ヴィーガンクロマグロがもたらす海のサステイナビリティ
カリフォルニアの若者3人が、ヴィーガンクロマグロを開発。いったいどんなマグロなのでしょうか?そして、そこから考える、海のサステナビリティとは?
寿司屋の人気メニューでは、不動の1位を誇るほど、老若男女に好まれています。
さらに、海外でも、その需要は高まるばかり。
しかし、そのマグロも、過剰漁獲によって、絶滅の危機に瀕していることはご存じでしょうか?
今回は、その危機を脱するために開発されたヴィーガンクロマグロと、海のサステナビリティについて、解説します。
日本人だけでなく、世界で愛されるマグロ
日本人のみならず、世界中を虜にする、「マグロ」。
酸味と甘みの、絶妙なおいしさと、ヘルシー志向にマッチしたマグロは、年々、そのニーズを高めています。
マグロは、回遊魚です。
生きている間ずっと、広い海を泳ぎ回っています。
成長スピードも著しく、クロマグロでは、数センチメートルの稚魚から、3メートル以上になるものもあります。
日本は、その食文化の背景もあり、世界一のマグロ漁獲国です。
そして、消費量においても世界一です。
おいしい→漁獲量増→絶滅危惧種へ。そして現在
今や世界中で愛されるマグロ。
ニーズが高まると同時に、際限のない捕獲による、絶滅の危機に瀕してしまいました。
IUCN(国際自然保護連合)は、現在、太平洋クロマグロを、「準絶滅危惧種」と位置付けています。
その他、クロマグロ類も、同様の危機にあるとリストアップされています。
マグロだけではありません。
スタンフォード大学ニュースの2006年の記事によると、2050年までに、野生の魚介類のすべての種が崩壊するとのことです。
それは、気候変動や、海洋プラスチック、乱獲など、あらゆる海洋ストレスによるものだというのです。
しかしながら、その2050年までの間には、世界における食用の魚介類へのニーズは、倍増するだろうとのことです。
漁獲量の制限と養殖だけでは、個体数は回復しない
2021年、IUCNは、何種類かのマグロ類について、レッドリストのランクを引き下げました。
これは、マグロが、食用として過剰漁獲され続けないために、漁獲量に制限を設けてきた成果です。
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC) という会合が、毎年、開催されています。
この会合では、マグロ類のサステナブルな利用を、長期的に実現することを目的としています。
国や魚種ごとに、漁獲量を定めています。
そして、そのような制限を設けているのは、WCPFCだけではありません。
世界各国で、海域ごと、魚種ごとに、漁獲量を制限しています。
また、水産庁では、遊漁船などで行う、一般の方のマグロ釣りにも、制限を設けています。
種を存続させる取り組みは、漁獲量制限だけではありません。
養殖によって、食用のマグロの漁獲量を抑える努力もしています。
しかし、それだけでは先細りになってしまいます。
上のグラフのように、マグロ食のニーズに応えるためには、漁獲量を減らして、かつ、養殖量を倍増させなくては、圧倒的に供給量が足りません。