2021年の11月2日に行われた次期ニューヨーク市長選挙において、民主党のエリック・アダムス氏が当選し、2022年1月1日から、第110代ニューヨーク市長に就任することが決定しました。
元警察官で、現ブルックリン区長のエリック・アダムス氏は、私生活では牛乳や卵を含む動物由来の食品を一切摂取しない「ヴィーガン」の食事を実践されているそうです。
ニューヨーク市で初のヴィーガン市長、エリック・アダムス氏のこれまでの経歴や、市長就任後の施策について、みなさんにご紹介させていただきます。
ニューヨーク市とは
アメリカ合衆国のニューヨーク州に位置するニューヨーク市は、人口800万人を超えるアメリカ合衆国最大の都市です。
東京23区の総人口が971万人であるということと比較してみても、ニューヨーク市がいかに大都市かということがお分かりになると思います。
また、ニューヨーク市は国連本部の所在地でもあり、世界的にみても政治や経済、ライフサイエンスやファッションなど、さまざまな文化の中心地としても知られています。
エリック・アダムス氏の経歴

次期ニューヨーク市長に就任する、エリック・アダムス(Eric Adams)氏は、1960年9月1日生まれの61歳です。
ブルックリンの貧しい家庭の6人兄弟の4番目の息子として生まれ育った彼は、15歳の頃、ある事件で警察官から理不尽な暴行をうけたのがきっかけで、警察の道に進むことを決意しました。
高校卒業後、ブルックリン地方の検事局で事務員や整備士などの仕事をしながら大学に通い、マリストカレッジでは行政学を学び、修士号を取得しました。
1984年にニューヨーク市警察アカデミーを卒業した後は、実に22年もの間、ニューヨーク市警察の警察官として勤務し、警部まで務めました。
その後、2006年にニューヨーク州上院議員に当選し、2013年には有色人種として初めてのブルックリン区長に選出され、現在もブルックリン区長を務めています。
ヴィーガンになったきっかけ
今から5年前の2016年、2型糖尿病にかかってしまったエリック・アダムス氏は、左目の視力を失ったうえ、手足の神経障害にも悩まされました。
しかし、これまでの食生活から、植物ベースのヴィーガン食事療法に切り替えたところ、わずか3ヶ月あまりで2型糖尿病を克服することができたそうです。
この時の経験をもとに、食事の内容と慢性疾患の関係性について言及し、菜食料理のレシピ本を出版するなど、植物ベースの食生活の普及と推進に向けての活動を積極的に行っています。
ヴィーガンとしての活動
エリック・アダムス氏は、2016年からヴィーガンの食生活を送っています。
また、健康維持に効果的な野菜を中心とした「ヴィーガンの食生活」をニューヨーカー達に推進するため、下記のような活動を行ってきました。
公立学校の給食でミートレス・マンデーを実施
現在、ニューヨーク市の公立学校では、生徒たちに無償で給食が提供されています。
さらに、2019年度からは、生徒たちの健康状態の改善や、自然環境への負担低減を目的として月曜日だけミートフリー(肉抜き)の「ミートレス・マンデー」献立を実施中です。
このミートレス・マンデーを最初に取り入れたのが、他ならぬエリック・アダムズ氏です。
2018年度から、彼が区長を務めるブルックリン区の学校で、子供たちの健康のために試験的にミートフリー給食の提供を始めたことを見ならって、ニューヨーク市でも取り入れることにしたようです。
肉の消費量を減らすことは、動物愛護や自然環境への負担の削減につながっていきます。
また、それと同時に、アメリカ合衆国で問題視されている子供たちの肥満や成人病の抑制にもなる、素晴らしい取り組みといえるのではないでしょうか。
加工された肉を公立学校の給食メニューから除外
ミートレス・マンデーに加え、ニューヨーク市内の公立学校の昼食での「加工肉」の提供禁止を教育省にはたらきかけ、採択・実施されています。
これは、WHO(世界保健機関)でも「発がん性」が指摘されている加工肉を給食メニューから除外して、子どもたちが植物ベースの食品を積極的に摂取し、健康を維持できるようにすることが目的です。
ヴィーガンや植物ベースのライフスタイルを奨励
菜食中心の食生活で2型糖尿病を克服した経験をもつエリック・アダムス氏は、ニューヨーカーが健康を維持できるように、ヴィーガンのライフスタイルを推進中です。
また、植物ベースの食事の力で、病気を改善させることを教えるプログラムなどを充実させることに加え、植物ベースの栄養学を支援するため、ニューヨーク州立ダウンステート医科大学への助成金の出資を決定しました。
ハッピーキヌアヴィーガンメディアのこちらの記事もご参考になさってください。
エリック・アダムズ氏の打つ施策とは
2022年1月1日にニューヨーク市長に就任するエリック・アダムズ氏は、市長に就任後、さまざまな施策を打つことを考えているようです。
まずは、元警察官の経験を生かし、新型コロナウィルスの流行で、治安が悪化しているニューヨークの治安を回復させることを選挙公約として掲げています。
さらに、初のニューヨーク女性警察委員長の任命や低所得地域での教育活動の推進、環境保護などにも今後力を入れていくようです。
また、現在義務化されているニューヨーク市の職員のワクチン接種についても言及、見直しを示唆しています。
まとめ
次期ニューヨーク市長に就任するエリック・アダムス氏は、貧しい環境で苦労しながらも、努力して一からキャリアを築きあげてこられました。
人の痛みは、同じ立場に立ったことのある人でなければ、理解することは難しいといえるでしょう。
今まで、たくさん苦労してきた彼だからこそ、困っている人たちにいち早く気付き、手助けすることができるのかもしれませんね。
また、予防医療や健康維持のため、植物ベースのレシピを発信するなど、ヴィーガンの普及にも力を注がれているエリック・アダムス氏の今後の活躍が楽しみです。