豆を使わない細胞培養コーヒーとは?危機に瀕するコーヒー2050年問題
世界における需要はどんどん伸びている一方で、コーヒーの木は地球温暖化の煽りを受けています。2050年にはおいしいコーヒーを飲むのが難しくなるのではとも言われていて、サステナブルなコーヒーへの転換が求められています。この記事では、そんなコーヒーの存続の危機に対して挑戦する、フランスの企業STEM(ステム)社の挑戦についてご紹介してます。
2050年にはおいしいコーヒーを飲むのが難しくなるのでは?とも言われていて、サステナブルなコーヒーへの転換が求められています。
この記事では、そんなコーヒーの存続の危機に対して挑戦する、フランスの企業STEM(ステム)社の挑戦についてご紹介してます。
あわせて、気になるコーヒーの2050年問題についても確認していきましょう。
目次
世界初の培養コーヒーを作るSTEM社の挑戦
世界におけるコーヒーの需要はどんどん伸びている一方で、従来の木から育てるコーヒーの生産方法はサステナブルではないという現状があります。
そんな点に目を付けた、フランス発のスタートアップSTEM(ステム)社は、世界初の細胞培養コーヒーを作る企業として注目されています。
ステム社がバイオテクノロジーを使ってコーヒー業界を変える
フランスのスタートアップ企業であるステム社は、現在のスペシャリティコーヒーの代用品を作ろうとしているのではありません。
むしろ、現在のコーヒーをうまく活用しながら、より良い育て方を提案しようとしています。
従来のコーヒーの木を育てる方法を見直し、培養コーヒーへと転換を進めたいと研究を進めているのです。
これによって、コーヒーが出来上がるまでの一つ一つの工程をコントロールできるようになり、より「環境にやさしい方法」でコーヒーを作り出すことができます。
コーヒーの豆ではなく葉っぱを培養する
ステム社が研究開発を進めている培養コーヒーは、従来のコーヒーの葉からDNAを抜き出すところから始まります。抜き出した細胞を培養することで、コーヒーが作れるというのです。
同社は従来のコーヒー生産を否定するつもりはないと主張しています。従来の地域ごとに特製のあるコーヒー作りも続いていくのは間違いありません。
しかし、問題なのは爆発する需要に対して、生産量が追い付いていないという点です。だからこそ、バイオテクノロジーを使うことで生産量を増やしていきたいと考えています。
スペシャリティコーヒーの地域特性も開発対象に
また、この研究を進めていくことで、より美味しいといわれているスペシャリティコーヒーのDNA研究も急激に進めることができます。
本来は貴重であった種を、商業的に作れるようになれば、より美味しいコーヒーが多くの人の手に届くようになります。
さらに、コーヒーの面白い点は「地域ごとに味が異なる」という点です。
これもそれぞれの地域ごとのコーヒーの研究を進めていくことで、「培養コーヒー」の中でも味の変化をつけて育てることができるようになります。
同社は単純に培養コーヒーを作るだけでなく、味の違いや香りの違いについても追及している最中です。
サステナブルではない従来のコーヒー生産方法
そもそも従来の木からコーヒーの実を摘み取るというコーヒーの作り方は、たくさんの土地や水を必要とします。
地域で楽しむ程度ならば問題がありませんでしたが、今や全世界が中南米やアフリカで生産されるコーヒーを楽しんでおり、その需要に答えるためには、環境負荷が避けられない現状です。
コーヒーのサプライチェーンにおける二酸化炭素排出量を見ると、45%とほぼ半分が「生産」段階において発生しています。
コーヒーを楽しむ人が増えれば増えるほど、地球に対する負荷がかかるということにつながっています。
ステム社が目指すのはおいしいフィルターコーヒー
ステム社が現時点で開発を進めているのはコーヒーといっても「豆」そのものではなく、すでに挽いたパウダー状のものを作ろうとしています。
まずコーヒーパウダーを作り出し、それをローストすることによって、飲める状態のコーヒーにしていきます。
コーヒーとといっても色々な飲み方がありますが、現時点で開発を進めているのは「フィルターコーヒー」。
いわゆるフィルターにドリップして淹れるタイプのコーヒーです。なぜなら、フィルターコーヒーはコーヒーのフレーバーが特に出やすいからです。
このあたりからもステム社の本気度合いが伝わってきますね。さらにその先にはエスプレッソを作ることも視野に入れているそうです。