【2022年版】アメリカのヴィーガン・プラントベース市場に関する最新レポート解説

2019年には55億ドルと呼ばれていたアメリカにおけるプラントベース市場ですが、2021年に出た最新データによると70億ドル規模に成長しています。この記事では、アメリカにおけるヴィーガン・プラントベース市場について、最新レポートをもとに解説していきます。

プラントベースミート(植物由来の代替肉)というと、今までは「ヴィーガンの人が買うもの」という特別なイメージでした。
しかし、ここにきてスーパーなどでも当たり前にプラントベースミートがが売られるようになり、多くの人が手に取り始めています。
この記事では、アメリカにおけるヴィーガン・プラントベース市場について、最新レポートをもとに解説していきます。
どのようなプラントベース食材が多くの人に受け入れられているのでしょうか。
巨大市場へと広がっていくアメリカのプラントベース市場
2019年には55億ドルと呼ばれていたアメリカにおけるプラントベース市場ですが、2021年に出た最新データによると70億ドル規模に成長しています。
なんとなく「アメリカというとジャンキーな肉を食べる」というイメージは、もうすでに払拭しつつあるといっても過言ではないかもしれません。
プラントベースアイテムの売り上げは右肩上がり
プラントベース食材の売り上げは、たった2年間で43%も増えたとされています。
一方で、アメリカにおける食材の売り上げ伸び率は全体でみると17%しか伸びていないため、どれだけ植物性のヴィーガン食材が押し上げているかが見受けられます。
ここ2年間での伸びは目を見張るものがありますが、昨今のパンデミックの影響もあり、多くの人が自身の健康管理へ意識を向けるようになったこともあり、ここからも加速していくことが想定されています。
プラントベースアイテムは各家庭にどんどん広がっている
面白いデータが取れています。プラントベースアイテムは、どれくらいの家庭にて買われていると思いますか?
いくら市場が拡大中といっても、一部の人しか買っていないのであれば普及率は限定的になってしまいますよね。
2021年のデータによると、「アメリカの10家庭のうち、6家庭でプラントベース食材を買ったことがある」そうです。
半数以上の家庭にて、何らかのプラントベース食材を買ったことがあるというのは驚きではありませんか。
一番多く普及しているのは「プラントベースミルク」、ついで「プラントベースミート」となっています。
プラントベース食材のリピーターも多数
アメリカにおいて急成長するプラントベース市場ですが、その拡大をサポートしているのが「リピーター」の数です。
プラントベース食材を買う人の78%は、もう一度以上その食材を買っているそうです。リピーター率の高いアイテムは以下の通り。
- プラントベースミルク:75%以上がリピーター
- プラントベースミート:60%以上
- プラントベースチーズ:60%以上
一度買ったけどやっぱり動物性に戻ろう…とはならず、多くの人が「このままプラントベースでいこう」と切り替えを進めているというのは興味深いです。
アメリカにおけるヴィーガンミート市場
有名企業からスタートアップ企業まで、多くの投資が集まって急成長しているのがプラントベースミート市場です。
現時点では14億ドル市場と言われていますが、まだまだ伸びしろはあると期待されています。
2年間で72%増のヴィーガンミート市場
アメリカのヴィーガンミート市場は、2020年に大きな転換期を迎えました。
今までは、ハンバーガーのパティに代表されるような「プラントベースビーフ(牛肉)」が主力でしたが、2020年からはその他の選択肢も増えたことで、多くの人に受けれられるようになりました。
いわゆる加工肉と呼ばれるような、バーガーパティやソーセージだけでなく、ヴィーガンチキンやヴィーガンポークなどの開発も着々と進んでいます。
昨年比で45%、2年前と比較すると70%も増えたヴィーガンミート市場。多くの研究家が携わり、急ピッチの開発が進んでいるエリアとあって、これからも目が離せません。
また、家庭ベースでみると、プラントベースミートを買っているのは、まだ世帯数の18%にとどまっています。
商品の選択肢が増えるに伴って、需要の方も爆発的に増えると想定されています。
人気のプラントベースミートとは?
