サステナブルな生分解性繊維、リヨセルについて徹底解説
サステナブルな素材として注目される「リヨセル繊維」について、徹底解説。その特徴や製造工程、企業のエシカルな取り組みに加えて、「リヨセル繊維」を採用している有名ブランドもご紹介します。
テンセルとは?
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リヨセル繊維を使用した製品の商品タグには、再生繊維(リヨセル)・再生繊維(テンセル)と表示されることが多いです。
また、公式サイトなどには「テンセル™リヨセル繊維」と表記されますが、この「テンセル」とは何かが明確ではないため、以下にご説明します。
テンセルは、衣料品、および家庭向けテキスタイル製品用の繊維であり、レンチンググループの特殊テキスタイルブランドです。
同製品ブランドのポートフォリオは、サステナビリティ、機能上の利点、自然な快適さにおいて新しい進化のステップを定義し、独特な日常使用や用途に対応しています。
テンセル™ブランドには、テンセル™アクティブ、 テンセル™デニム、テンセル™ホーム、テンセル™インティメイト、テンセル™リュクス、テンセル™ フットウェアが含まれます。
つまり、「テンセル」と「リヨセル」は同じ繊維となります。
このように、少々紛らわしい事になっているのには、以下のような歴史がありますので、ご紹介します。
リヨセルとテンセルの歴史
リヨセルの製法は、1972年にノースカロライナ州エンカにあった、米国エンカ社の繊維工場で開発されました。
2003年、この開発は米国繊維化学者・色彩学者協会(AATCC)からヘンリー・E・ミルソン発明賞を授与されています。
エンカ社ではこの繊維の運用名をNewcell(ニューセル)とし、*パイロットプラント規模まで開発を進めた後、作業を中止しました。
*パイロットプラン・・・工場における装置などの実稼働を達成するため、試験室的段階と実用の段階との中間の位置づけとなる施設のこと。
この繊維は、1980年代にイギリスのコベントリーにあるCourtaulds(コートールズ)ファイバーズとイギリスのグリムスビーにあるパイロットプラントでテンセル(Tencel™)としてさらに開発されました。
1998年、コートールズは Akzo Nobel(アクゾノーベル)に買収され、 アクゾノーベルはテンセル部門と他の繊維部門をアコーディスの旗の下に統合しましたが、その後、プライベートエクイティ(CVCパートナーズ)に売却しました。
2000年、CVCはテンセル部門をLenzing(レンチング)に売却し、同社の「Lenzing Lyocell」ビジネスに統合しましたが、ブランド名はテンセルのままで引き継がれています。
(出典:wikipedia「Lyocell History」)
つまり、テンセルはイギリスのコートルズ社が持っていた商標、リヨセルはオーストリアのレンチング社が持っていた商標であり、ビジネスの統合を経て、レンチング社が、同じ素材に対して2つの商標を持ったということになります。
そのため、商標として使用する際は、「テンセル」とし、総称としては、「リヨセル」を使用するようになっているようです。
レンチンググループについて
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レンチング社(本社:オーストラリア)は、1892年に誕生し、今では世界各地に工場や支店を展開する「レンチンググループ」と呼ばれ、環境に優しいエコロジーな生地や製品を数多く生み出し続けるエシカルな企業です。
「テンセル™リヨセル繊維」の特徴である、生分解性や植物原料由来を挙げ、SDGsに適応したサステイナブルな繊維素材である事を積極的に打ち出してもいます。
同社の繊維素材は、エレガントな婦人服からデニム、高性能スポーツ衣料まで、様々なテキスタイルに使用され、その高品質さと生分解性の特徴から、衛生用品や農業用製品にも応用されています。
その活用幅の広がりから、世界中で注目されている企業です。
(出典:レンチング プレスリリース「レンチンググループについて 」)
「エシカル」・「SDGs」に関しての記事も参考にしてください。
公式サイトはこちら:テンセル Japan
先にお伝えした通り、リヨセル(Lyocell)とは、生分解性のある再生セルロース繊維のことです。
しかし、「生分解性」と言われてもピンとこない方もいらっしゃると思いますので、この「生分解性」などについて次にご紹介します。