血液や臓器にも…?私たちの身体の中にも既に入り込んでいる「マイクロプラスチック問題」を徹底解説
分解まで長い歳月を要し、生き物や環境に影響を与え続けるマイクロプラスチック。最近行われた研究では、人体の血液中に入り込んでいることが判明しました。マイクロプラスチックが引き起こす問題を、徹底解説いたします。
生態系にも悪影響を及ぼすといわれているマイクロプラスチックは、深海から山頂まで、世界中のあらゆるところから発見されています。
大気中を漂い、ほこりや飲食物に混じり、知らないうちに人体に入り込むことがあるマイクロプラスチック。
人体に入り込んだマイクロプラスチックは、一体どのような影響を及ぼすのでしょうか、その詳細を徹底解説します。
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、5ミリ以下の微小なプラスチックの総称です。
プラスチック製品が紫外線や風雨にさらされて劣化したり、化学繊維(ポリエステルなど)でできた衣服の洗濯くずが流れ出たものがマイクロプラスチック発生の原因になります。
自然分解されにくいプラスチックゴミは、焼却処分されない限り、やがてマイクロプラスチックとなって大気や水など自然環境の中に残存し続けるのです。
人体にも、すでにマイクロプラスチックが入り込んでいる?
2022年3月、科学誌「Environment International」に、オランダのアムステルダム自由大学で行われた、マイクロプラスチックに関する研究が発表されました。
この研究で健康な22人のボランティアから提供された血液サンプルのうち、17人の血液中からマイクロプラスチック成分が検出されたのです。
さらに、22人の血液サンプルのうち、その半数から飲料用ペットボトルに多く使われている「ポリエチレンテレフタレート」も検出されたという、衝撃的な研究結果が話題になっています。
どうやって体内に入り込むの
血液中から発見されたマイクロプラスチックは、一体どうやって体内に入り込んだのでしょうか。
マイクロプラスチックが人体に入り込むルートとして、以下の可能性が挙げられます。
- 汚染された大気を吸い込んでしまう
- 特定の歯磨き粉やリップグロスなどの成分の中に含まれている
- タトゥーのインクが、やがて体内に吸収されていく
- 飲用水や食品などを通じて口から入り込む
- エサと間違ってマイクロプラスチックを誤飲した魚を人が食べる
現在、私たちが暮らす社会は、プラスチック製品であふれかえっています。
捨てられたプラスチックゴミは、劣化してやがてマイクロプラスチックとなり、ありとあらゆる所に漂っているのです。
臓器に蓄積する可能性も?
血液は、血管を通じて体中をめぐっています。
マイクロプラスチック粒子が血液中に含まれていた場合、血流に乗って臓器に運搬される可能性も出てきます。
通常、体内に入り込んだマイクロプラスチックは、最終的に腎臓でろ過されるか、胆汁によって体外に排出されます。
しかし、その一方で、毛細血管や静脈洞を経由してほかの臓器に沈着することも指摘されており、血液中に含まれるプラスチック粒子は排出されず臓器にとどまり続ける可能性が、研究者らによって示唆されています。
実際、人間の体内にマイクロプラスチックが蓄積されることで、どのような影響が出てくるのでしょうか。