【イギリス】畜産業の脱却と再緑化に取り組む「ヴィーガンランドムーブメント」を解説
畜産業による環境問題が世界的に注目される中、イギリスではヴィーガンによる「ヴィーガンランドムーブメント」が行われています。この取り組みとは？
日本でも、家畜の餌になる穀物を栽培して輸送する際に排出される二酸化炭素の量や、動物から出る温室効果ガスなどが問題になっています。
もちろん、イギリスも例外ではありません。
この記事では、イギリスで始まったヴィーガンによる環境への取り組み「ヴィーガンランドムーブメント」についてご紹介します。
畜産からの脱却を実現するユニークな方法に注目です。
目次
ヴィーガンランドムーブメントとは
ヴィーガンランドムーブメントとは、家畜を飼育する土地を購入して自然に戻し、畜産が招く環境や倫理の問題を解決する運動です。
土地を購入するための資金は、クラウドファンディングの組織である「グローバル・ヴィーガン・クラウド・ファンダー（GVCF）」が寄付者から集めています。
この組織は、ヴィーガン向けのクラウドファンドがなかったことから2019年に設立されました。
ヴィーガンムーブメント自体はイギリスを拠点に活動しており、環境保護主義者やボランティアなどにより運営されています。
ヴィーガンランドムーブメントの目的
ヴィーガンランドムーブメントの目的は、持続可能な生態系や代替可能な食料生産を達成することです。
SNS上にいるすべてのヴィーガンが参加すれば、絶滅の危機にある種が生息する土地を再生できます。
これまでに、イギリスの南西部にあるサマセットの酪農から10万平方メートルの土地を買い取りました。
この土地は、2万羽のニワトリを飼育する養鶏場の建設計画があった場所です。
この結果、動物が味わう苦しみと畜産による汚染を止めることができたと言います。
今後は苗木を千本植えて土地を再び野生に戻し、ヴィーガンコミュニテイーの果樹園を作る予定です。
グローバル・ヴィーガン・クラウド・ファンダー（GVCF）とは
ヴィーガンランドムーブメントを支える「グローバル・ヴィーガン・クラウド・ファンダー（GVCF）」は、ヴィーガンが運営するヴィーガンのための非営利団体です。
自然を再び野生に戻すプロジェクトやその他のヴィーガンのための活動資金の提供を支援しています。
プロジェクトのクラウドファンディングを行うほか、世界のヴィーガンのコミュニティーが団結して環境汚染や気候問題、絶滅の危機に瀕している生物の保護などに取り組んでいます。
集めた寄付は、運営費とヴィーガンランドムーブメントの土地の買戻し資金として使われています。
ここまでヴィーガンランドムーブメントについて見てきましたが、そもそも畜産業にはどのような問題があるのでしょうか。
次に畜産業と環境との関係について確認していきましょう。
畜産業が与える環境への影響
畜産で使用されている土地は、環境問題の原因の一つです。
世界の中で氷のない土地の26%は畜産に使用されています。
また、家畜の餌である穀物を栽培するための耕作地は33%です。
このように多くの土地は畜産により使用されており、その結果、森林は破壊され、生物の多様性は失われています。
特にイギリスは、以前は広大な森林がありましたが、現在は国土の71%が農業や酪農に使用されています
2020年の研究によると、自然破壊や気候変動を止めるためには、畜産からの撤退や土地の野生化が不可欠です。
ヴィーガンランドムーブメントは、売りに出されている酪農用の土地のみを購入して畜産業の脱却を進め、環境保全に努めています。
ヴィーガンランドムーブメントの成果と今後
サマセットの例では、すでに多くの野生生物が土地に戻ってきていると言います。
新しい苗木が育ち始めているほか、農家では「害」といわれているイタチが生息するようになりました。
上の写真は、戻ってきた美しい生き物や植物を写したものです。
このプロジェクトは500人ほどの寄付により実現しました。
もし「5千人、5万人という人がいたら、何を救えるでしょうか？」とヴィーガンランドムーブメントは呼びかけています。
現在も複数のプロジェクトが進行中です。
牧草地や放牧地の買い取りに必要な資金の寄付を50ポンド（約8,000円）から募っています。
ヴィーガンによる環境保護運動「ヴィーガンランドムーブメント」に期待
「ヴィーガンランドムーブメント」は、イギリスで始まったヴィーガンによる環境保護活動です。
畜産用の土地を購入して自然に戻し、環境や倫理の問題を解決しています。
資金の調達は、グローバル・ヴィーガン・クラウド・ファンダー（GVCF）がクラウドファンディングにより行っています。
これまで500人ほどが参加し、土地を購入して実際に野生化することに成功。
現在もいくつかのプロジェクトが進行中です。
ヴィーガンによる畜産業脱却の取り組みは、非暴力による平和的な環境問題の解決策として今後もその活動に期待があつまっています。
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