意外と知られていない?食品ラベルで確認したい、7つの動物由来食品添加物
身近に溢れる食品添加物についての知識が乏しいと、知らず知らずのうちに私たちの健康や環境に害のある物質を摂取してしまっている可能性があります。今回の記事では、動物由来の7つの一般的な食品添加物を紹介し、ヴィーガニズムを実践する方や添加物について知識を深めたい方にぴったりな情報を提供します。
特に、動物由来の食品を避けるヴィーガニズムを実践している方は、買い物の際に食品ラベルをチェックし、ゼラチンや乳糖など、動物由来の食品が含まれていないか注視している方も多いのではないでしょうか。
しかし、食品添加物は想像以上に私たちの身の回りに溢れており、名称も多岐に渡ります。
食品添加物についての知識が乏しいと、知らず知らずのうちに私たちの健康や環境に害のある物質を摂取してしまっているかもしれません。
今回の記事では、動物由来の7つの一般的な食品添加物を紹介し、ヴィーガンの皆さんや食品添加物に関心のある方に向けた情報をわかりやすくご紹介します。
食品添加物とは
ヴィーガニズムを実践している方もそうでない方も、食品添加物についての基本的な知識を理解することは、健康的な食生活を送る上で、とても大切です。
ここでは、食品添加物の定義とその分類について説明します。
食品添加物とは、食品の特性を維持し、品質を向上させるために食品に加えられる物質のこと。
これには、合成物質や天然物質が含まれます。
食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料、増粘剤、酸味料、酸化防止剤、安定剤など、さまざまな種類があります。
特定の食品が長期間保存される場合や、特定の食品の風味や色合いを向上させる必要がある場合、食品添加物が使用されます。
食品添加物の情報源
食品添加物についての情報は、食品業界や規制当局によって提供されており、消費者はこれらの情報から商品を選択することができます。
1. 食品ラベル
食品ラベルには、製品に含まれる食品添加物の情報が記載されています。これにより、消費者は食品にどの成分が含まれているかを確認できます。特に動物由来の成分に警戒し、避けるべき成分を特定するためにラベルをよく確認しましょう。
2. 食品規制当局
多くの国には、食品に使用できる食品添加物の種類や量を規制する機関が存在します。これらの規制当局は、食品添加物の安全性と規制に関する情報を提供します。消費者は、各国の規制当局のウェブサイトから情報を入手できます。
3. ヴィーガン協会などの組織、団体
ヴィーガン協会や関連するヴィーガン団体は、ヴィーガンの生活に関する情報を提供し、ヴィーガンフレンドリーな食品や食品添加物に関するリソースを提供しています。
ヴィーガンの生活に関心がある場合は、これらの組織に連絡を取ることで、必要な情報を収集することもできるでしょう。
4. 食品業界のウェブサイト
食品業界の団体や会社は、製品に含まれる食品添加物に関する情報を提供することがあります。
これらのウェブサイトを訪れることで、食品の成分についての詳細情報を入手できます。
5. 科学的な研究論文
食品添加物に関する科学的な研究論文や記事も多数存在します。
これらの文献は、食品添加物の安全性や効果に関する詳細な情報を提供しています。
研究論文を読むことで、より科学的な根拠に基づいた専門的な知識を得ることができます。
ハッピーキヌアでは、科学的な研究論文をわかりやすく解説した記事も多く発信していますので、ぜひご参考にしてください。
ヴィーガン代替肉が動物由来の食肉より優れている理由を科学的根拠を基に徹底解説
食品添加物の数とカテゴリー
2022年10月時点では、日本の食品添加物の数は831品目(香料を含む)もあると言われています。
食品添加物は、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。
1. 香料・・・香りや味を改善するために使用され、天然および合成の香料が含まれます。
代表的な天然香料:
- バニラエキス: バニラビーンズから抽出される自然の香りで、バニラ風味の多くの製品に使用されます。
- レモンエッセンシャルオイル: レモンの皮から抽出される天然のエッセンシャルオイルで、さわやかなシトラス風味を提供します。
代表的な合成香料:
- バニリン: バニラ風味を模倣するために合成された化学物質で、多くの食品製品に使用されます。(合成バニリン)
- シトラル: シトラス系フルーツの香りを模倣するために合成された香料で、柑橘系の食品や香水に使用されます。
2. 酵素製剤・・・食品の製造プロセスを助けるために使用され、生化学的反応を促進します。
- アミラーゼ(デンプンの分解を助ける酵素)
- ペクチナーゼ(果物のペクチン分解を助ける酵素)
- プロテアーゼ(タンパク質の分解を助ける酵素)
- リパーゼ(脂肪の分解を助ける酵素)
3. その他の添加物・・・甘味料、着色料、増粘剤、酸味料、安定剤などが含まれます。
- サッカリン(甘味料)
- レッド40(合成着色料)
- キサンタンガム(増粘剤)
- クエン酸(酸味料)
- グアーガム(安定剤)
様々な添加物についてご紹介しましたが、ヴィーガンの食生活において、特に注意が必要なのは動物由来の添加物です。
次に、意外と見落としがちな、7つの動物由来食品添加物について詳しく説明します。
動物由来の食品添加物とは?
