ペットボトルでできたレゴ?レゴ社もリサイクル素材使用へ
再生プラスチック製レゴや、まだ解決していない問題点、これまでの新素材開発について詳しく解説していきます。
これまで開発された素材
SDGsの採択以降、サステナブル素材への転換をはじめたレゴは、2015年に「Sustainable Materials Center(サステナブル素材センター)」を設立しました。
100人以上の従業員が、2030年までの100%サステナブル素材で製造することを目指し、続々と素材を開発しています。
植物由来のブロック・パーツ
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設立されてから2年強が経過した2018年3月、レゴグループは、最初のサステナブル素材となる「植物由来のレゴパーツ」を発表します。
植物由来のレゴの素材は、サトウキビから作られるバイオポリエチレン。
製造時に石油を使用しないため、カーボンフリーでサステナブルなレゴです。
ただし、利用されるのは、「茂みや木」「洗車ブラシ」「ドラゴンの翼」「フィギュア」など、柔らかいことが特徴のパーツに限られています。
植物性由来の玩具パーツは、基本的にかなり柔らかく、強度のある部品にはほとんど使えないためです。
植物由来のプラスチックの利用は全体の数パーセント程度にとどまっています。
すべての包装材を持続可能な素材へ
レゴグループは2020年、「2025年までを目途に、すべての包装材をサステナブルな素材にする」という目標を発表しました。
具体的には、これまでのビニール袋といった包装材を、持続的でリサイクル可能な紙袋へ置き換えていくとしています。
現在1年ほど経過した2021年ですが、開発はかなり順調とのことです。
レゴグループのCEOであるクリスチャンセンは、「残すは自社工場の調整のみで、2025年までの”脱石油梱包材”に間に合う」と語っています。
期限まで既に10年を切っている
すべてのパーツを持続可能な素材に変えると掲げた期限である2030年まで、残された時間は既に10年を切っています。
包装材に関してはサステナブル素材に置き換わる見通しがありますが、レゴパーツのサステナブル素材化は前途多難です。
ABS樹脂製ブロックの持つ特性を兼ね備えた、再生プラスチック製素材を完成させなければならないためです。
発色や透明さといったデザインはもちろんのこと、子供が使うものなので耐久性や安全性も高いハードルになります。
子供の不規則な行動にも耐えうる長期的な頑強性が必要ですし、万が一破損したとしても鋭利になってケガしないような安全性もなければなりません。
そのほか、高温や低温への耐性や、化学物質などを含まないことの確認も必要です。
まとめ
2021年にレゴグループは、使用済みペットボトルから作られる「再生プラスチック製レゴ」を発表しました。
石油由来である従来のABS樹脂製レゴから置き換わることで、資源の利用や炭素排出の削減が期待されます。
また、大量生産可能な再生プラスチックの登場により、レゴグループの掲げる「2030年までにすべての素材を再生可能なものに変える」という目標へ大きく前進しました。
その一方で、強度や安全性、デザインなどまだまだサステナブル素材化の実現には程遠い部分も多くあり、より研究・開発の必要があるでしょう。