリゴ糖を摂取することで、善玉菌が活性化され、腸内環境を整えることに繋がります。
腸内には体における免疫細胞の約70%が集まっていることをご存じでしょうか?つまり腸内環境が整うことで、免疫力がUPするのです。
加えて、腸内環境が整うと老廃物の排出もスムーズに行われるようになるため、美肌効果も期待できます。
食物繊維
大豆には食物繊維(主に不水溶性)もたっぷりと入っています。食物繊維量が多いと言われているごぼうやさつまいもと遜色ないほどの複合量を誇ります。
さらに、大豆は料理方法によって、量を摂取しやすいということもあり、手軽に食物繊維を取りやすい食品です。
不水溶性食物繊維は、水を吸収して膨れ上がる性質を持っています。膨らんだ食物繊維が腸内を刺激することで、排便が促進され、便秘予防に繋がります。
毎日のお通じが促進されることで、老廃物の排出に繋がり、ダイエットや美肌効果も期待できます。
研究結果:豆腐の摂取で心血管疾患のリスクが減少
最近の調査にて「豆腐を積極的に摂取した人の方が、心血管疾患のリスクが減少した」という発表がされました。
- 調査対象:健康調査・追跡調査に参加した心血管疾患およびがん既往のない男女計21万人
- イソフラボンと豆腐の摂取で心血管疾患リスク低下が確認された
- 豆腐の摂取と心血管疾患のリスクに逆相関が見られた(1カ月あたり1皿未満群の人に対して、週1皿以上摂取した人のリスクは18%低下した)
- イソフラボン摂取は心血管疾患のリスクに逆相関が見られた(一番すくない人に比べて一番多い人(摂取量で5群にわけた)はリスクは13%減少)
この21万人以上を対象とした調査によると、豆腐や、豆腐に含まれるイソフラボンを摂取している人の方が心血管疾患にかかるリスクが下がったということです。
この調査で興味深いのは、リスクを下げるための大豆食品の摂取量です。今回の調査では「豆腐を週1皿以上摂取した」ことで、リスクが18%減少したと発表されました。
健康的な食卓に向けて毎日取り入れたい大豆加工食品
小さな豆に見える大豆ですが、体に良いとされる栄養素がたっぷりと詰まっています。
2020年の調査結果によると「週1皿の豆腐の摂取」からでも、心血管疾患のリスク減少に繋がることが判明しています。そのほかにも、美肌効果や毎日のお通じ、更には脳の活性化にも効果があると言われている大豆の栄養素は、積極的に取り入れていきたいものです。
身の回りにあふれている大豆食品を、ご紹介していきます。バラエティーを楽しみながら、積極的に毎日の食卓に取り入れてみてください。
豆腐
豆腐は「TOFU」という名前がついて、海外でも人気の食材となっています。特に昨今のヴィーガン・ベジタリアンブームを受けて、毎日の食事に豆腐を取り入れる人は増えています。
そのまま食べるのはもちろん、サラダに乗せても良いですし、みそ汁やスープに入れたりといろいろとアレンジを楽しめるのも人気のポイントです。
厚揚げ
豆腐をカリっと上げたものが厚揚げです。揚げていることもありカロリーUPしていますが、サラダや野菜炒めをボリュームアップしたい時に、ぜひ追加したい食材です。
油揚げ
お味噌汁の具として定番の油揚げも、実は大豆食品ということをご存じでしょうか?
油揚げは冷凍保存することが可能ということもあり、常に冷凍庫ストックしておきたい食材です。スープに入れると油が浮いて、満足感・満腹感が増すこと間違いなしです。
豆乳
料理はあまりしたくない…という方にオススメしたいのが、豆乳です。
毎日のコーヒーや紅茶に入れて、手軽にイソフラボンを始めとする大豆の栄養素を摂取することができます。飲みやすく味を付けたものもありますが、糖分が追加されていることが多いので、無調整豆乳がオススメです。
きなこ
きなこも大豆製品です。毎日のトーストに一振りしたり、ヨーグルトやグラノーラにトッピングとして追加すると、風味が豊かになるだけでなく、栄養価もUPします。ぜひ戸棚にストックしておくとよいでしょう。
納豆
大豆発酵食品の中で1番有名なのが納豆でしょう。大豆×発酵食品と日本を代表するスーパーフードでもある納豆。匂いや食感にクセはありますが、積極的に取り入れたい食材です。
なお、大豆発酵食品と健康について詳しくご紹介した記事は、こちらです。
まとめ:大豆加工食品のパワーを借りて健康的な体づくりを
大豆=体に良いというイメージはすでに浸透していますが、小さな豆にどれだけの栄養素が詰まっているかを紐解いてきました。
私たち日本人の食生活に身近な大豆は「畑のお肉」と言われるほど、たんぱく質と脂質が豊富なだけでなく、ビタミンやミネラルなどバランスよく含まれているスーパーフードです。
海外でもますます注目されている大豆食材ですが、日本の食生活には古くから根付いていて、スーパーなどでも気軽に買える食材だらけです。
毎日1品でも食卓に取り入れることが、健康的な体づくりに繋がりますので、積極的に大豆食品を取り入れていきましょう。