どんどん急成長しているプラントベースミート市場ですが、どのような食材が人気なのでしょうか。
1番売れているのは、やはり選択肢も増えている加工されたものが多いです。
- バーガーパティー
- ヴィーガンソーセージ
- ナゲット
- カツレツ
一方で、2020年に市場が2倍のサイズへと膨れ上がったのが「プラントベースグラウンドビーフ」。いわゆる加工する前の「ひき肉」のことです。
生産力がついたことと、販売網が広がったことで、今までは「冷凍食品」として販売されることの多かったプラントベースミートが、冷蔵保存ができるようになりました。
これによって、動物性の肉と同じ冷蔵ケースにて、プラントベースミートも並べられるようになったことで、特別感が薄れたことと、多くの人の目に留まりやすくなったといわれています。
スーパーで見かけるアイテムも増え、そして選択肢も増えていくことで、より多くの人にとって「当たり前」な買い物になっていくことでしょう。
アメリカにおけるプラントベースミルク市場
アメリカにおけるプラントベース市場の中でも、植物性ミルクはかなりのウェイトをしめています。
ミルクだけでプラントベース市場の売り上げの1/3を誇るのだから驚きです。
25億ドル規模のプラントベースミルクは、どのように多くの人の日常に溶け込んでいるのでしょうか。
アメリカの4割の家にあるプラントベースミルク
プラントベースミルクはアメリカの家庭の中で、最も受け入れられている植物由来の食材と言っても過言ではありません。
なんと39%の家庭、つまり約4割の家庭においてプラントベースミルクを取り入れているというデータがあります。
それもそのはずです。なぜなら、プラントベース食材の中でも、プラントベースミルクが圧倒的に「スーパーで当たり前に並んでいる」アイテムだから。
他のプラントベースアイテムと比べて、スーパーで置いてある率が高いうえ、動物性ミルクと変わらないほどのラインアップも誇るため、目にも止まりやすくなっています。
人気のプラントベースミルクとは?
以前は常温保管されていたプラントベースミルクですが、よりフレッシュなものを…と「冷蔵保存」タイプのものを販売したことで、急速に広がるようになりました。
そんな植物性ミルクが多くの人に受け入れられているアメリカにおいて人気のものは以下の通りです。
- アーモンドミルク
- オーツ麦ミルク
- ソイミルク
現時点ではこの順番ですが、ここ2年で急速に成長しているのがオーツ麦ミルクです。よりフレッシュで、より美味しい味のミルクになるよう開発が進められています。
アメリカにおけるプラントベース乳製品市場
他のプラントベースアイテムと比べると、まだまだ開発途中と言ったところですが、アイスクリームやバターといった乳製品のプラントベースバージョンも着々と増えています。
プラントベースミルクが普及したことによって、他の乳製品にも目を向ける人が増えているのが現状です。
プラントベース乳製品は着々と拡大中
プラントベースミルクをベースとする、プラントベース乳製品は開発が始まったばかりではありますが、だからこそ多くの競争が生まれていて、各ジャンルでの市場規模は急成長しています。
- アイスクリーム 4.3億ドル(昨年比20%増)
- クリーマー 3.9億ドル(昨年比32%増)
- ヨーグルト 3.4億ドル(昨年比20%増)
- バター 2.7億ドル(昨年比36%増)
- チーズ 2.7億ドル(昨年比42%増)
他のプラントベース食材と比べると、市場規模は限定的ですが、特にアイスクリームやチーズなどでの急成長が見られています。
プラントベースというと「肉」や「魚」のイメージが強かったですが、少しずつ消費者側の乳製品への意識も変わってきているのでしょう。
どのジャンルにおいても、ここ1,2年での開発スピートと売上の伸び率は目を見張るレベルであり、向こう数年の間にもっと大きな市場へと拡大することが想定されています。
参考文献:Good Food Institute公式ホームページ|U.S. retail market data for the plant-based industry
まとめ:ますます拡大するアメリカのプラントベース・ヴィーガン市場
2021年時点で、アメリカにおけるプラントベース市場は70億ドル規模へと急成長しています。
今までは「ベジタリアンの方の食べ物」として、スーパーでも特別コーナーとして設けられていたベジ商品が、今では当たり前のように動物性食材の隣に並ぶようになりました。
特に普及しているプラントベースミルクはもちろん、冷蔵肉コーナーでも動物性と植物性の肉が並ぶようになり、消費者にとって選択肢の一つとして取り入れやすくなりました。
すでに「アメリカの世帯数のうち6/10家庭」がプラントベース食材を買ったことがあるといわれています。
さらに、リピーター率もとても高いとあって、まずは試してみようという家庭が、本格的にリピーターとしてプラントベース食材を買うようになる現象も起きています。
まだ始まったばかりのプラントベース乳製品の開発や、最近話題になりつつあるプラントベースエッグのジャンルも目が離せません。
これからどのような発明が実際に商品となってスーパーに並ぶのか、楽しみです。
一方で、ヨーロッパにおける最新トレンドについては、こちらの記事でご紹介しています。併せてご確認ください。