ヴィーガンのライフスタイルを実践するためには、食品ラベルを詳細にチェックし、動物由来の成分を避ける必要があります。以下に、ヴィーガンの食品添加物に関する情報を提供します。
1. コチニール E120 ・・・ 昆虫由来の食品色素
コチニール(E120)は、昆虫由来の食品色素です。主にコチニールカイガラムシという昆虫から抽出され、食品や化粧品の色付けに使用されます。
この食品添加物は非ヴィーガンであり、その製造過程が倫理的な懸念を引き起こします。コチニール製造には、多くの昆虫が犠牲になります。
コチニールの主な用途は食品や化粧品の着色料としての役割です。
食品において、コチニールは赤やピンクの色合いを実現するために広く使用されており、化粧品においては、口紅やチークなどの製品に赤色を付けるために使われます。
この食品添加物を避けるためには、食品ラベルをよく確認することが重要です。
カルミンやコチニールと表示されている場合には、十分に注意をしてください。
2. シェラック E904 ・・・ラックカイガラムシからの食品コーティング
シェラック(E904)は、ラックカイガラムシの雌の分泌物から作られる食品添加物。
主にコーティング剤や釉薬として使用され、ジェリービーンズなどのお菓子に光沢を与える役割を果たします。
また、果物の湿気を防いだり光沢を与えたりするためにも、シェラックや蜜蝋がコーティング剤として用いられていることもあります。
食品工業において食品の外観や風味を向上させるために広く使用されるシェラック。
しかしながら、その製造には大量の虫が犠牲になることから、ヴィーガンの食事から避けるべきであると考えられています。
3. 蜜蝋 E901 ・・・ミツバチからの天然添加物
蜜蝋(E901)はミツバチから採取される食品添加物の一つ。
通常、ミツバチは巣を作るために巣の固化剤として天然のワックスを生産します。
この蜜蝋は、一般的に食品産業においてキャンディーやチョコレートの光沢剤、食品のコーティング剤として使用されます。
また近年では、人体にやさしい天然素材のコスメや蜜蝋ラップなどのキッチン用品として注目を集めています。
ただし、蜜蝋の生産にはミツバチによる蜜の生産が必要であり、多くの場合、大量の蜜が消費されます。
ProVeg Internationalによると、働き蜂1匹が1キログラムの蜜蝋を生産するために、10キログラムの蜂蜜を消費しなければならないとの推測もあります。
ヴィーガンの立場からは、これがミツバチにとっても環境にとっても過酷な状況であることは一目瞭然です。
また、2006年秋頃から、日本を含む世界中でミツバチが大量失踪する蜂群崩壊症候群が起こっています。
これについては以下の記事で記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
アンジェリーナ・ジョリーが蜂まみれに?彼女の人権問題への取り組みを解説
上記の背景から、ヴィーガンの方々は食品ラベルを確認し、蜜蝋(E901)を含む製品を避けるべきと言えます。
4. ラクチトール 1E966 ・・・ 乳糖から作られる甘味料
ラクチトール(1E966)は、乳糖から作られる糖アルコールの一種。
この特別な食品添加物は低カロリー甘味料として広く使用されていますが、その製造過程には酪農産業との関連があります。
このラクチトールは、砂糖に匹敵する甘味料として加工食品や飲料に広く使用されています。
カロリーゼロ・糖類ゼロを謳う製品などに含まれていることも多く、注意が必要です。
製品の成分表を確認し、乳糖やラクチトールと記載された食品を避けることが望ましいでしょう。
5. 食用骨リン酸塩 E542 ・・・ 動物の骨からの添加物
食用骨リン酸塩(E542)は、主に動物の骨から採取される食品添加物。
この添加物は、粒子がくっつくのを防ぐ固結防止剤として乾燥食品に使用され、さらに美容製品や歯磨き粉、栄養補助食品にも含まれています。
食用骨リン酸塩の製造過程において、多くの動物の骨が使用されます。
