SDGsとヴィーガンの関係とは?環境問題の観点から、わかりやすく解説
私たち人類が地球を守りながら、豊かに暮らし続けていくために掲げられたSDGs。実はヴィーガンはSDGs達成に貢献することができます。今回は特にヴィーガンと関わりの深い環境問題の観点から、SDGsとヴィーガンの関係について解説していきます。
目標14.「海の豊かさを守ろう」
地球の70%を覆う海は、環境的にも経済的にも私たち人間が生きていく上で欠かせないものです。しかし、海洋汚染・海洋酸性化・水産資源の乱獲など、海洋環境は様々な問題を抱えています。
海には二酸化炭素を吸収して気温・気候変動を調節する働きがあります。しかし、温暖化が進んだことで起きているのが海洋酸性化です。
海洋酸性化は海洋の二酸化炭素を吸収する能力の低下を引き起こすと言われています。
二酸化炭素を吸収する能力が低下すると大気中に残る二酸化炭素の割合が増えるため、地球温暖化の加速につながるという悪循環が起こっているのです。
さらに海洋酸性化は、海洋生態系の基盤とも呼ばれるサンゴ礁など主要な生物にも影響を及ぼすことが懸念されています。
参考:United Nations “SDG Indicators”
ヴィーガンの食事法は、こうした海洋酸性化や海面上昇といった現象の原因となる温室効果ガスの排出を抑えるのに効果的です。
また、2020年度のFAO「世界漁業・養殖業白書」によると、世界の水産資源の34.2%が持続可能な水準を超えて漁獲されています。
参考:FAO “The State of World Fisheries and Aquaculture 2020”
海洋生物が減少する中で養殖による生産が増えましたが、養殖にもまた海洋生物を餌として使用しなければなりません。
そして餌の食べ残しや、養殖魚の病気を防ぐための抗菌剤・抗生物質といった化学物質が海洋汚染を引き起こしていることがわかっています。
上記の理由から今世界では持続可能な漁業と養殖業、水産資源の管理が求められています。
魚介類を食べないヴィーガンというライフスタイルは、こうした海の環境や生態系を守ることに貢献できます。
目標15.「陸の豊かさも守ろう」
世界の約16億人が生計を森林に依存している中、2010年から2015年の間に330万ヘクタールの森林地帯が失われました。
さらには干ばつや砂漠化による土地の損失も深刻化しており、確認されている8,300種の動物のうち、8%は絶滅、22%が絶滅の危機にさらされています。
参考:United Nations “Forests, desertification and biodiversity – United Nations Sustainable Development”
森林破壊の主な原因となっているのが農業だと言われています。大規模な畑や放牧地を作るために人為的に森林を伐採していることが森林の破壊や陸の生態系が失われる要因となっているのです。
しかも、農地拡大の65%が動物性食品のためのものです。
他の森よりも多く二酸化炭素炭を土壌に吸収し、地球の温室効果を緩和してくれるアマゾンでは主に牛の放牧が森林破壊の原因となっています。
参考:国際環境NGOグリーンピース『アマゾン火災と「工業型畜産」』
アマゾンの森林の破壊が進行すると温暖化が進む上に動物たちの住処が奪われ、生物多様性も失われていまいます。
プラントベース中心のヴィーガンは森林破壊や生態系の破壊を助長しないためにできる一つの選択肢です。
また、ヴィーガンは植物性食品の中でも東アジアにおける森林破壊の一因となっているパーム油を避ける傾向にあります。
(パーム油についてはこちらの記事で詳しく解説しています。)
まとめ
ここまで、SDGsとヴィーガンの関係性について環境問題の観点から説明してきました。
SDGsの目標が密接に関わり合っているように、ヴィーガンはなどさまざまな地球への影響を減らすことができます。
SDGs達成には政府や企業、自治体だけではなく地球上で暮らす私たち一人ひとりの取り組みが必要です。
ヴィーガンというライフスタイルは個人で実行できる効果的なSDGs貢献の手段と言えるでしょう。