血液や臓器にも…?私たちの身体の中にも既に入り込んでいる「マイクロプラスチック問題」を徹底解説
分解まで長い歳月を要し、生き物や環境に影響を与え続けるマイクロプラスチック。最近行われた研究では、人体の血液中に入り込んでいることが判明しました。マイクロプラスチックが引き起こす問題を、徹底解説いたします。
目次
マイクロプラスチックによる人体への影響
人の体内に入り込んだマイクロプラスチックが、どのような影響を及ぼすかについて、詳しいことはまだ解明されていません。
しかし、マイクロプラスチックは、環境ホルモンなどの有害物質を吸着する性質を持っています。
環境ホルモンとは化学物質の一種で、生体のホルモンの働きをかく乱させてしまう物質の総称です。
環境ホルモンを含む汚染物質が付着したマイクロプラスチックが体内に入りこむことで、甲状腺や生殖機能に影響を与えると考えられています。
環境省の「環境ホルモンの諸問題」では、女性の子宮内膜症や生殖器がん、男性の場合には精子数の減少、子どものアトピーや喘息の発症リスクが高まることも指摘されています。
さらに、免疫系にも影響を及ぼすとされており、環境ホルモンによってビタミンや代謝に必要な成分が減り、免疫力の低下を引き起こすことが懸念されます。
マイクロプラスチックが引き起こす問題
微小な5㎜以下のマイクロプラスチックは、さまざまな環境問題の引き金となっています。
化粧品や歯磨き粉のスクラブや食塩まで、身の回りにあふれるマイクロプラスチックが引き起こす環境問題とは一体どのようなものなのでしょうか。
海洋生物の生態系を破壊する
マイクロプラスチック問題の筆頭とされているのが、海洋生物の生態系の破壊です。
魚貝や海鳥などの海洋生物がエサと間違えてマイクロプラスチックを誤飲してしまうと、消化できずにお腹に蓄積され、やがて死んでしまうことがあります。
また、魚のエサとなって取り込まれたマイクロプラスチックは、食物連鎖の上位になるほど大きな影響を受けるため、魚を人間が食べることでも、体内にマイクロプラスチックが取り込まれます。
このように、マイクロプラスチックは、食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積されていくのです。
現在、世界の海にはマイクロプラスチックゴミがあふれ、2060年には今の4倍もの量になると予測されています。
このままいけば、2050年に海に流出するマイクロプラスチックの量が、魚の総重量を超えることになるでしょう。
大気中を漂い環境を汚染させる
海や陸に廃棄されたプラスチックゴミの多くは、波や紫外線により細かく砕かれ、微小なマイクロプラスチックとなって、風に乗り運ばれていきます。
近年の研究では、南極の新雪の中やピレネー山脈の頂上など、地球上のありとあらゆる場所で、大気中を浮遊するマイクロプラスチックが見つかっています。
さらに、マイクロプラスチックは、車のタイヤの摩耗から大気に舞い上がることも判明しています。
そして、大気中に含まれたマイクロプラスチックは、気流に乗って長い間、世界をめぐり続けるのです。
マイクロプラスチック削減のためにできること
マイクロプラスチック問題を解決するために一番大切なことは、原因となるプラスチックゴミの排出量を減らすことです。
プラスチック製のストローや使い捨て容器は可能な限り使わない、レジ袋の代わりにマイバッグを持参するなど、少しでもプラスチックゴミの量を減らすことが重要になります。
3R(リデュース・リユース・リサイクル)を徹底することで、プラスチックを元から減らすことが可能になります。
循環型の社会をつくることで、持続可能な未来の地球の実現につながっていくことでしょう。
まとめ
環境ホルモンなどの有害物質を吸着させる特性から「汚染物質の運び屋」ともよばれる微小なマイクロプラスチックは、すでに地球上にあふれています。
マイクロプラスチックの原因となるプラスチックゴミは、焼却処分をしない限り自然分解されないため、長期間にわたり地球上を漂流し続けます。
マイクロプラスチックの人体への影響については、まだ研究の途中ではありますが、体内に吸収されてしまった場合、肺の組織に影響を与える可能性も示唆されています。
持続可能な未来の地球のためにも、マイクロプラスチックの原因となるプラスチックゴミを少しでも減らすことが大切なのです。
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