サステナブルな生分解性繊維、リヨセルについて徹底解説
サステナブルな素材として注目される「リヨセル繊維」について、徹底解説。その特徴や製造工程、企業のエシカルな取り組みに加えて、「リヨセル繊維」を採用している有名ブランドもご紹介します。
このリヨセル繊維は、持続可能な方法で調達した天然木材を原料としており、環境に配慮して生産されているため、ヴィーガンの方をはじめ、エシカルな消費を心掛けている方にも安心して使って頂ける素材です。
そこで今回は、このリヨセル繊維に関して徹底解説。その特徴や製造工程、そして、リヨセル繊維を使用しているブランドなどをご紹介します。
リヨセル繊維とは?
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リヨセル(Lyocell)繊維とは、生分解性のある再生セルロース繊維のことで、木材パルプなどから採取した繊維素(セルロース)を化学処理で溶かして紡糸(溶剤紡糸法)し繊維化されます。
分類上は化学繊維(人造繊維)となりますが、石油を使った化学繊維と違い、限りなく天然繊維に近く、土の中で無害に生分解されるため、地球環境に優しい素材として注目され、多くの一流デザイナーや有名小売業者のコレクションで使用されています。
また、リヨセル繊維は汎用性に優れ、コットンやポリエステル、アクリル、ウールなどのような幅広いテキスタイル用繊維と組み合わせることで、生地のクオリティーや機能性を向上させることが可能となります。
リヨセル繊維の特徴
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【通気性】
リヨセル繊維は、優れた吸放湿性により、体の自然な体温調整機能を促進し、肌のドライ感とクール感を保ちます。
天然の原料に由来するセルロース繊維の微小なフィブリル(微細な毛のような小繊維)は、水分の吸収及び放出を調節する構造を持っており、生地の通気性を高めます。
【強度】
リヨセル繊維は、汎用性が高く、コットンやレーヨンと比較しても高い強度があり丈夫です。
また、コットンに匹敵する耐久性が得られ、クオリティーも持続します。
【なめらかさ】
リヨセル繊維の表面部分はなめらかであり、柔らかくドレープ性もあります。
また、生地にコシやハリ、弾力性があり、上品な光沢もあり高級感があります。
【細菌の繁殖を抑制】
リヨセル繊維は、吸放湿性を備え水分を効率的に吸収するため、合成繊維などと比較すると、繊維表面においての細菌の繁殖に必要な水分が少なくなります。
そのため、細菌発育抑制効果もあり、防カビや防ダニ、消臭効果が期待できます。
リヨセル繊維の製造工程
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①木質パルプを原料にして、天然セルロースの分子構造を分解させずに、人体に無害な化学処理で溶かして、フィルターでろ過する。
②不純物を取り除き、ノズル(細い孔の先)から原糸を紡ぎ出す。
以上のように、リヨセル繊維の製法はシンプルであるため、危険度が少なく、再利用も可能です。
製造工程の補足として、テンセルの公式サイトにある「リヨセル繊維のサステナブルな生産」もご紹介します。
【リヨセル繊維のサステナブルな生産】
テンセル™リヨセル繊維は、木材パルプを資源効率が高く、環境負荷の少ない方式でセルロース繊維に転換する、環境に配慮した*クローズドループ生産プロセスにより、好評を得ています。
*クローズドループ・・・生産時に発生した廃棄物や回収した自社の使用済み製品を、同じ品質の材料として再生し、同じ素材にリセットして無限に循環利用される手法。
この溶剤紡糸プロセスでは、工程用水をリサイクルしており、溶剤を99%を超える回収率で再利用します。
経済的有効性に優れたこの製造プロセスは、欧州委員会のEuropean Award for the Environment(欧州環境賞)の「持続可能な開発のためのテクノロジー賞」部門を受賞しました(2000年)。
また、テンセル™リヨセル繊維は、米国農務省(USDA)からバイオベース製品として認証を受けています。
さらに、すべてのレンチング繊維生産施設は、環境管理・労働安全衛生システム(ISO14001OHSAS 18001)認証に従って運営されています。
(出典:Tencel「サステナビリティ」)
リヨセル繊維の原材料
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リヨセル繊維は、「木材及びパルプに関するレンチング社方針」に定める厳格なガイドラインに従い認証・管理された森林から得られた、持続可能な木材を原料とします。
原材料は、ユーカリなどの木材パルプであり、この木材は森林を伐採するのではなく、計画植林され、人が管理し栽培している木材を使っています。
ユーカリは成長が早く丈夫であり、化学肥料や殺虫剤も必要なく、狭い土地でも成長する環境に優しい植物です。
また、木材パルプは、製材する時に出る樹木の端材となり、木材としての価値はほとんどなく、これを原料にしている事が環境負荷が少ない理由の一つとなります。