ペットボトルでできたレゴ?レゴ社もリサイクル素材使用へ
再生プラスチック製レゴや、まだ解決していない問題点、これまでの新素材開発について詳しく解説していきます。
1949年にプラスチック製になったレゴは、年間約10万トン以上のプラスチック使用して製造されています。
SDGsが採択された2015年以降、レゴグループは、地球や未来の子供たちのために、すべてのレゴ製品を持続可能な素材へ置き換えることに挑戦しています。
そしてレゴグループは2021年、目標の達成へと大きく前進する「再生プラスチック製レゴ」を発表しました。
今回は、再生プラスチック製レゴはどういったものなのかや、まだ解決していない問題点、これまでの新素材開発について詳しく解説していきます。
レゴグループのサステナブルへの取り組み
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レゴは、世界中で約750億個製造され、その80%が石油を原料としています。プラスチックにするその使用量は10万トンと膨大なものです。
プラスチックでの製造は、石油資源枯渇や、炭素の排出、海へ流出による生態系の悪影響など、多くの問題が懸念されます。
これらの問題を回避すべく、2015年よりレゴグループは、「脱石油素材」への取り組みを開始しました。
使用済みペットボトル由来のレゴ
再生プラスチック製レゴは、使用済みペットボトルを原料とした「リサイクルプラスチック」を利用しています。
リサイクル原料を使用することにより石油の使用が減少し、資源の節約や製造による二酸化炭素の排出を抑えることが可能です。
なお、再生プラスチック製レゴは、1リットルのペットボトルをリサイクルするごとに10個分のブロックが作られるとのこと。
前述の通り、1年間で製造されるレゴの個数は750億個程度です。
世界中で廃棄されるペットボトルは5000億本超と言われていますから、その一部でもリサイクルに回せば、すべてのレゴブロック製造をまかなえることになります。
再生プラスチック製レゴの課題
その一方で、再生プラスチック製レゴには、技術的な課題が存在します。具体的には以下の通りです。
- 色の種類
- 形状加工
- 強度
- 長期的な生産
再生プラスチック製レゴはまだ日が浅い技術なために、これまでの「ABS樹脂製レゴ」同様の扱いができません。
そもそもABS樹脂製のレゴブロックは50年以上かけ、課題解決をしてきたものです。
一方で再生プラスチック製レゴはまだまだ開発初期段階であるため、これまでのレゴのようにいかない部分が多くあります。
たとえば色です。
レゴといえば、色鮮やかさが特徴です。レゴブロックやパーツには一つ一つに色の名前が存在し、100種類近く存在するほど多様です。
再生プラスチック製レゴは、鮮やかな発色を表現するのはまだまだ難しいとのことです。
加えて、形状加工のしやすさや強度も、ABS樹脂製レゴのようなものではありません。
一般的に、再生プラスチックは、従来のプラスチックよりも機械的強度は落ちるとされています。
耐久度が低くなるため、加工ができなかったり、強度のいる部品に使えなかったりするようです。
さらに、上記のような理由のため品質が安定せず、鋳造型での長期的な生産にも課題があります。