【韓国】養殖肉規制承認ガイダンスが国家計画2022に組み込み
2022年、韓国の国家計画に初めて代替タンパク質に関する公式ガイダンスが盛り込まれる予定です。その背景をお伝えします。
現在、韓国では代替タンパク製品を販売するための規制的枠組みはありません。
しかし、今回盛り込まれる新しいガイダンスによって、新技術で開発された食品、つまり代替タンパク質を含むカテゴリーの基準を確立することで、この状況を変える可能性があります。
この国家計画は、培養肉の安全性と製造プロセスを評価するシステムの概要も示す予定であり、規制当局による承認がそう遠くない将来に実現する可能性を示唆しています。
培養肉を生産するにあたり、安全な細胞株や組織の選択、適切な培地等についても規定される見込みです。
フランスと同様に、培養肉に「肉」をイメージさせる名称やラベルを付けることが許されるかどうかは、まだ明らかになっていません。
急速に広がる韓国の代替タンパク質市場
韓国では、特に食料安全保障への懸念が高まるにつれて、高タンパク質への関心が高まっています。
2020年の統計によると、韓国の植物性食品産業は過去10年間で3倍に増加し、人口の5分の1が肉の消費を減らしているそうです。
ビジネス面においても、韓国の代替タンパク質食品企業への投資が韓国のITベンチャー企業に匹敵するようになり、いくつかの代替タンパク質に関連する企業が昨年に50億ウォン(380万ドル、約5億630万円)以上の資金を調達したと報じられました。
2022年初めのデータでは、韓国の代替肉市場は2020年から2021年にかけて35%成長し、1390万ドルの規模に達することが示されています。
具体例を挙げると、韓国のブランドであるDevotion Foodsは、牛肉よりもタンパク質が多いという肉の代替食品を提供し、消費者の健康志向の高まりに応えています。
また、ソウルに本社を置く食品飲料大手の農心(ノンシム)は、肉を使わない「ベジガーデン」を急拡大しており、今後とも大手企業が続々と植物性食品市場に参入することが予想されています。
Z世代の影響力
2年前、韓国ベジタリアン連合(KVU)は、菜食主義者が過去10年間で3倍に増えたと報告しています。
「これは必然的な傾向です。人々が環境と動物の権利に関心を持つようになり、食べるものに対して慎重に選ぶようになりました。」と、KVUのイ・ウォンボク代表は言います。
韓国ではZ世代を中心にアニマルライツや地球温暖化に対する危機感に伴い、ヴィーガニズムへの関心が高まっている傾向が見られます。
ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食を実践する若者が増え、ヴィーガンレストランなどの開店も増えているそうです。
日本を含む世界各国と同じように、Z世代による情報発信の影響力が多くの人々や企業の意識と行動に変化をもたらし始めています。
まとめ
今回は、韓国で2022年の国家計画に初めて代替タンパク質に関する公式ガイダンスが盛り込まれるという情報についてお伝えしました。
培養肉をはじめとして、植物由来のヴィーガン製品は急速に普及しており、生産には新しい技術が用いられていることが多くあります。
こういった新技術を用いた食品に対して規定などを設けていくことは、消費者の安全と安心のためにも欠かせないことです。
韓国では培養肉やヴィーガン製品を否定するのではなく、受け入れる方向で動いているように見えます。
とはいえ、今後の展開にも注視していきたいトピックです。
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