世界初、フッ素樹脂を使わないフライパン「グリーンパン」とは?ベルギー生まれの健康と環境にやさしい調理器具をご紹介
せっかく新鮮な有機野菜を買っても、人体や環境に害をもたらす有害物質を使用して作られている調理器具で調理してはせっかくの野菜を台無しに。有害物質を一切使用せずに作られている調理器具グリーンパンを紹介します。
なかでも、油の量を控えめに料理ができ、焦げ付きにくく、しかも、簡単に洗えるノンスティックパンは一度使うと手放せません。
しかし、ノンスティック調理器具には、体や環境に有害な、フッ素樹脂や他の化学物質を使用して製造されているので、使用するのをためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、ベルギーで開発された、GreenPan(グリーンパン)をご紹介します。
このフライパンは、有害な化学物質を使用せずに作られている、グリーンな調理器具です。
ヨーロッパ発、欧米で人気の、お米もふっくら炊けるグリーンパンの魅力を紹介します。
環境に優しいグリーンパンとは
欧米で人気のグリーンパンは、2007年に設立された、ベルギーの環境に優しい調理器具ブランド。
Jan Helskens(ヤン・ヘルスケンス)とWim De Veirman(ウィム・デ・ヴァーマン)、幼馴染の二人によって開発されました。
彼らは、従来のノンスティックノンスティック加工のフライパンが、いかに有毒であるかを知ったとき、フッ素樹脂や他の有毒化学物質を使わない、調理器具の開発を目指したと語っています。
今では、ベルギーに本社を置き、ニューヨーク、香港、オランダ、ドイツ、英国にオフィスを構えるほどの大企業に成長。
日本にはまだ数種類の調理器具しか手に入りませんが、欧米では、料理に必要な調理器具一般を販売しています。
グリーンパンは、すべての人にとって、料理をより良くヘルシーにするために設計された、最先端の製品を作り続けています。
ノンスティック加工に使われる化学物質
ノンスティック加工に使われる化学物質で、よく使われる名前がフッ素樹脂。
フッ素樹脂は、フッ素樹脂原子を含んでいるプラスティック原料の総称です。
フッ素樹脂には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)など、9種類があります。
よく知られているケマーズ社が製造するテフロン加工商品テフロンも、フッ素樹脂の一つとなります。
非粘着性で最もよく知られているPTFEは、疎水性で湿潤性がなく、高密度で高温に強い特性があり、PFAは、熱、油、そして水に耐性があります。
これらの安定した特性のため、フッ素樹脂はさまざまな業界で使用されているのです。
しかしフッ素樹脂は、高熱で加熱されると有毒ガスを放出する危険性が、指摘されています。
フッ素樹脂は、私たちの環境や体内に、非常に永く残留する永遠の化学物質と呼ばれており、肝臓の損傷、甲状腺疾患、生殖能力の問題、癌などの健康上の問題につながる可能性が。
もちろん私たちの体内だけではなく、環境に放出されたフッ素樹脂も同様に分解されることなく、自然界に永く残留され生態系に影響を与えています。
セラミックコーティングサーモロンとは?
フッ素樹脂を過熱すると、有毒物質を放出さすることがまだ公にされていない時から、ヤンとウィムはフッ素樹脂に変わる、人体や環境に安全な新たなコーティングを探し始めました。
彼らは、防煙素材として使われるようになったセラミック塗膜は、高熱に強く有害物質が出ない事を知り、これをなんとかキッチンウェアに加工できないかと、実験が繰り返します。
品質、人体や環境への安全性の検証と保証、適切な加工施設の構築と実際の導入に至るまで、開発にはさらなる時間がかかりました。
そして2007年、有害なPFASを一切含まない、耐熱温度は450度と非常に高い、砂由来と同じ原料からなるセラミック・ノンスティックコーティングThermolon™(サーモロン)の開発に成功しました。
これは、1958年からずっとフッ素樹脂に偏っていた、業界の価値基準を根底から覆すほど革新的な発表でした。
サーモロンは、コーティングする際、界面活性剤不使用の溶液を使用し、他の化学物質である接着剤や溶剤を使用する必要がありません。
しかも、PTFE加工の製造時と比較した場合、サーモロン加工の製造時はCO2排出量をおよそ60%削減でき、製造の際にも環境に優しい新しいノンスティックコーティングです。