【インド】牛と環境、人の健康を保護する、地球にやさしいヴィーガンミルクブランド「ダンシング・カウ」とは
人口の約4割がベジタリアンとされるインドで、酪農産業から乳牛を救うため立ち上がったインドの企業「ダンシング・カウ」。牛乳に代わるプラントベースミルク「Otish」と、牛と環境を守る素晴らしい取り組みをご紹介します。
不殺生が尊ばれるヒンズー教徒が多く、人口の約4割がベジタリアンといわれるインドは、世界一の酪農大国でもあります。
牛乳の代わりにつくられた、ダンシング・カウのプラントベースミルク「Oatish」とは、いったいどのような商品なのでしょうか。
ダンシング・カウの創設者、アーロヒ・スーリヤ氏はヴィーガン活動家でもあります。
インドのヴィーガンミルク市場で注目されるブランドの背景と、酪農牛を救うための取り組みなどの詳細を解説します。
目次
ヴィーガンミルクブランド「ダンシング・カウ」とは
「ダンシング・カウ」は、ヴィーガン活動家でもあるアーロヒ・スーリヤ氏によって創設された、インドの新興企業。
「家畜にされている動物を救うこと」を企業理念に掲げるダンシング・カウは、酪農産業から搾乳用の牛を救出するための救援活動を行っています。
酪農家から牛を救出するためにリリースされた最初の商品が、プラントベースで作られたオーツ麦ミルクの「Oatish」です。
乳製品に代わる代替ミルク、Oatish売上金の一部が、牛の保護活動費に充てられます。
環境や人、動物すべてに優しいミルクOatish
ダンシング・カウのプラントベースミルク「Oatish」は、粉砕し、液状になったオーツ麦を原料につくられるオーツミルクです。
最も牛乳に近い栄養素が含まれたオーティッシュミルク
人気のプラントベースミルクは、豆乳やココナッツ、アーモンドミルクなど、さまざまな種類のものが販売されています。
「Oatish」のカロリーは、一般的な牛乳よりも67%ほど低くなっており、カルシウムやタンパク質やビタミンⅮの含有量が高く、栄養価が高いのが特徴。
オーツ麦から作られるオーティッシュミルクは、牛乳に最も近い栄養素が含まれたミルクでありながら、ヘルシーなミルクなのです。
また、アレルゲンが含まれていないため、乳製品アレルギーのある方も安心して飲むことができ、コレステロール値の低下や、消化機能の改善を助ける効果が期待できでしょう。
さらに、生産時には、牛乳と比較して温室効果ガス(CO2)の排出量を81%も抑制することができます。
牛乳に代わるダンシング・カウのOatishミルクは、牛だけではなく、環境や私たちの健康にもやさしいヴィーガンミルクなのです。
Oatishミルクの売り上げに応じて解放される牛
販売量に応じて与えられるインパクト
ダンシング・カウは、現在、インドの ウッタル・プラデーシュ州都「ラクナウ」近郊に、家畜のための保護シェルターを建設しています。
Oatishミルクが10ℓ販売されるごとに、この建設中の動物保護シェルターにレンガが10個ずつ設置されます。
そして100ℓ販売されるたびには、施設内に3本の木が植樹されます。
消費者参加型の販売戦略
さらに、10,000ℓのOatishミルクが販売されると、酪農家から搾乳用の牛一頭が引き取られ、シェルター内に解放されます。
酪農家との公正な取引で引き取られた牛は、シェルター内で保護され、悠々自適に過ごすことができるようになるのです。
ほかにも、売上金の5%は非営利団体に寄付することで、消費者が消費を通して保護活動に関わることを実感する機会を提供しています。
酪農産業から牛を救うために活動を続け、栄養価の高いプラントベースのミルクを提供するだけではなく、消費者を上手く巻き込んだビジネスモデルです。
インドの酪農と牛にまつわる事情
人口の約4割程度がベジタリアンとされるインド。
そのため、牛乳はベジタリアンの重要なタンパク源隣、酪農がさかんに行われているのです。
生乳生産量が世界第一位のインドでは、牛が1億9090万頭、水牛が1億1087万頭ほど飼われています。
また、生乳の生産量は、2015年の時点で1億5000万トンを超え、さらに年々増加しています。
加えて、ヒンズー教徒が人口の8割を占めるインドでは、牛(在来種)は神聖な動物とされ、とくに雌の乳牛の屠畜が禁止されている州も多くあります。
一方で、水牛の屠畜は認められているため、インドは世界最大の水牛肉の輸出国になっているのです。
酪農牛の一生
悲惨な酪農産業の事実
酪農場で飼育されている乳牛は、どのような一生を送るのでしょうか。
「牛乳」は、妊娠・出産後の雌牛から搾乳されます。
哺乳類である人間も同じですが、妊娠・出産をしなければ、お乳は出ません。
そのため、酪農場で乳牛として飼育されている牛は、1歳半から2歳になると人工授精によって妊娠し、およそ10ヶ月後に出産します。
そして、最初の出産後から搾乳が開始され、その後も定期的に妊娠・出産を繰り返し、ほぼ一年中牛乳を出し続けるのです。
本来、牛の平均寿命は12年程度とされていますが、工業型畜産で飼われる乳牛は5~6年といわれています。
狭いケージの中でつなぎ飼いにされ、強制的に妊娠・出産を繰り返し、人間が飲むための牛乳をひたすら出し続ける乳牛の一生は、本来の寿命を全うするにはあまりにも過酷です。
違法酪農業者の実態
ヒンズー教を知っている方は、「インドでは牛って神様のように扱われるんじゃないの?」と思う方もいるのではないでしょうか。
その通り、ヒンズー教徒が人口の8割を占めるインドでは、牛(在来種)は神聖な動物とされ、とくに雌の乳牛の屠畜が禁止されている州も多くあります。
しかし中には違法な屠畜が行われている酪農場があり、取り締まりも十分ではないと言えるでしょう。
需要があるからこそ、産業における違法行為はなかなか減りません。
過酷な環境で搾乳されている牛を救うためには、私たち乳製品の摂取量を減らすことが必要です。
まとめ
「ダンシング・カウ」は、インドの若きヴィーガン活動家が、酪農から牛を救出するために新しく立ち上げた、ヴィーガンミルクブランドです。
オーツ麦やキビからつくられた「Oatish」は、栄養価に優れたヘルシーなプラントベースミルクで、環境にもやさしいのが特徴です。
Oatishが10,000ℓ売れるたび、酪農家に家畜として飼われている搾乳用の乳牛が一頭解放され、インド国内にあるダンシング・カウの保護牧場で余生を送ることができるようになります。
まずは買い物の際、牛乳の代わりにオーツミルクや豆乳などのプラントベースミルクを購入することから始めてみませんか。
動物だけではなく、環境や人の健康にもやさしいヴィーガンミルクOatish。
日本国内でもヴィーガンミルクへの注目が高まる中、インドのヴィーガンミルク事情も目まぐるしく変化しています。
参考サイト:インド酪農の概要と世界の牛乳乳製品需給に与える影響
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