【南米】熱気あふれる情熱の国、ブラジルのヴィーガン事情を徹底解説
日本の約23倍もの面積を有する「ブラジル共和国」では、人口の14%がヴィーガンやベジタリアンの食生活を送っています。多民族・多文化国家であるブラジルのヴィーガン事情とは?その詳細を解説させていただきます。
ブラジルの人々が菜食になる理由とは
2012年の調査から175%増と、ブラジルの菜食主義の人口は、ここ数年で急速に拡大しています。
肉食文化の国、ブラジルの人々は、なぜヴィーガンやベジタリアンになることを選択したのでしょうか。
その大きな理由として考えられるのが、以下の2つの事柄です。
1. 健康上のリスクを考えて
ブラジル料理には、食肉を炭火で焼く「シュハスコ」など、肉を中心とした伝統的なメニューが多くあります。
しかし、近年、肉を摂取することによって引き起こされる、さまざまな健康上のリスクが取り沙汰されるようになりました。
また、ブラジルの保健機関による公式の食事ガイドラインでも、菜食を中心としたバランスの取れた食事の大切さが強調されています。
一般的に、菜食主義の人々は、病気にかかりにくいとされているため、健康面でのメリットを考えてヴィーガンやベジタリアンの菜食主義を取り入れる人も多いようです。
2. 環境への意識の高まりから
ブラジル国内だけでなく、世界中で問題視されているのが、アマゾンの熱帯雨林の森林破壊です。
この森林破壊の要因とされているうちの一つが、畜産業にあるとされています。
牛肉を生産するため、熱帯雨林の40%がすでに破壊されたといわれ、破壊後には牛の放牧のための牧草地や、飼料を作るための畑に転用されています。
また、牛の排出するメタンガスには環境汚染の原因となる温室効果ガスが含まれています。
アマゾンの熱帯雨林破壊がこのまま加速すれば、気候変動による異常気象を引き起こし、そこに住む生き物たちの居場所がうばわれてしまうでしょう。
こうした現実を目の当たりにしたブラジルの人たちが、肉を食べないヴィーガンやベジタリアンを選択することも多いのです。
ヴィーガン フェイラとは
ブラジル最大の都市、サンパウロでは、毎月1回「ヴィーガン フェイラ」が開催されています。
フェイラとは、いわゆる「青空市場」のことで、路上に数多くの露店が並びます。
露店では、動物由来の成分が一切含まれないヴィーガンフードのほか、コスメやファッション用品など、たくさんのヴィーガン商品が販売されています。
中でも人気なのがヴィーガンフードやデザートで、人気店には、長蛇の列ができるほどです。
また、ヴィーガン フェイラは、自然環境や人、動物にやさしいヴィーガンの生き方を学ぶ良い機会にもなります。
サンパウロの方たちは、月に一度のヴィーガン フェイラを心待ちにしているのです。
ミートレス運動がさかん
ミートレスマンデーとは、週に一度、肉を食べない日を設けようというキャンペーンです。
ブラジルは、ミートレスマンデーの本拠地でもあります。
公立学校の給食に週一回ミートフリー献立が導入されるなど、ミートレス運動は、現在も拡大中です。
また、ミートレスの動きはブラジルの市場にも広がっており、プラントベース食品を取り扱う企業の成長率は、年間40%ともいわれています。
プラントベースのヴィーガン・ベジタリアン関連市場は、ブラジルの企業や投資家の中でも、新たなビジネスチャンスとして注目されているのです。