【コロンビア】世界初、闘牛から救出された牛の保護施設がオープン

【コロンビア】世界初、闘牛から救出された牛の保護施設がオープン

牛と闘牛士が戦うスペインの伝統競技「闘牛」では、毎年たくさんの牛が犠牲になっています。コロンビア議会が闘牛禁止に向けて揺れる中、新しく設立された闘牛の保護区「トロ・ブラボー」を、ご紹介します。

ハッピーキヌア編集部
2023年03月07日
【コロンビア】世界初、闘牛から救出された牛の保護施設がオープン
世界各国で行われている「闘牛」には、牛同士が戦うものもありますが、スペインの伝統文化として行われている闘牛ショーでは、人と牛が戦い、毎日多くの牛が犠牲になっています。

 

闘牛で犠牲になる牛たちを救うべく、南米コロンビアの首都、ボゴダ周辺に、スペイン闘牛から保護された牡牛のための施設がオープンしました。

 

世界初となる闘牛の保護区「トロ・ブラボー・リザーブ」の取り組みを、皆さんにご紹介させていただきます。

 

スペインの国技、闘牛とは

古代ローマ時代に発祥し、スペインの国技にもなっている「闘牛」は、人間と牛が戦う伝統競技です。

 

欧米で行われている闘牛のほとんどは、スペインスタイルの闘牛ショーです。

スペイン闘牛では「ピカドール」や「マタドール」とよばれる闘牛士らが牡牛と対峙し、槍や剣などで突き刺すなどして牡牛を弱らせ、最後にトドメを刺します。

 

近年では、その残酷さから闘牛ショーの中止を求める声も数多くあり、動物愛護団体などによる反対運動も行われています。

 

闘牛を待ち受ける残酷な運命とは

ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナルによれば、闘牛で犠牲になる牛の数は、年間18万頭ともいわれています。

 

闘牛士と闘う牛は、体重およそ500キロ、立派な角を生やした黒毛のリディア種の牡牛です。

リディア種の牡牛は、スペイン闘牛のために改良されているため、気性が荒く、猛々しい性質を持っています。

 

牧場で半野生で育てられた牡牛は、4~5歳になると、闘牛場の狭い小屋に運ばれ、とつぜん闘牛広場に放たれます。

その後、牡牛は、パニック状態で闘牛士らと対峙し、背中に鋲(びょう)や槍を打ち込まれ、剣でトドメを刺され、最期に苦しみながら絶命します。

絶命した牛は、闘牛場に併設されている施設で解体された後、食肉として闘牛場の近くのレストランで提供されています。

 

闘牛の際、とくに勇敢な動きをした牡牛は傷の手当てをされ、牧場で種牛として生き延びるケースもあるようですが、ごくまれです。

 

闘牛場に連れて来られた時点で、牡牛の運命はシナリオ通り、ほぼ決まっているのです。

 

コロンビアの上院議会で闘牛禁止法案が可決

南米のコロンビアは、かつてスペインの植民地だったこともあり、現在もスペインスタイルの闘牛ショーが行われている国のひとつです。

 

何十年もの間、コロンビアでは、この残酷な闘牛ショーをやめさせるよう、動物愛護活動家による抗議活動などが行われてきました。

 

最近になり、ようやくコロンビアの上院議会で、闘牛の全国的な禁止法案が可決されました。

現在、この法案は、グスタポ・ペトロ大統領によって支持されています。

 

コロンビア国内で、闘牛禁止法案が施行されるためには、さらに下院での承認が必要になります。

 

世界初の闘牛保護区 トロ・ブラボー

闘牛禁止法案に揺れるコロンビアに、世界初となる「闘牛のための保護施設」がオープンしました。

 

闘牛から救出された7頭の牡牛が保護されているのは、コロンビアの首都ボゴタを取り囲む、山岳地帯にある「トロ・ブラボー(野生の牛)保護区」です。

 

ここでは、闘牛ショーに使われる黒毛のリディア種の牡牛の保護と、野生の牛の自然生息地を守るための環境保護活動が行われています。

 

トロ・ブラボーの役目

トロ・ブラボー保護区は「ミゲル・アパリシオ氏」によって創設されました。

 

今後、コロンビア共和国議会で闘牛禁止条例が可決・施行された場合には、闘牛牧場で飼育されている何千頭もの牛が、行き場を失うことになるでしょう。

ミゲル・アパリシオ氏は、闘牛が禁止になった後、牛たちが食肉処理されてしまうことのないよう、元闘牛士や闘牛牧場主と話し合い、牛の保護活動を行っています。

 

さらに、トロ・ブラボー保護区では、闘牛として育てられる黒毛の牡牛の保護活動など、闘牛に代わる新しいビジネスの提案もされているようです。

 

闘牛の代わりになるビジネスの提案

法律で闘牛ショーを禁止するだけでは、根本的な問題の解決には至らないため、トロ・ブラボー保護区は、闘牛反対派と賛成派のどちらにもつかず、中立の立場をとっています。

 

現在、闘牛ビジネスで生計を立てている人々が、保護区内で新しい仕事を見つけられるよう、これからサポート体制を整えて行くとしています。

 

さらに、いくつかの国の繁殖農場と協力し、エコツーリズム(生態観光)産業の一環として、牛たちにストレスを与えない環境づくりにも取り組んでいます。

 

トロ・ブラボー保護区は、闘牛ビジネスを取り巻く問題を、根本から解決に導くべく設立された施設でもあるのです。

 

日本の闘牛

日本国内では、牛同士が角を合わせて戦うスタイルでの闘牛(牛相撲)が行われていますが、スペインの闘牛のように死ぬまで戦わせることはありませんし、負けた牛がすぐに食肉処理されることもありません。

 

闘牛は、愛媛県宇和島市や、沖縄県うるま市、鹿児島県の徳之島などの伝統文化として地域に根付いています。

 

日本では、闘牛として育てられる牛は、牛舎で丹精込めて育てられ、4~5歳で闘牛大会にデビューします。

勝敗のルールは「逃げた方が負け」で、ほんの数秒で決着がつく場合もあれば、30分以上戦うこともあります。

 

勝負の後、傷付いた牛は手当され、念入りにブラッシングされます。

酪農牛とは違い、散歩などの定期的な運動や食餌・健康管理など、日本の闘牛たちは大切に育てられているようです。

 

まとめ

スペインの国技でもある闘牛は、人々の娯楽や伝統文化として支持されていますが、牛が犠牲になる残酷なショーでもあります。

 

南米コロンビアの山岳地帯に設立された、トロ・ブラボー保護施設には、現在、闘牛から救出された7頭の牡牛が保護されています。

 

残酷な闘牛ショーが禁止されるのは、動物愛護の観点からは喜ばしいことです。

しかし、闘牛が禁止されれば、それまで闘牛ビジネスに関わっていた人々が仕事を失い、闘牛牧場の牛たちも行き場を失い、食肉処理されてしまうかもしれません。

 

トロ・ブラボー保護区では、闘牛牧場の牛の保護だけではなく、今後、闘牛ビジネスに代わる仕事の提案をすることも考えているようです。

 

トロ・ブラボー保護区は、人にも牛にもやさしい保護施設なのです。

 

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