【韓国】自動車メーカーヒョンデが生んだキノコ菌糸由来製品のスタートアップ企業「Mycel」とは
韓国の大手自動車メーカー「ヒョンデ」が生んだキノコ菌糸由来製品を開発中のスタートアップ企業「Mycel」についてご紹介します。
電気自動車や燃料電池自動車などの環境にやさしい車の開発に力を入れており、欧州をはじめとする世界中から注目を浴びている自動車メーカーです。
2010年に日本市場を撤退したヒョンデですが、12年振りに日本市場に再参入を果たしたことで国内でも話題になっています。
日本ではあまり見かけない車かもしれませんが、近年のヒョンデグループの世界販売台数は700万台前後とホンダやフォードを上回り、存在感を見せています。
参考:日本導入はわずか2車種だけど…… 韓国ヒョンデのフルラインナップを眺めてみる
ヒョンデが生んだ注目のスタートアップ
そのような背景を持つ、現在急上昇中の韓国のヒョンデ自動車から生まれたスタートアップ企業がMycel(マイセル)です。
同社は、動物の革に代わる菌糸のバイオマテリアルを作るだけでなく、2023年に菌類ベースのタンパク質を発売する計画で、代替肉市場もターゲットにしています。
ソウルに本社を置くマイセルは、今回1000万ドルの資金を調達し、ファッションから化粧品、医薬品に至るまで、さまざまな業界に応用できるバイオマテリアルを生産するため、菌糸の再生成長システムを利用したプラットフォームの構築を目指しています。
また、2023年にシンガポールでのキノコ革の商品化を目指して、菌糸を使った革製品や化粧品原料の共同開発について、グローバルブランドと交渉中であるそうです。
共同創業者で元ヒョンデ自動車社員のサ・ソンジン氏は、「今回の新たな資金調達で、同社の菌類ベースのバイオマテリアルの製造規模拡大のために韓国に生産工場を開設し、従業員数を42人に倍増する」と述べています。
参入企業上昇中のキノコ菌糸体産業
キノコの菌糸体は、世界中の多くの企業によって、車のシートから靴やハンドバッグに至るまで、動物の革に代わる製品に利用されています。
サンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業MycoWorks(マイコワークス)は、今年初めに1億2500万ドルを調達し、この資金は同社の主力製品用の本格的なキノコ革生産工場の建設費用に充てられる予定です。
一方、カルフォルニアに拠点を置くBOLT THREADS(ボルトスレッズ)は2021年9月に2億5300万ドルを確保し、ステラ・マッカートニーやアディダスといったブランドと提携してすでにパンツやハンドバッグ、靴に採用されているキノコ菌糸体レザーの商業化をさらに進めています。
ボルトスレッズは日本においても、土屋鞄とキノコ菌糸体由来のヴィーガンレザーモデルを共同開発をしました。詳しくは下記リンクの記事をご覧ください。
【国内初】土屋鞄がキノコの菌糸体由来のヴィーガンレザーモデルを共同開発
菌糸体から作るヴィーガンミート
ヒョンデ自動車の社内スタートアッププログラムから生まれたマイセルは、2020年にヒョンデ自動車の元社員であるサ・ソンジン、キム・ソンウォン、パク・ユンゴンが設立しました。
注目すべき点は、マイセルは他のキノコ革のスタートアップと一線を画すため、食肉市場もターゲットにしている点です。
同社によれば、菌糸体は動物の筋肉と似た形態的特徴を持つため、他の植物性タンパク質とは異なり、肉の繊維構造を高度に模倣することができるとしています。
そして、菌糸体は低脂肪で、タンパク質や食物繊維が豊富なため、食品としての栄養価も高いと評価しています。
韓国では、若者を中心に環境や動物、健康への意識が高まり、ヴィーガンのコスメや飲食店が急速に増えています。そのため、代替肉の需要の増加により更なる市場の拡大も想定されています。
2023年にキノコ菌糸由来のヴィーガンレザーの発売を計画しているマイセルですが、急成長中の同社によるヴィーガンミートの発売も遠い未来の話ではなさそうです。
今回は韓国でのヴィーガン関連スタートアップ企業についてお伝えしました。
今後もハッピーキヌア では国内外の最新情報をお届けしていきます。
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