捨てられる食器をサステナブルな肥料にアップサイクル、BONEARTHをご紹介
植物や農作物の成長促進に使われる肥料。その原材料に、廃棄予定の食器を活用した「BONEARTH(ボナース)」という肥料をご存知でしょうか?この記事では、BONEARTHの効果や特徴、開発元企業の取り組みについて解説します。
植物の成長に必要な栄養素であり、肥料の3要素のひとつでもあるのが「リン酸」です。
リン酸がボーンチャイナという磁器素材に多く含まれることに着目し、肥料にアップサイクルする取り組みが始まっています。
そこでこの記事では、廃棄予定のボーンチャイナから生まれるサステナブルな肥料について紹介します。
目次
「BONEARTH(ボナース)」とは
廃棄される食器が肥料に
「BONEARTH(ボナース)」とは、陶磁器メーカーのニッコー株式会社が開発したリサイクル肥料のこと。
実は、廃棄されるボーンチャイナ製の陶磁器を肥料にアップサイクルしているんです。
ニッコー株式会社の洋食器「NIKKO FINE BONE CHINA」は、原料の一部に牛の骨灰を使用しており、リン酸三カルシウムという成分を約50%含んでいます。
このリン酸三カルシウムが植物の成長を促すといわれることから、肥料の材料として再利用されるに至りました。
BONEARTHの活用によって、資源枯渇や環境への負荷といった問題に取り組みながら、肥料のサステナブルな生産体制を目指せます。
また、農作物の生産者と消費者の間にサーキュラーエコノミーを築く役割も期待できるでしょう。
BONEARTHの効果
機能性
BONEARTHの効果のひとつは、肥料としての機能性です。
ニッコー株式会社は石川県立大学との共同実験でBONEARTHの肥料効果を検証し、農林水産省から認可を得ました。
また、BONEARTHを過剰に与えてしまっても植物の成長を妨げるリスクは低く、長期的に養分を吸収できます。
国産の陶器が原材料なので、安心して利用できるところも注目ポイントですね。
サステナビリティ
肥料に必要なリン酸の多くは海外から輸入されていますが、輸入価格の高騰に伴い、国内の肥料まで値上がりしています。
そこで、国産のボーンチャイナをリン酸肥料にアップサイクルすることで、国内でも品質と価格の安定した肥料を供給できるでしょう。
また、リン酸の輸送や、ボーンチャイナの廃棄処理によって発生する二酸化炭素排出量の削減も可能です。
さらに、水に溶けにくい性質のため、従来の肥料と比べて自然環境への流出も抑えられます。
BONEARTHは、人間と地球の双方に配慮した肥料なんです。
デザイン性
このような実用性はもちろん、BONEARTHのデザイン性も見逃せません。
肥料本体の白色はボーンチャイナの陶磁器に由来しており、園芸用品の化粧砂にぴったり。
ご家庭でガーデニングを楽しみたい方にもおすすめです。
BONEARTHの特徴・使い方
BONEARTHは高温で焼成されるため臭わず、長期保存が可能です。
また、水に溶けにくいことから環境負荷を軽減できるだけでなく、肥料効果も維持しやすくなっています。
BONEARTHの使い方は、主に2通り。
土に混ぜて肥料とし、植物や作物の成長を促します。
また、鉢植え植物の表面に敷き詰めれば、見た目の美しい化粧砂として活用できますよ。
サーキュラーエコノミーを目指して
BONEARTHの展開
ニッコー株式会社は、BONEARTHの製造販売を通してサーキュラーエコノミーの形成に取り組んでいます。
第一段階では、自社工場で生産される食器のうち、規格外となったものをBONEARTHの原材料に活用。
第二段階で、ホテル・レストランから使用済みの自社食器を回収するようにします。
そして第三段階では、他社製品を含めて幅広く食器を回収し、さまざまなアップサイクル商品の開発を目指します。
食器を作るメーカーと使用する飲食業界、さらには食べ物の生産者。
BONEARTHは、食に関わるさまざまな立場を結びつけ、循環させるカギとなるでしょう。
SDGsへの取り組み
ニッコー株式会社では、BONEARTHの開発以外にもサステナブルな取り組みを実践しています。
生活に密着した事業分野だからこそ、SDGsの達成は重要な課題です。
自社内に留まらないニッコー株式会社の活動に、消費者側からも協力していきたいですね。
ニッコー株式会社のSDGsへの取り組みを詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
また、日本企業のサステナブルな取り組みについては、下記の記事でも紹介しています。
半永久的な植物発電「エヌエナジー」、地球にやさしい発電技術が未来を変える
お洒落なリターナブル容器で楽しむ循環型ショッピング、イオンで導入されている買い物システム「Loop」とは
まとめ
本来廃棄されるはずのボーンチャイナ製食器をリン酸肥料にアップサイクルした「BONEARTH」。
肥料としての機能に加えて、環境にやさしい仕様も魅力のひとつです。
今後、BONEARTHが広く利用されることで、日本社会にサステナブルな消費サイクルを築けるのではないでしょうか。
企業公式ホームページ:ニッコー株式会社
(参考サイト:BONEARTH(ボナース):捨てられる食器からリサイクルされる肥料 | 知財図鑑
bonearth – table source – 飲食店・ホテルのサステナビリティ支援メディア)