植物由来のマイクロキャリアで作られた培養ハイブリットチキンとは?最新培養肉事情を解説
実験室で培養される培養肉。まだまだ新しいテクノロージーですが、着々と技術開発が行われています。そんな培養ミート業界の最先端を走っている、アメリカ発の企業Matrix. F.T.(マトリックス・エフ・ティー)社についてご紹介します。同社が開発を進める植物由来のマイクロキャリアとは、いったい何なのでしょうか。詳しくチェックしていきましょう。
大豆などの植物性由来のプラントベースミートを作るのとは異なり、実験室で培養される培養肉。
まだまだ新しいテクノロージーですが、着々と技術開発が行われています。
そんな培養ミート業界の最先端を走っている、アメリカ発の企業Matrix. F.T.(マトリックス・エフ・ティー)社についてご紹介します。
同社が開発を進める植物由来のマイクロキャリアとは、いったい何なのでしょうか。
詳しくチェックしていきましょう。
そもそも培養肉って何?
「培養肉」という言葉を見かけたり、耳にすることは増えてきた最近。
でも具体的に何?と聞かれると、詳しいところまではよくわからない…というのが正直なところではないでしょうか。
実験室で作られる培養肉とは
従来の家畜を育てる肉とは異なり、培養肉とは牛や鶏などのの細胞を取り出し、実験室で細胞を育てることで作り出される代替肉の一つです。
英語では「Cultured meat(カルチャード・ミート)」と表現されることも多く、日本語に訳すると「実験室で育てられる肉」となります。
再生医療と同じ方法を使い、元となる動物から細胞を取り出すところから始まります。
それを、マイクロキャリアと呼ばれる「表面に細胞をくっつけると、培養できる素材」にくっつけることで、じわじわと組織培養が進みます。
なんだかSF世界のような気がしてしまいますが、すでに世界のあちこちの実験室で肉が育てられているのです。
なお、この培養肉は素材となる細胞は、従来の牛や鶏などの動物から取り出します。よって、出来上がる培養肉は「本物のお肉」。
逆に言うと、植物性由来のプラントベースミートとは全く異なるものです。
培養肉の研究を急速に進めているのは、アメリカだけではありません。
トップを走っているといっても過言ではないイスラエルでの培養肉事情について、こちらの記事でご紹介しています。
培養肉がクリーンミートと呼ばれるわけ
動物の細胞を育てることで肉を作るという「培養肉」はクリーンミートと呼ばれています。
従来の家畜を育てて肉を作り出す方法と比べると、環境負荷がよっぽど少ないからです。
動物を育てるための放牧地の確保が世界中で問題になっています。
併せて、動物が大きくなるための飼料や水もたくさん必要です。
さらには、家畜の糞尿から発生するメタンガスが地球温暖化に影響を与えるというデータもあります。
元となる動物が必要というのはありますが、培養肉は一度細胞を取り出してしまえば、実験室にてどんどん増やすことができるため、必要とされるリソースは限定的です。
環境にやさしい肉という意味で「クリーンミート」と呼ばれているのです。
培養肉の課題とは
培養肉の開発はまだまだ発展途上です。
だからこそ、まだまだコストが高いという点と、完璧な味ではないという課題を抱えています。
世界で1番最初に作られた培養肉バーガーは、2013年にイギリスにて試食会が開催されました。
「培養ミンチは普通のハンバーガーのようで悪くない」と好評ではありました。
でも、開発費などが重なったこのハンバーガーは1個約3,500万円!
培養肉をたくさん生産できるように改善が求められています。
また、味もまだまだ開発途中です。
一言で「牛肉」「鶏肉」といっても、部位ごとに味や触感が異なります。
一つの細胞から育てるだけだと、単調な味になってしまうため、そのあたりの調整もまだまだ必要です。
ちなみに「培養」対象になっているのは、肉だけではありません。
日本でも最近大手寿司チェーンであるスシローなどが「培養魚」の開発に参入していると話題になったばかりです。
「培養魚」についてはこちらでご紹介しています。