骨由来の食品添加物を使用することは、動物由来の原材料が食品や製品に含まれていることを示唆しています。食用骨リン酸塩を含む食品や製品を選ぶ際には、ラベルや成分表を確認し、ヴィーガンフレンドリーかどうか見極める必要があります。
6. ラノリン E913 ・・・ 羊の毛からの添加物
ラノリン(E913)は、羊の毛から得られる添加物で、食品業界では柔軟剤として使用されることがあります。
また、化粧品やスキンケア製品のエモリエント(皮膚軟化)剤としてもよく使用されています。
ラノリンは無害のように聞こえるかもしれませんが、その製造過程には羊毛産業と食肉産業の副産物が深く関与しているため、ラノリンを含む製品は避けるべきでしょう。
7. リゾチーム E1105 ・・・ 鶏卵由来の保存料
リゾチーム(E1105)は、食品の保存料として使用され、微生物による腐敗を防ぐ役割を果たします。
しかし、多くの場合、リゾチームは鶏卵から抽出されるため、ヴィーガン向けの選択肢ではありません。
アメリカやイギリスなどの多くの国々で鶏肉産業は工場で鶏を飼育し、工業化された劣悪かつ窮屈な環境で鶏が飼われています。
鶏がほとんど動けない状態で飼育されていることが多いという報告もあります。
卵を食べる訳ではなくても、このような鶏肉産業から得られる鶏卵由来の添加物は、ヴィーガンの食事やライフスタイルから避けるべきでしょう。
動物由来の食品添加物を避けるには?
食品添加物の中には動物由来のものが含まれることがあり、ヴィーガンの方々にとっては避けるべき成分であることをご紹介しました。
では、具体的にこのような添加物を避けるにはどうすれば良いのか、注意点をまとめます。
1. ラベルをよく確認する
食品ラベルを詳細にチェックし、動物由来の食品添加物を含むかどうかを確認します。特にカルミン、コチニール、シェラック、蜜蝋、ラクチトール、食用骨リン酸塩、ラノリン、リゾチームなどの成分に警戒します。
2. ヴィーガン認証を探す
買い物の際に見かけたことのある方も多いと思いますが、製品にはヴィーガン認証のラベルがある場合があります。
これらの製品はヴィーガンフレンドリーであり、動物由来の成分が含まれていないことを示します。
ヴィーガン認証を持つ製品を選ぶことで、安心して食事を楽しむことができます。
ヴィーガン認証については、下記の記事でも詳しくご紹介しています。
3. 代替品を探す
動物由来の食品添加物を含む製品を避けるため、プラントベースの代替品を探します。
市場にはヴィーガンフレンドリーな代替品が豊富にあり、食事を多様化させることができます。
ハッピーキヌアではヴィーガニズムに興味のある方や実践している方に役立つ情報や、ヴィーガン対応のコスメや食品についても発信しています。
ぜひ、下記のおすすめ記事もご覧ください。
4. ヴィーガンコミュニティと連絡を取る
ヴィーガンのコミュニティや団体に参加し、他のヴィーガンから情報やアドバイスを受けることが役立つ場合があります。
経験豊富なヴィーガンからのサポートや情報提供は、日々の選択においてきっと助けになるでしょう。
以下のサイトでは様々なヴィーガンコミュニティの一覧を見ることができるので、ぜひご参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:注意すべき7つの動物由来食品添加物
本記事では、ヴィーガンの食事において注意すべき7つの動物由来食品添加物について詳しく説明しました。
添加物は一般的に食品の外観、味、保存性などを向上させるために使用されますが、その製造には動物由来の成分が関与していることも多くあります。
食品添加物に関する情報は、ヴィーガンの方々を含む、人の健やかで明るいライフスタイルやをサポートし、消費者が食品選択をする上で非常に役立つものです。
また、適切な知識を持つことが健康的で倫理的な食生活を実践する鍵と言えるでしょう。
食品ラベルの確認、ヴィーガン認証の活用、代替品の選択など、ヴィーガンの方々はこれらの手法を駆使して、ヴィーガンフレンドリーな選択肢を見つけることを楽しんでみてはいかがでしょうか。