【ニュージーランド】生きた動物の輸出を禁止する計画を正式発表
ニュージーランド政府は2023年4月から動物の生体輸出を禁止する計画を正式に発表しました。この動きのきっかけとなった、輸出により多くの動物が犠牲になって事件についてもご紹介します。
この悲劇では39人のフィリピン人乗組員と2人のニュージーランド人乗組員が亡くなり、この事件をきっかけにニュージーランド国内では動物福祉への関心が高まり、生きたままの輸出を禁止するよう支持する声が高まりました。
そして、痛ましい事件から2年の歳月を経て、ニュージーランド政府は2023年4月から動物の生体輸出を禁止する計画を正式に発表しました。
現在、ニュージーランドは食肉用ではなく、繁殖用の動物のみを輸出しており、2023年4月30日にこれらをすべて停止すると発表しています。
ニュージーランドのダミアン・オコナー環境相は、動物福祉に対する世界的な関心が高まる中、この新しい法律が現在の酪農家たちだけでなく、将来の酪農家たちの評判を守ることになるだろうと述べました。
残酷な産業
生体輸出は、動物福祉の観点から大きな議論を呼んでいます。
輸出手段として用いられる船に動物が押し込まれるといった過密状態であることが多く、動物は病気や疲労、脱水症状で苦しむのです。
毎年、豚、牛、羊を含む何百万もの動物が、世界中に輸出されています。
動物福祉を訴えるロビー団体Compassion In World Farmingは、動物が生きたまま輸出されることを「苦痛とストレスに満ちた、全く受け入れられないもの 」と表現しています。
また、多くの動物が事故死しています。2020年には、家畜運搬船の転覆により1万4,000頭の羊が犠牲になりました。翌年の2021年には3,000頭の牛が3カ月間海上で足止めされ、多くの牛が死亡、瀕死、飢餓、極度の脱水状態に陥りました。そして、2022年初めには、スーダン付近で別の船が沈没し、約15,000頭もの動物が溺死しました。
ニュージーランドにおける生きた動物の輸出
現在は繁殖用の動物のみを輸出し、食肉用には使用される動物の輸出は行っていませんが、ニュージーランドでは生体輸出は第一次産業輸出の約0.6%を占めています。
2021年、ニュージーランドから輸出された牛は134,722頭でした。
生きた動物の輸出に関しオコナー環境相は、ニュージーランドは輸出先の国から比較的遠いため、動物たちは通常以上に苦しんでいると指摘し、下記のように述べています。
「ニュージーランドは遠隔地であるため、家畜は長時間海上で過ごすことになり、暑さによるストレスやその他の福祉に関連するリスクにさらされやすくなります。
(動物が海上でできるだけ快適に過ごせるように)どのような規制措置を講じようとも、熱帯地方から北半球の市場までの航海時間と旅路は、常に困難を伴います。」
国内外からは称賛の声
生きている動物の輸出はニュージーランドに限った話ではなく、世界中で大きな議論を呼んでおり、今回のニュージーランドの動きは重要な一歩として受け止められています。
また、この動きは緑の党と動物愛護活動家からも歓迎されており、他国が追随することも期待されています。
PETAのプログラム担当副会長であるElisa Allen(エリサ・アレン)氏は、イギリスはニュージーランドを手本にすべきだと語っています。
「ニュージーランドが、卑劣な生体輸出取引を禁止する法案を可決した今、イギリス政府がこれに追随することに注目が集まっています。」と彼女は言います。
また、「この残酷で危険な取引に終止符を打つという政府の公約は、早ければ早いほどよいのです。この残酷さと苦しみに恐怖を感じる人は、ヴィーガンになることで個人的な責任を負うべきです。」と個々人がヴィーガニズムを実践することの重要性を強調しました。
まとめ
環境や動物福祉への人々の意識の高まりにつれて、動物の犠牲無くして成り立たない経済活動、というのは次第に減っていくのかもしれません。
しかし、ただその時を待つだけでは変化は何も起きません。私たち一人一人が事実や現実を知り、ヴィーガニズムを実践し、社会に訴えていかなければ、動物たちは今後も犠牲になり続けていきます。
Compassion in World Farmingのサイトでは、生きた動物の輸出を禁止するための請願書に署名することができます。
参考記事
New Zealand bans live animal exports from April 2023
New Zealand Is Officially Banning Live Animal Exports
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