Dr. Amanoが皆さんの疑問にお答えします!
健康のこと、食材のこと、栄養のこと。 ヴィーガン生活を送る上で気になる疑問に、医師であるDr. Amanoがお答えします。
天野 方一
医師/公衆衛生学修士(MPH)/博士(公衆衛生学)/ 2018年よりハーバード大学院に留学。専門は内科、腎臓、抗加齢医学など。
この医師監修シリーズは、以前にハピキヌの公式インスタのストーリーで募集しました、フォロワーの皆さんの健康に関する疑問への回答となります。
今後も隔週で記事を更新して参りますので、お楽しみに!
他の記事はこちら
ヴィーガンと肌の関係にせまる、医師の天野氏監修の第2弾です。
前回は、糖化が老化に及ぼす影響について解説しました。
今回は、ヴィーガンでも美肌を維持するために、おすすめの食生活をご紹介していきます。
皮膚老化の原因
皮膚が老化してしまう原因は主に3つあります。
①自然老化
この自然老化は加齢によるものです。歳とともに老化しているのは自然のことです。年相応の肌はとても自然に、健康的に見えます。
歳を重ねるのは、素敵なことです!無理に年齢よりも若く見せる必要はありません。
参考:歳を重ねるって最高!「年齢」にまつわるセレブの名言18 |COSMOPOLITAN
②光老化
2つ目の光老化は、主に紫外線によるダメージです。実は紫外線によるダメージが皮膚老化にもっとも大きな影響を及ぼします。
皮膚老化の原因の80%を占めると言われています。外に出かけるときは紫外線対策をしっかりすることが大切です。
③慢性炎症
慢性炎症が皮膚で起こると、それも皮膚老化の原因になってしまいます。
慢性炎症とは、皮膚や皮膚に栄養を届ける毛細血管に軽度の炎症がずっと起きている状態のことです。
怪我をした時などに、痛みを感じ、皮膚が赤く腫れるのは、急性炎症です。これは体内で起こっている一時的な炎症で、怪我や病気になった時に突然生じます。
これに対して、慢性炎症は、明らかな症状がないにも関わらず、体内で静かに炎症が起きるものを指します。
急性炎症は体が回復しているときに起こりますが、慢性炎症は炎症を起こしている細胞の周囲にある、正常な細胞や組織までも傷つけてしまいます。
これにより、肌のハリや弾力を保つ働きのコラーゲンやエラスチンなどが障害を受け、しわやたるみを引き起こします。
また、慢性炎症により、シミを作るメラノサイトが刺激され、シミやくすみを引き起こします。
今回は、この慢性炎症について詳しく説明していきます。
慢性炎症の原因
慢性炎症はさまざまな原因によって引き起こされます。主な原因は、加齢や肥満・運動不足、ストレス、喫煙、夜勤などの不規則な生活習慣、不健康な食生活です。
不健康な食生活とは、赤身肉や、乳製品、塩分の摂りすぎのことです。
赤身肉や乳製品にはコレステロールを上げる原因の飽和脂肪酸が多く含まれています。
コレステロールは慢性炎症を引き起こす原因になります。
過剰な塩分が体内にあることも、慢性炎症を引き起こす原因になります。また、前回の記事で取り上げた、糖化も慢性炎症の原因の一つです。
詳しくは前回の記事「【医師監修】ヴィーガンは老けるという噂は本当?その理由を徹底考察!」にて解説しています。
慢性炎症を予防するには?おすすめの食生活
慢性炎症の予防に効果的な栄養素を4つご紹介します。
参考:5 inflammation-fighting food swaps |Harvard Health Publishing
①ビタミンC
ビタミンCは、コラーゲンを合成したり、抗酸化作用があることで美容に良いと言われている栄養素です。
皮膚に生じた活性酸素は、炎症を引き起こしますが、ビタミンCはこの活性酸素の働きを弱める働きをします。ビタミンCは、オレンジ、いちごなどの果物や、パプリカやブロッコリーなどの野菜に多く含まれます。
ビタミンCは水溶性ビタミンで、水に溶けてしまうので、生のままや、茹でるよりも焼いて食べるのがおすすめです。
②ビタミンE
ビタミンEも抗酸化作用のある栄養素です。
脂溶性ビタミンで、細胞を構成する生体膜の脂質の酸化を防止します。
ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類やアボカド、ほうれん草などに多く含まれます。
③ポリフェノール
ポリフェノールとは、植物に存在する苦味や色素の成分です。
ポリフェノールにはさまざまな種類があり、ベリーに含まれるアントシアニンや緑茶に含まれるカテキン、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールなどがその一種です。
ポリフェノールも、その抗酸化作用から、慢性炎症に効果があります。
ブルーベリーやチェリーなどのベリー類、緑茶、チョコレート、りんご、赤ワインなどに多く含まれます。
④ω3系(n-3系)脂肪酸
最後はこちら。脂質は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の大きく2つに分けられます。
飽和脂肪酸は、主に動物性食品に含まれる脂質で、血液中のコレステロールを上げるはたらきがあります。
反対に不飽和脂肪酸は、主に植物性食品や魚に含まれる脂質です。血液中のコレステロールを下げるはたきがあります。
ω3系脂肪酸は、そのコレステロールを下げるはたらきのある、不飽和脂肪酸の一つです。
魚に含まれるDHAやEPAという名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。これらはそのω3系脂肪酸の名前です。
前述の通りコレステロールは、慢性炎症を引き起こす原因の一つなので、コレステロールを下げるはたらきのあるω3系脂肪酸は、慢性炎症に効果があります。
ω3系脂肪酸は、魚油やアマ二油、エゴマ油に多く含まれます。
ヴィーガンの生活の中では魚からの摂取は難しいですが、オリーブオイルも不飽和脂肪酸の一種ですので、同じような効果が期待できます。
まとめ
ヴィーガン生活を送る上で、美肌を維持するための栄養素や特徴について解説していきました。
上記の対策をしっかり行うことで、健康で美しい肌を保つことができます。
慢性炎症を予防する食生活で、素晴らしい美肌を維持してくださいね。