【オランダ】ハーレム市が世界初となる食肉の公共広告の全面禁止を決定
オランダのハーレム市では、地球への影響を考慮して、食肉製品の公共広告をすべて禁止することを決定しました。その概要についてお伝えします。
この合意は世界で初めてとなり、歴史的にも重要な出来事です。
人口15万人ほどのハーレム市は、アムステルダムから西に約20マイルの場所に位置し、食肉生産と気候危機の関連性からこの決定を下しました。
今後、バス、シェルター、スクリーンなど公共スペースでの食肉広告が禁止される予定です。
食肉製品は、すでに禁止されている飛行機、ガソリン車、化石燃料産業などの広告に加わることになります。
アムステルダム、ライデン、ハーグでも同様に禁止されますが、中でもハーレムはこのリストに肉を加える最初の都市として注目を集めています。
畜産業を取り締まるオランダ
同国における畜産業に対する公式な姿勢は、これが初めてではありません。
この合意に関しては、食肉業界からも反発がありました。
2022年7月、政府が窒素排出対策として家畜の群れを減らす計画を発表した後、オランダ中の畜産業者が多くの抗議活動を行いました。
オランダの業界団体の広報担当者は、「何がベストかを人々に伝えるには行き過ぎである」と懸念を表しました。
一部の畜産業従事者たちはトラクターで街中を走り回り、道路を封鎖しました。
過激な抗議行動は殺人未遂までに発展し、3人が逮捕されるという結果になりました。
ですが、ハーレム市の議会は先週、この決定を公式に発表し、新しい法律は2024年に施行されることになりました。
畜産業が環境に与える影響
畜産は環境を破滅させる大きな要因です。
世界の温室効果ガス排出量の少なくとも14.5パーセントを占めており、これは運輸部門全体の排出量を合わせたよりも多いことが指摘され続けています。
また、熱帯雨林の破壊の主な原因であり、畜産業はアマゾンの森林破壊の約91パーセントに寄与していると考えられます。
そのような背景をきっかけとして、近年では地球の未来のために、肉食からのシフトを推奨する研究が増えています。
例えば、2018年のオックスフォード大学の研究では、欧米諸国が気候破壊を避けるためには、牛肉の消費量を約90%減らす必要があると示唆されています。
また、2022年4月に発表された別の研究では、豊かな国々では肉の消費量を全体として75パーセント減らす必要があるとされています。
広告の影響力
過去に行われてきた広告に関する様々な研究では、広告が購買に及ぼす影響の大きさが証明されています。
広告は、無意識のうちにも私たちの日常生活の中に入り込んでおり、人々の潜在意識や購買意欲に繋がっている性質を持っており、世界のビジネスにおいても大きな市場で取引がされています。
その広告に関するルールを作成して統制していくことは、簡単なことではありません。
しかし、オランダの都市が世界でも初めてとなる食肉製品の広告の禁止を行うということは、環境問題への危機意識の高さを証明しているとも見てとることできます。
今回の動きのように、欧米諸国が環境問題への本質的な取り組みを続々と始める中、日本をはじめとするアジアの先進諸国ではどのような対応がとられていくのでしょうか。
ハッピーキヌア では、今後も国内外の最新動向をお伝えしていきます。
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