健康的に過ごすために気をつけなければならない「フードファディズム」とは?
「〇〇を食べるだけで健康に」「〇〇は体に悪い」こうした情報を鵜呑みにしていませんか?今回は健康的に過ごすために気をつけたい「フードファディズム」について解説します。
ですが、その情報は本当に正しいのでしょうか。
今回はごく身近に潜む「フードファディズム」を具体例を用いて解説していきます。
目次
フードファディズムとは?
フードファディズム(food faddism)とは、食品や栄養素が健康に及ぼす影響を盲信し、特定の食品を排除もしくは過剰に摂取することです。
主にメディアやSNSなどの情報発信が発端となります。
例えば、
- テレビ番組や雑誌などのメディアが発信した「○○を食べるだけで痩せる」といったような情報を鵜呑みにして、その食品を過剰に摂取すること。
- 「この栄養素を抜くと痩せる」といった情報を信じて特定の栄養素を避けてバランスの偏った食事をすること
フードファディズムの概念は1952年にアメリカのマーティン・ガードナー氏の著書で初めて紹介されたと言われています。
ファディズム(faddism)は「流行かぶれ」「一時的流行を熱狂的に信じること」という意味です。
日本では1990年代後半に栄養学者の高橋久仁子氏がこの言葉を紹介したことで知られるようになりました。
フードファディズムの事例
日本国内でも、メディアの過剰な演出や根拠のない情報によってフードファディズムが起こるケースがあります。
ここで、日本で起こったフードファディズムの事例ををいくつか見ていきましょう。
バナナ
2008年にはテレビ番組で「朝バナナダイエット」が紹介されたところ、バナナの品切れが続出しました。
番組に出演したタレントが毎朝食はバナナと水だけの生活を1ヶ月半続けたところ、7キロの減量に成功。
バナナを食べるだけで痩せるとしてブームになったのです。
ですが、バナナそのものに体重を減らす効果があるわけではありません。
他の食事の内容や運動量によって痩せる人もいれば、そうでない人もいます。
1食をバナナだけに置き換えるのは栄養バランスが崩れるため、一時的に減量に成功したとしてもリバウンドする可能性が高いです。
参考:テレビの影響で品切れ大騒動 バナナダイエット健康にいいのか: J-CAST ニュース
牛乳
2008年に発売されて話題になった書籍に「牛乳は健康に悪い」といった主張があったことから、右肩上がりだった牛乳の生産量が減少し始めました。
その書籍の中には「牛乳の飲み過ぎは骨粗鬆症を引き起こす」といった根拠のない内容も含まれていました。
参考:フードファディズムはなぜ食品ロスを生み出すのか(井出留美) – 個人 – Yahoo!ニュース
納豆
2020年には「納豆が新型コロナウイルスに効果がある」とのデマがSNSで拡散され、納豆の買い占めが発生。
納豆は栄養価が高く免疫力アップが期待できますが、直接新型コロナウイルスの予防に役立つという根拠はありません。
当時消費者庁は根拠が乏しいとして予防効果を否定しましたが、品薄状態が続きました。
参考:<新型コロナ>「予防に効果」デマ影響? 納豆、名産地でも品薄 業界団体「冷静な対応を」:東京新聞 TOKYO Web
フードファディズムの問題点
フードディズムはマイナスな影響をもたらす危険性があります。
健康被害
本来健康を維持するためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
フードファディズムに踊らされて特定の食品・栄養素に偏った食事を続けていると、栄養バランスを崩す恐れがあります。
健康に良いとされる食品や栄養素も、過剰に摂取することでかえって体調が悪くなって症状が出てしまうことも。
必要な人に行き渡らなくなる
フードファディズムによって特定の食品が品薄になってしまうと、病気などでその食品が必要な人に行き渡らなくなってしまう可能性があります。
フードロス
フードファディズムはフードロスを引き起こす原因の一つです。
フードファディズムによって「健康に悪い」といった噂が流れば、その食品の売れ行きが悪くなります。
その結果、売れ残った商品は廃棄されてしまいます。
逆に、フードファディズムによって食品が爆発的に売れた場合にもフードロスが起こる可能性があります。
商品が売れば、企業は需要に応えようと商品を増産しますが、フードファディズムによるブームは長くは続きません。
商品が売れなくなれば在庫過多になり、結局はフードロスにつながるのです。
参考:フードファディズムはなぜ食品ロスを生み出すのか(井出留美) – 個人 – Yahoo!ニュース
フードファディズムの解決策=ヘルスリテラシーを育む
フードファディズムに踊らされないためには、ヘルスリテラシーの向上が必要です。
「ヘルスリテラシー」とは、さまざまな健康情報の中で正しい情報を探し出し、活用する能力のことです。
フードファディズムの原因は、過剰な広告や偏ったメディアの情報発信が原因となります。
だからこそ、私たち消費者一人ひとりが情報を鵜呑みにせず正しい情報を見極めることが重要です。
健康に関する情報を取り入れる際は、情報源(ソース)はどこなのか、いつ何のために発信されたのか、他の情報と比較して情報の信頼性を確認しましょう。
まとめ
「これを食べれば絶対健康になる / 痩せる」といった食材はありません。
どんなに健康に良いとされる食品も、過剰に摂取してしまえば体にとって毒になることも。
逆に、体に良くないとされる食べ物も適量であれば健康に役立つこともあります。
情報が簡単に手に入る社会だからこそ、フードファディズムに惑わされないように意識することが必要です。
フードファディズムに騙されず健康的に過ごすためにも、まずは栄養バランスの良い食事を摂ることが健康を維持するための一番の近道だと認識することが大切なのではないでしょうか。