【南アフリカ】70%の国民が反対、動物の絶滅を加速させる残虐なスポーツ「トロフィーハンティング」とは?
動物の頭部や皮を飾ることを目的に行われる狩猟「トロフィーハンティング」の盛んな南アフリカ共和国での調査結果を参考にしながら、実態と今後の展望について解説します。
トロフィーハンティングに対する賛否の声
トロフィーハンティングを密猟と変わりない残虐な行為として非難する声がある一方で、正当性を強調する意見もあります。
トロフィーハンティングは狩猟の対価として料金を払い、ルールに従って行われており、結果的には動物の適切な保護管理や、現地の雇用促進に繋がるというのが、肯定派の主張です。
しかし、実際のところ、トロフィーハンティングによって地域に恩恵がもたらされているとは言い難いでしょう。
例えば、トロフィーハンティングに関する税収入の分配には、地域ごとにばらつきがあったり、有力者ばかりが利益を得ていたりと、不完全な実施状況が窺えます。
また、地域住民の雇用機会は決して平等ではなく、公共事業への投資もなかなか浸透していません。
むしろ、トロフィーハンティングが行われることで、地域住民の農耕や狩猟活動が制限されてしまっています。
いくら経済面のメリットを主張しても、トロフィーハンティングが動物と地域住民の生活を脅かしていることは、ひとつの事実といえます。
(参考サイト:護るために殺す?――アフリカにおけるトロフィー・ハンティングと地域社会/安田章人 – SYNODOS)
南アフリカにおけるトロフィーハンティング
南アフリカ共和国は、アフリカ諸国の中でもトロフィーハンティングの盛んな国となっています。
一方で、動物保護慈善団体であるHumane Society International/Africaが委託実施した2022年8月の調査では、トロフィーハンティングに反対する意見が68%を占めました。
2018年度の同様の調査結果では56%だったことから、反対派が増えていると考えられます。
また、特にライオンやゾウ、サイ、ヒョウを対象とするトロフィーハンティングに、反対票が集まりました。
(参考サイト:Nearly 70% of South Africans Oppose Trophy Hunting)
動物たちを人間の私利私欲で狩る行為に、南アフリカ共和国内でも批判が高まっているといえるでしょう。
南アフリカ共和国にとって、トロフィーハンティングは収益の見込める大きなビジネスです。
しかし、このような国民の声に耳を傾け、政府が主体となってトロフィーハンティングを規制していく動きが求められているのではないでしょうか。
まとめ
動物の頭部や皮を記念品とする「トロフィーハンティング」は、動物だけでなく地域住民にも悪影響を及ぼす行為だといえます。
また、トロフィーハンティングが多く行われている南アフリカ共和国でも、最近の調査で反対の声が増加傾向にあると判明しました。
トロフィーハンティングというひとつのビジネスにどのように向き合っていくのか、南アフリカ共和国を含めて、世界中で考えなければならないでしょう。
動物たちを守る活動について詳しく知りたい方は、動物保護団体「PETA」に関するこちらの記事をぜひご覧ください。